年寄りってのはね、夜することが無くなるんだよ。風呂入るくらいだ(笑)。風呂入ると眠たくなるだろ。だから早く寝るさ。そして早く起きてしまう。まだ2時じゃないか、なんてね。あと4時間は寝よう、なんて思うけど寝られるもんじゃない。これが毎日続くと眠りを浅くして長く寝ようと身体が勝手に調整するようになる。寝ては目が覚め、また寝ては目が覚める。目が覚めることで生きていることを確認してまた寝る。それでも4時半や5時には起きてしまう。夜とは反対で朝はやる事が多い。先ずは洗面所で髭を剃る。歯ブラシをする。誰もが目につくところにコップに入れて清浄した入れ歯をつける。そうしているうちに待ちに待った夜明けだ。先ず庭に出るだろ。野菜や花、植木を弄(いじ)る。雑草を抜いたり庭の掃除をする。犬に飯をやる。中にはお経をあげる人さえいる。考えてみると家族が居たら居たで迷惑な話だ。一人暮らしでも近所に迷惑な事だってある。犬が喜んで吠えたり、門を開けたりシャッシャッと道路を掃いたり、そのうち缶は缶、瓶は瓶などとゴミの分別を始めたり。ゴミ出し一番乗りに生き甲斐を感じていたりする。一通りやってまだ時間があるからと散歩に出る。家族にしてみりゃ、起きて来たら爺さんが居ない。行方不明にでもなったんじゃないか、と心配するがそれでも決まった時間にはちゃんと帰って来て食卓のテーブルに座る。無言で新聞を読んでいても、暗に飯はまだかとせっついている。こういう態度がカミさんや嫁にしてみりゃ腹立たしいらしい。飯を食べ終わると今日は調子がいいから病院でも覗いてこようか、とか。それでも近所の人は顔を合わせば挨拶してくれる。俺がいなきゃ町内は成り立たないくらいに思ってしまう。しかし炭酸は飲めない。
そんな爺さんに段々と近づいて来ているのが今だから分かる。8月でTVを捨てて受信料も解約したが、その頃から急にそうなって来た気もする。しかし別に悪いこととは思っていない。年を取れば早く老けこみたいと思っている。それでも脚だけは達者でいたい。身の事、身の回りの事を自分でするには脚が達者でないといけない。筋力はもうそれほど期待出来ないので体重は落としておきたい。自分の父を見ているとつくづくそう思う。
少し欲を言わせて貰えば、ちょっとだけダンディーな老人で居たいかな。

























