CQCQ、本日もご覧頂きありがとうございます。
Seaweed Engineering Nori'sブログは北海道小樽市より発信しております。



のっけから汚い感じでごめんなさい。
昔、バリバリ国産のディーラーでメカやってる20代女子とお話してた時、「手、汚れるのキツくない?」と聞いたんですが、

「今はニトリルゴムの手袋があるので汚れませんよ!」と言われたとです。
しっ、知ってるよ!でも俺それ嫌いなの。
女性の看護師さんが僕にカテーテル入れる時もニトリルゴムの手袋してたもん!

ちょっ、ハズキルーペ持って来てもらえますかーー⁉️
おじさんもう老眼でこれ全然見えない。



おっ、拡大したら45番。

iPhoneすげえな…




さて、本日はスターハブの感じで行きましょう。

「タイヤ交換して下さーい」というご依頼にて、ハブん中もチェックチェック。





こんなラグボルトでハブとドラムは連結されてます。

ドラムにはスプロケットがリベットで留められていて、このドラムの径に合わせる為に51丁固定となります。

スプロケット交換はリベット外して打ち替え、でございます。




ハーレーは7/16インチ。
インディアンは1/2インチ。

ハーレー、道具の太さでインディアンに負けてんじゃん的な小競り合い(笑)

ここ、本当に緩みやすい部分ですので注意して下さい。

でも定期的に脱着する所なので、ロックタイトの赤とか禁止‼️(笑)

スターハブ使ってるシャベル前期までは、まず増し締めすべき大切な所です。
緩み止めのケミカルを打つのではなく、カジリ防止にスレッドコンパウンドなどが良いでしょう。


休日に趣味のバイクいじり、だと「コレ一生使える?」みたいな量のモノが多いので、ロックタイトから出てるちっちゃなやつもあります。




で、タイヤ外すと大体こんなもんです。

これはまだ全然優等生。

アルミホイールが当たり前の時代に、鉄リムの鉄スポーク。

そりゃ錆びます、という事でお掃除お掃除。




ピカァァァ‼️





でも中はオエッ。

コレは完全なるグリス切れの良い例です。
シム破れちゃってますけど…

ん?シム?
何このベアリング。

と思った方は正常です(笑)



V-Twinのカタログには、ちゃんとした部品構成が載ってます。

っつーかホイールハブのくせに何だこの大量の部品、という印象。

曲がる時には遠心力がかかるのでバイクを寝かすわけですが、そんなコーナリングフォースに対抗するにはもちろんボールベアリングが最強なわけで…

でも真ーーーーっ直ぐな道をダァァァーーーと走る時には、こっちのケージ付きニードルローラーベアリングの方が耐久性で勝ります。
ちゃんとグリスアップしてれば、きっとそうです(笑)

で、スラスト調整するにはシムしか無いのでありまして、ハーレーの通称スターハブにはエンジンのクランクビッグエンドと同じ形状のベアリングが入ってます。
ちゃんと調整すれば、意外とこれがまた転がりは良いです。

そしてアーリーシャベル以降、一旦ボールベアリングを採用してみる「レイトスターハブ」を経由しまして、1970年代中頃から2000年ちょいまでテーパーローラーのベアリングになり、そっからはハーレーも本格的にボールベアリングでございます。

コストも安いしパンパァンと交換出来るし、まあそーゆー事です。
一度は採用したボールベアリングも、やっぱこれアカンやつや…という決断を下したのは何故なのでしょうか。



ここ、結構な確率で順番めちゃくちゃに組まれてる所です。

仕組みを理解していれば組み間違える事は無いと思うのですが、簡単なトコでまずはV-Twinのカタログ見て確認しましょう。




で、めちゃキレイにお掃除したら、まずはレースとベアリングの摩耗をチェック。
グリス入れる前に仮組みして、ガタも点検します。

クランクしかり、ここのベアリングもオーバーサイズが売ってますので、「縦ガタ」は要交換っす。

レース側にすんごい傷がある物は、ぶっちゃけ社外品Assyに交換した方が安く済んじゃいます。



そしてこいつがシムっす。

紙みたいに薄い鉄のワッシャーです。
3種類くらいの厚みのがラインナップされてますので、組み合わせてスラストを調整して行きます。




1番外側の「ヒトデ型カバー」は外して、こんな感じでガチっとスクリュー締めて、V-Twinのカタログでいう所の9番ですね、これを縦方向にスライドする感じで動かしてみて下さい。

動かない→もちろんキツ過ぎ。
どのくらい動いたらオッケーなの?→うーん、とりあえず組んでみ?(笑)
ちなみにキツいと走行中にハブから煙出ます(笑)

テーパーローラーやボールベアリングの「カラーの長さで調整タイプ」の場合はゲージ付けてちゃんと数字で見れるんですが…

最終的にグリスぐっちゃりのココを数値化して、コレ何を組み立ててるのかも知らないバイトのオバチャンでもシム調整可能にするのは、少し無理がある感じです。

本チャンのトルクでアクスルナット締めて、スラスト方向にガタがあってはいけません。
プロはまず、ナット緩める前に必ずスラストの確認をします。
スラスト過多の場合、その時既に、「あと何ミリのやつ何枚」と当たりを付けとくわけです。
バラす時が大切ってのは、時短でもあるわけです。

で、何度も何度も組んでバラして組んでバラして、キツい緩いキツい緩いもう帰りたいとやってますと、先程のチェックでの「どんだけ動いたらオッケーか」が分かって参ります。

薄いシム入れ過ぎて重くなり、1枚抜いてガタになり、足してまた重くなり、空を見上げた回数こそが経験。
修理のスピードに繋がるのです。

ね?
だから採用されなくなったんだと思われます(笑)


でも決して転がりは悪くないし、むしろ北海道にはマッチするスターハブ。
ハブダンパーも無ければリヤサスペンションも無いオートバイに対して、これほどまで理に適ったシステムはございません。
そもそもハーレーは重過ぎるのでありまして、レイトスターハブのボールベアリングにもメーカー的に何か納得行かない理由があったのだと思われます。



スポーク緩んで無いかも点検っす。

狂ってるようなら芯出しも。
でも60年前のリムが、全く歪んで無いなんて事はなかなか無いのでありまして…

「ココはダイヤルゲージで超追い込みます」的なのにトライしても、モノによっては僕3日くらいやっても出来ません(笑)

真っ直ぐにする事が目的のはずなのに、いつの間にか数字追い込むのがメインになり、どーだ!と。
それは自己満足でしかなく、ちょっと乱暴な言い方ですけど「真っ直ぐ走る」のが優先じゃないんすか?みたいになっちゃうのかな、と。
新品組んでレースするならまた別の話、となりますが。




サビ落としてサビ止め塗って、やっと新しいタイヤとチューブをハメられます。



あんまり厚塗りしなくてオッケーっす。
サッと。
次のタイヤ交換の時、絶対違うので。
サビでチューブに穴開いたり、スポーク折れたりする危険もかなり回避出来ると思われます。
もちろん、通称「ふんどし」、リムストラップも必ず取り付けましょう。

ホイールベアリングとタイヤ交換でこんなにクソ面倒くさいのだと知って頂ければ幸いです(笑)


ではまた明日もよろしくお願い致します。