■「バンバン上げられちゃって」1.5倍値上げも…
1本39円の緑茶に、1つ18円のハンドジェル。山積みにされたカップ麺やお菓子は、なんとすべて68円。 東京・足立区にある激安で有名なスーパーには、1円でも安いものを求めて、12日も多くの客が訪れていました。30代「安くて、面白い掘り出し物がたくさんあるので来ました」50代「価格帯安いと思います。財布に優しいと思う」 しかし、この激安スーパーにも、影響を及ぼしているのが「物価高」です。ABS卸売センター唐鎌孝行社長「(価格が)上がってないものは、ないですよ。すべての商品が上がっていて値上げ止まらないですね」「上がったのがコーヒー。すごくコーヒー(豆)自体も取れてない。干ばつだなんだということで。円安の問題もありますし。いろんな経費アップもありますし。バンバン上げられちゃってます」「お米なんか、これもすごく今年高いんですけど、うちの方で特別お安く、税込みで1700円でやっている。前は税抜きで980円とか。1.5倍くらいになってる」「あんこも上がった。やっぱり小豆の値段がすごく上がったので。100円くらい上がりました」 メーカーなどと交渉してできる限り安い値段で仕入れていますが、原材料が高騰し、値上げせざるを得ない商品が増えています。
■“老後資金2000万円”で本当に大丈夫?
円安が続き、しばらくおさまる気配のない物価の高騰。こうした状況に、街の人からはある不安が聞かれました。50代「やっぱり不安はすごくあります。将来のお金のこととか、自分が生活していけるのかなとか」40代「老後に向けてですかね。よく60歳2000万みたいなことを聞きます」 「老後2000万円問題」についてです。2019年、金融庁が発表した老後に必要な貯蓄額2000万円。これは、退職後の夫婦をモデルに考え、日々の生活に必要な出費が月に26万4000円であるのに対し、年金などの収入が20万9000円にとどまるため、月々5万5000円の不足が生じます。 これが30年続くと考えた場合、およそ2000万円準備が必要になるとして大きな波紋を広げました。 ところが、物価高騰が続くなか、この2000万円が本当に2000万円で大丈夫なのかという声が上がっているのです。40代男性「前は2000万とかって、話がありましたよね。今どうなんですか?」50代男性「物価だけが先に上がっていって、給料が追いついていかなかったら、やっぱり不安ですよね」
■専門家「早めに意識」「強気の目標を掲げて」
老後資金に詳しいファイナンシャルプランナーに話を聞きました。ファイナンシャルプランナー山崎俊輔氏「(Q.老後2000万円問題に変化は?)近年は円安とそれに伴っての物価の上昇というのが見られているが、仮に老後に目標2000万円あったとして、3.5%物価が上がる場合、(老後資金)2000万円も3.5%増やそうと考えたら、10年後は2800万円考えなくてはいけない。20年後には大体4000万円ぐらいをイメージしなくてはならない、ということになるわけですね」 去年の消費者物価指数(東京都区部)は前年比で3.1%上昇しました。これが仮に3.5%で続いた場合、「老後2000万円問題」が10年後には「老後2800万円問題」、20年後には「老後4000万円問題」になる可能性があると言います。山崎氏「例えばですけど1000円のTシャツがあって、一応物価が上がったら律儀に3.5%ずつ値上げをしたと、毎年ですね。実は10年後1400円になってるんです」「(Q1.4倍?)そうなんですよ。値段は最初は数十円とか100円ぐらいだと思っていても、積み重なると結構でかい。これがさらに20年続くとTシャツが2000円になる」 あくまで毎年物価が上がり続けた場合の話ですが、4000万円という金額を聞いて、街の人はこのような声が聞かれました。40代「え!そうなんですか。2倍ですか?給料は倍にならないのに…。そこをやっぱりNISAとかで色々、考えていかないといけないのかな」「きついですよね。そうなった時に耐えられるように、もっと金を稼がないといけない」山崎氏「自分の老後に必要な金額を考えるのが大事。ただ物価の上昇はみんなに影響するので、物価が上がると(老後資金の)準備額も増えていくことは、早めに意識しておかないといけない。できればちょっと強気の目標を掲げておかないと、気がつくと物価が上昇して、足りなくなったということもありえますね」
老後生活の支出内訳はどうなっている? 政府の、2,000万円計算の根拠 月額費用
実際に65歳以上の夫婦が月々に必要な生活費の内訳を詳しく見てみましょう。
以下は、総務省による「家計調査報告(家計収支編)2022年」の「平均の消費支出データ」です。
●食料/6万7776円
●住居/1万5578円
●光熱・水道/2万2611円
●家具・家事用品/1万371円
●被服及び履物/5003円
●保険医療/1万5681円
●交通・通信/2万8878円
●教育/3円
●教養娯楽/2万1365円
●その他の消費支出/4万9430円
とくに全体の3~4割を占める食費は大きな支出です。光熱・水道などのライフラインのほか、スマートフォンを利用する高齢者にとっては通信費も見過ごせない項目です。 住居費が安くなっていますが、これは持ち家の人と賃貸住宅に住人の平均金額となっているからです。持ち家の人が圧倒的に多いので低い金額になっていますが、賃貸の場合の住居費は数万円高くなるでしょう。 さらなる高齢化に伴い、介護のための自宅リフォーム費や老人ホーム・介護施設にかかる費用なども考慮する必要があります。 「老後2000万円問題」は、高齢夫婦の生活費が公的年金だけでは賄えず、追加の資金が必要であることを如実に示しています。そのため、資金計画を立てるなど、適切な対策を講じることが重要です。