救急患者の搬送先が20分以上決まらないなどの「搬送困難事案」が、東京都で4月は前年の約4倍に急増していたことが8日、分かった。新型コロナウイルス感染疑いの受け入れ拒否が相次いでいるためだとみられ、都は医療機関に感染疑いがある患者の受け入れ拡大を求めている。


都では、救急患者のたらい回しを防ぐため、5カ所の病院から受け入れを拒否される▽20分以上搬送先が決まらない-のいずれかに該当した場合、搬送困難事案として地域救急医療センターが受け入れるか、センターが搬送先を調整する「東京ルール」を平成21年から運用している。 都救急災害医療課によると、4月中に東京ルールに該当した救急事案は2365件で、昨年同期(582件)の約4倍に急増したという。担当者は「患者に発熱や呼吸苦などの症状があると、院内感染を警戒して受け入れを断られてしまう」と話す。 都は4月20日、都内の特定機能病院など約90の医療機関に対し、新型コロナウイルス感染の疑いがある患者の受け入れ病床として最低1床を確保するよう要請。同19~25日の週は搬送困難事案が減少。5月に入っても搬送困難事案となってから搬送先が決まるまでの平均時間が半減した。 都市部を中心とした搬送困難事案の増加は全国的にもみられ、総務省消防庁によると、4月20~26日の1週間に全国52の消防本部などで、少なくとも3カ所の医療機関に受け入れを断られ、かつ搬送先が30分以上決まらなかったケースは1656件(前年同期比91%増)に上っている。