NO残業DAYに憧れて -2ページ目

◇深い森 陽光

開け放たれた窓から差し込む陽光がとても柔らかくて、つい目を細める。
聞こえてくるのは、この街を包む深い森が風に揺れる音だけ。
どこからか紅茶に似た甘い香りが漂ってきて、なんて長閑な午後だろう、と更に瞼が下がりかけたそのときだった。

「―――お待たせして申し訳ありません」

樫の木で作られたアーチをくぐって、髪の長い女性が姿を見せる。
銀色のトレーに、大きな花が描かれた白いポットと、同じ柄のティーカップを3組乗せていた。
「長老が来るまで、もうしばらくお待ちください。お茶をお持ちしましたので、宜しければ―――」
近寄る彼女の表情は固く、向けられた視線にすっと背筋が冷たくなるような感覚を覚えて、シキは苦笑いを零した。
「ありがとう。良い香りだね」
「…いえ、」
シキがテーブルに置かれたカップを手に取ったのを確認すると、女性は役目を果たしたと言わんばかりに「それでは失礼致します」と言葉を残して立ち去って行った。





部屋に、再び暖かな時間が満ちる。
客人というよりも侵入者に等しい、か。そう見なされてしまったのであれば、この歓迎ぶりも仕方ない。シキは小さくため息を吐くと、湯気の立つカップにゆっくりと口をつけた。

◇深い森

もっとわかりあえる筈なんだ、と彼は言った。
そういう偏見を無くして、互いに助け合って生きていけたら、世界はどんなに素晴らしいだろう。彼は、真剣な眼差しで訴えかけた。

わからないわ、と彼女は答えた。
信じられないものは信じられないし、わかりあう必要なんてない。彼女は、困惑しながら目を伏せた。

そして。

でも、と。

あなたを信じているから。

あなたを信じているから、あなたの力になりたい。
だから、ここに居るの、と。
彼女は微笑んだ。

全否定

仕事でぽつぽつと嫌な気持ちになることがありまして。あの人も忙しいから仕方ない、今は黙って頷いておいた方が早く結論が出せる、なんて理由をつけて、多少理不尽なことを言われても、割り切っていたつもりだったのですが、やっぱり不満な思いは拭えないので、愚痴をこぼしてしまったわけです。
頷いて欲しくて。
労って欲しくて。
認めて欲しくて。
優しい言葉が欲しくて。

それに対して、返ってきたのは全否定。

そんな不満は、全部自業自得だ、と。


正しくて、涙が溢れました。

会いたくないなぁ。