◇深い森 陽光
開け放たれた窓から差し込む陽光がとても柔らかくて、つい目を細める。
聞こえてくるのは、この街を包む深い森が風に揺れる音だけ。
どこからか紅茶に似た甘い香りが漂ってきて、なんて長閑な午後だろう、と更に瞼が下がりかけたそのときだった。
「―――お待たせして申し訳ありません」
樫の木で作られたアーチをくぐって、髪の長い女性が姿を見せる。
銀色のトレーに、大きな花が描かれた白いポットと、同じ柄のティーカップを3組乗せていた。
「長老が来るまで、もうしばらくお待ちください。お茶をお持ちしましたので、宜しければ―――」
近寄る彼女の表情は固く、向けられた視線にすっと背筋が冷たくなるような感覚を覚えて 、シキは苦笑いを零した。
「ありがとう。良い香りだね」
「…いえ、」
シキがテーブルに置かれたカップを手に取ったのを確認すると、女性は役目を果たしたと言わんばかりに「それでは失礼致します」と言葉を残して立ち去って行った。
部屋に、再び暖かな時間が満ちる。
客人というよりも侵入者に等しい、か。そう見なされてしまったのであれば、この歓迎ぶりも仕方ない。シキは小さくため息を吐くと、湯気の立つカップにゆっくりと口をつけた。
聞こえてくるのは、この街を包む深い森が風に揺れる音だけ。
どこからか紅茶に似た甘い香りが漂ってきて、なんて長閑な午後だろう、と更に瞼が下がりかけたそのときだった。
「―――お待たせして申し訳ありません」
樫の木で作られたアーチをくぐって、髪の長い女性が姿を見せる。
銀色のトレーに、大きな花が描かれた白いポットと、同じ柄のティーカップを3組乗せていた。
「長老が来るまで、もうしばらくお待ちください。お茶をお持ちしましたので、宜しければ―――」
近寄る彼女の表情は固く、向けられた視線にすっと背筋が冷たくなるような感覚を覚えて 、シキは苦笑いを零した。
「ありがとう。良い香りだね」
「…いえ、」
シキがテーブルに置かれたカップを手に取ったのを確認すると、女性は役目を果たしたと言わんばかりに「それでは失礼致します」と言葉を残して立ち去って行った。
部屋に、再び暖かな時間が満ちる。
客人というよりも侵入者に等しい、か。そう見なされてしまったのであれば、この歓迎ぶりも仕方ない。シキは小さくため息を吐くと、湯気の立つカップにゆっくりと口をつけた。