僕も建設業の端くれなので、今回の一件について、ニュースソースからしか判断できないけれども、個人的見解を述べてみる。
今回の要因は、建設中に、NTT都市開発の基準に外れた箇所が、あれこれと見つかってしまい、隠蔽したとされて建て替えに至ったのだそうだ。
NTT都市開発の基準がどのようなものかは知らないが、そんなものがなくても、実は日本には、きちんとした基準がたくさんあって、それを厳密に守るだけでも、本当に大変である。
今回、発表された鉄骨の建て方精度についてであるが、きちんとした基準がある。
日本全国の大型書店に行けば、必ず置いてある本です。
国内の建物であれば、ほぼ100%と言っていいくらい、この本を基準にして建物が建てられています。
で、その建て方の基準と言うと・・・
と、分かりやすく解説している方がいらっしゃる。
仮に、今回の建物が高さ100mとし、管理許容値では、
e ≦ H/4000 + 7 mm = 100×1000/4000+7 = 32mm
かつ 30mm 以下なので、
鉄骨建物のてっぺんですら、30mm以下のずれでOKということになる。
ネットの書き込みを見ていると、時々、「数ミリずれているのを隠しているなんて、建設業の闇だ!」なんて、何も知らない素人さんは、仰っている訳だども、安っぽい正義感を書き込んでいて、困った人達だな・・・と思ってしまう。
まあ、現実には、高さ100mで30mm以下で鉄骨を立てろなんて言われても、あまりにも現実離れしていて、まあ、そこは、監理者と協議することになるのだろう。
そのほかにも、コンクリートが薄かったとか、ぶっちゃけ話し、そんなことは日常茶飯事であって、現実にそれが原因で、トルコの建物のように倒壊する建物なんか聞いたことが無いでしょう。
おそらくではあるけれども、今回の事件は、お互いの信用不信によるものが大きいのだろうと推測している。
信頼関係があれば、こんなことを大々的に発表して、建て替えにまで至らなかったのだと思っている。
僕も、数年前、設計事務所との関係がこじれてしまって、えらい目に遭わされたことがある。
僕が現場に入ったときは、もう険悪になっていて、どうにもならなかった。
設計事務所に、さんざん嫌がらせをされたものである。
残業時間は、150時間くらいになったんじゃないのかなぁ・・・。
人間関係、信頼関係を疎かにする人種が存在するけれども、ほとんどの場合、害悪をもたらす結果になっており、まずいことに、その人達は、頭の回転が中途半端に良いものだから、責任回避の言い訳は、凄いものである。
今回の一件は、そういったことの結果なのではないかと思う。
もちろん、NTT都市開発にも非がある。
なぜ、鉄骨が立ってしまって、それらを指摘したのか。
通常であれば、鉄骨が立った瞬間、もしくは途中で気が付いて、その場で指摘するべきであった。それが監理という仕事である。
どうにも言い訳ができない。
こういった、「やらなかった行為」については、罪を被るべきである。
原因は他にもあるだろう。
技術者不足、工期不足、予算不足などである。
これらの原因を生み出しているのは、建設技術者の低賃金であったり、労働環境の悪さ、社会からの信用不安、発注者や設計者の不理解と知識不足、ブローカーの暗躍、ものづくりへの低評価であるので、大成建設一社を悪者にしても、根本的な解決にはならない。
結局は、日本人のモラルや価値観が要因になっているわけであり、社会全体として考えなければ、いつまでたっても繰り返されるだろう。
「楽して投資で稼ぐ!」情報がネットで溢れているけれども、自分さえ良ければいいんですかねぇ・・・。
結局、社会が不安定化し、グレイ犯罪集団が闊歩する時代になってしまったのだと思いますが・・・。
関係者の方々には、もう一度よく考えてもらいたいなと思います。
言っておきますが、今時、こんな現場はありませんが、
似たようなことをしている人はいます。
危険と隣り合わせの仕事です。
でも実際は、鉄骨鳶職人たちは、楽しく仕事してますけどね。