YouTube動画を見ていると、ともかく建設業界にだけは行くなというメッセージで溢れている。
おまけに、経験者や長く業界にいる人達が、悲観的な情報を流し続けるだけの動画もあり、正直、あまり精神衛生上、非常によろしくない。
そこで、今、僕がいる場所から見た今後の展望や、今ある問題を綴っていきたいと思う。
ちなみに、僕は、ゼネコン業界で働き始めて30年になります。
【問題】多重請負構造の問題
これは、もう、震災後の復興事業でも問題になっておりましたが、多重請負構造の問題です。
オリンピックでも問題になっていましたね。
事業者や元請け会社、仲介業者の中抜きが凄まじく、実際に働いている5次、6次の請負業者は、低賃金になってしまう問題です。
これは、確かに構造的な問題であるような思えて、実は日本人のモラルの問題であり、「いかに楽して儲けるか。」という拝金主義に走ってしまったことだと思われます。
私の周りでも、このような現象が非常に目立ちます。
酷い場合だと、仕事の内容もろくに見ないで下請け業者に流してしまい、結果、赤字を垂れ流し、金を払えの払わないのと問題になっております。
40年くらい前までは、体を使って働いて、稼いで家庭と弟子を養えるカッコイイ職人、親方だったのですが、バブルが弾けて「安かろう悪かろう」に、転換してしまったため、稼げないし、誰も養えない職工が爆増したのです。
結果、ブルーカラーと言われる作業者は、ブラック化し、世間から見下される存在となりました。
また、バブルで、ゼネコンがマスコミから悪者扱いされ、民主党政権時代に、叩かれたのも原因の一つです。
そうなると低賃金でも働く人達が残り、結果、楽して儲けようとするブローカーたちによって、多重構造となりました。
YouTube動画を見ていると、「楽して儲けよう」という動画がたくさんありますが、これでは、日本の社会は良くならないでしょう。
では、どうするべきかと聞かれると、それは、やはり多重請負いの構造を改めるほうに舵を切らなばなりません。
近頃の大手企業、ゼネコン、発注者の間では、あまりの4次、5次の下請け会社を排除している傾向があります。
僕が受け持っている現場でもそうなのですが、仲介業者があまりにも無責任で、管理能力が全くないからです。
よって、中小零細企業は、3次、2次会社となるために、管理能力と、価格交渉能力を身につけなければなりません。
そうなるためには、会社を大きくし、それなりに体制を整えなければならないでしょう。
つまりは、会社の吸収、合併を繰り返し、IT技術者を雇って、元請け会社と交渉する能力を身につけなければなりません。
無論、作業員個々、親方の能力を高めて無駄をそぎ落とさなければなりません。
ここで言いたいのは、一般的に、建設作業員は頭を使わなくてもいいというような思い込みがありますが、頭を使わなければ稼げない業界であることは、誤解のないように言っておきたい。
私が、今まで見た限り、やはり現場でしっかり管理している下請け会社というのは、品質、安全、そして収入の面でも良い状況にあるとみられるということです。
考えてみれば、野球でもサッカーでも、頭を使ったプレーが必要なわけで、建設業界とて、それは例外ではないわけです。
今、好調に見える会社は、やはり管理部門をしっかりと持っていて、高給を支払って従業員を配置しています。
これからはIT化、DXに疎い会社は取り残されていきます。
まずは、しっかりとした会社作りを進めていってはいかがでしょうか。