墨香銅臭『魔道祖師』 | キムチの備忘録♪

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昨年観た中国ドラマ『陳情令』の原作小説である『魔道祖師』を読みました本

著者は墨香銅臭(モーシャントンシウ)かつて「悪の道に堕ちた」と人々から恐れられた魏無羨(ウェイ・ウーシエン)は、全てを失い非業の死を遂げた。しかし、それは自らの信念を貫いた証だった。

それから13年後――別人の体に召喚され、思いがけず現世に蘇る。正体を隠し過去と決別しようとするが、よりによって少年の頃から文武を競い合った宿命の相手、藍忘機(ラン・ワンジー)と再会してしまう。自由奔放で快活な魏無羨と、品行方正で寡黙な藍忘機。

前世の記憶の中では衝突してばかりいたはずなのに、なぜか彼はそばを離れようとせず――。

あの日の旋律が再び二人を巡りあわせる。

(第一巻帯あらすじより)

 
 
 
読みました、というか昨年読み終わっていたのですが感想を書きそびれていましたあせる
全4巻+番外集で1669ページの大作です!!
 

『陳情令』は一応ブロマンスドラマという位置づけになりますが、原作はBL(ボーイズラブ)です。

ドラマの主人公2人の関係性が好きだったのでそのイメージが崩れたらどうしようかと思って最初は読むのを迷いましたが、世界観をよりディープに理解したいと思いました。BL小説を読むのは本作が初めてでした。

 

読み終わってから時間が経ちすぎているので細かい感想は書けませんが、折角なのでドラマと原作の違いなどを中心に印象に残ったことなどを簡単に書いてみます。

 

※ガッツリネタバレあるのでご注意下さい。

 

 

まず、基本的な物語の流れは『陳情令』とそんなに違わないので、以前書いたリンクを貼っておきます。

ただやはりドラマでは改変部分があったり、原作にしかないエピソードがあったりもします。

それを踏まえてもドラマは原作の世界観を壊さずにメッセージ性を損なわない素晴らしい出来だったなと感じましたキラキラ

 

原作のストーリーの流れですが、ドラマとは違い過去と現在を行ったり来たりする構成になっています。

まっさらな状態で読むと時系列が混乱していたと思いますが、ドラマで過去から未来の流れが掴めていたのでスムーズに読み進めることが出来たのは良かったなと思います。(それでも分かりにくい部分はありましたが)

 

 

 

ドラマで気になっていた部分の一つとして、他人の体に召喚されたはずの魏無羨が同じ顔をしていたということなんですが…原作ではやはり全くの他人の姿になっています。ただ、これはドラマ上致し方ない改変だとは思います。

なので原作であれば見た目だけでは過去に関わった人でも転生後の魏無羨だと見抜くことはできないというわけなんです。まぁ別の理由で藍忘機にはすぐにバレてしまうんですけどね(笑)

 

それと驚いたのは、ドラマでは過去の時点で魏無羨と藍忘機は互いを知己として認め合っている仲でしたが、原作では全然そうではなかったことです。

再会後、藍忘機に雲深不知処に連れてこられた魏無羨はこう考えています。

「前世において、藍忘機との間に、何か心に強く刻み込まれるような出来事はなかったはずだ」とか「おそらく藍忘機の方は他の者たちと同じように、魏無羨をこう評価していたはずだ――邪気に満ち、正気を失いかけていて、いずれ必ず大きな災いになるに違いない、と」(第一巻P118より)

実際には藍忘機の中で魏無羨は圧倒的な存在だったにも関わらずです。

どうして原作で2人は知己になれなかったのかと考えると、過去の藍忘機は自分でも気付かないうちに魏無羨を恋慕していたからなんだと思います。昔の藍忘機は魏無羨に心を乱されるのが嫌で冷淡に接していたので、魏無羨の方もまさかあの品行方正な男が自分を好きだなんて想像もしていなかったでしょう。

そこから生涯の伴侶とまで想い合うようになるなんて、胸が熱くなってしまいましたよ。

一度魏無羨を失い大人になった藍忘機は、もう二度と大切な人を失わない為に自分が何をすべきでどう彼と向き合っていくべきかをずっと考えていたんでしょうね。

ほとんど言葉を発しない藍忘機ですが、発する一言一言が魏無羨の救いとなり、片時も離れず真心をくれる彼の隣に居場所を見つけられたのが本当に良かったなぁと思います。

 

読んでいて感じたのは原作は登場人物全般的に、より業が深いということかな。

ドラマでは色々ろ過されている感じで、よりキャラクター達に感情移入しやすくされていると思いました。

それを特に感じたのが江澄(ジャン・チョン)で、原作での彼の言動はより残忍で舌禍を招くものでした。そして自分のしてもらった恩義には目を背け、恨みに突っ走ってしまった。だから、金光瑶(ジン・グアンヤオ)の「魏公子が前世であのような末路を辿ったのには、あなたにも責任があるということです。それも、かなり大きな責任が。」(第四巻P159より)という言葉はかなり的を射ていると思います。

温情(ウェン・チン)や温寧(ウェン・ニン)、そして魏無羨は江澄にとっては恨みの対象にすべき人間などではなく命の恩人であり江家にとっての恩人だったのですから。

 

江澄がらみの話で言うと、魏無羨が江澄に金丹を捧げた時の話が出てきます。

ドラマでは魏無羨が自分の金丹を江澄に移したのであろうということを匂わせる描写があるのに対し、私の読んだ限り原作ではそれと分かるような記述が見当たりませんでした。なのでもし原作を先に読んでいたとしたら、温寧が真実を話すまで私もその可能性に気付かなかっただろうと思います。

そしてこの件についてドラマでは魏無羨の心境などは明言されておらず分からないのですが、原作では彼がどう感じていたかということが書かれています。

彼にとって金丹を失うことは思い出すことすら苦痛な出来事であり、それを江家に対する恩義への報いだと自分に言い聞かせることでなんとか耐えていたのだということが。

この心境を知れただけでも原作を読んだ甲斐がありました。

 

 

 

そうそう…大事なことなのでもう一回言いますが、原作はBLです。

事前情報によると第四巻のみが濃厚なBLであると聞いておりましたが…大正解でしたびっくり

本当に三巻までは、そういうシーンがほとんど見当たらないのでBLだということを忘れそうになるぐらいだったんですよ。

そしたら四巻!大胆過ぎる告白シーンをはじめ、ドキドキドキドキなシーンがガッツリと。結構ページ数を割いて生々しい描写で驚きましたあせる

私はサラっと流し読みしちゃいましたが、お好きな方は存分に楽しめると思います(笑)

ただ、そういう部分を除けば本当にストーリー自体が魅力的なのでいろんな人に読んで欲しいぐらいお勧めの作品です。

 

中国小説の翻訳版ですが、かなり自然な文章なので海外作品と思えないくらい読みやすかったです。

『陳情令』では分からなかった用語の説明とか仙門の世界についてもより詳しく書かれているので、いろいろ理解が深まって良かったと思います。

そしてドラマとはまた違った結末で、2人はちゃんと結ばれるのでスッキリしましたキラキラ

また、後日談的な番外編も充実していて面白かったです。

 

あ、それと…

『魔道祖師』はアニメ版もあり、今ちょうどWOWOWオンデマンドで配信中なので視聴期限までに観終われるか不安ではありますが…チャレンジしてみたいと思います。