有川浩『空飛ぶ広報室』 | キムチの備忘録♪

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読み終わった本の感想です本
 
有川浩『空飛ぶ広報室』

 
不慮の事故で夢を断たれた元・戦闘機パイロット・空井大祐。異動した先、航空幕僚監部広報室で待ち受けていたのは、ミーハー室長の鷺坂、ベテラン広報官の比嘉をはじめ、ひと癖もふた癖もある先輩たちだった。そして美人TVディレクターと出会い……。
(文庫裏表紙より)

 

 

 

久しぶりにに有川浩さんの本です。

このお話は2013年にTBSでドラマ化されています。

 

 

ドラマの方は以前観ましたが、キャストも内容もとても良かったですキラキラ

なお、ドラマでは原作との細かい相違点もありますが、一番大きな違いは主人公が原作では空井大祐なのに対しドラマでは稲葉リカ(帝都テレビディレクター)になっています。

その理由について脚本の野木亜紀子さん曰く、自衛隊を知らないリカ目線の方が視聴者目線に近いから、とのこと。

確かにドラマ的にはリカ目線の方が分かりやすいと思うので、納得です。

 

 

 

物語の舞台は防衛省内にある航空幕僚監部広報室。

ここは航空自衛隊についての広報活動を担当し、一般人への自衛隊活動への理解と認知を広めるために対外的な対応を担っている部署です。

主人公の空井大祐は交通事故に巻き込まれたことによりパイロット生命を絶たれ、広報官としてこの部署に着任します。

そして自衛隊についてはずぶの素人であるテレビディレクターの稲葉リカが取材で広報室を訪れ、長期密着することになり空井や広報室の人々と深く関わっていくことになります。

 

夢だったブルーインパルスパイロットの道を閉ざされて広報官になった空井と、報道記者の夢を断たれディレクターになったリカがお互いに刺激し合って再び前を向いて歩いていこうとする姿が良かったです。

広報室の個性豊かな面々も魅力的でした。鷺坂室長をはじめ、実在のモデルが存在する人物をキャラクターとして描いていたりするそうです。

また、男社会の中で女性の生きづらさや逞しさなども描かれていたのが良かった。

何より、自衛隊という組織が世間の人々に理解されることの難しさ、風当たりの強さなど、今まで私自身が深く考えたことがない事をたくさん学ぶことができました。

 

そして特筆すべきは、最終章の「あの日の松島」ではないでしょうか。

実は『空飛ぶ広報室』は2011年の夏に出版される予定だったそうです。しかし東日本大震災があり、有川さんは3.11の空自広報について追記する為に発売を延期する決断をされました。

ブルーインパルスの母基地でもある松島基地が大きな被害を受けたことや、自身も被災者でありながら災害派遣に赴く自衛官達の想いが、空井大祐、そして稲葉リカを通して描かれています。

この章を読んでいる時、ずっと涙が止まりませんでした。

有川さんが取材した内容がほぼノンフィクションで詰まっているそうです。

自衛隊がこの国にあって、有事に真っ先に駆けつけてくれるということに改めて感謝の気持ちが大きくなりました。

 

ちなみに、ドラマでは最終的に空井とリカは結婚しますが、原作ではそこまでの進展は無かったです。

だからちょっとドラマが恋しくなってきちゃいました…また観たいなぁラブラブ

有川浩さんの原作もドラマも両方面白いのでお勧めですビックリマーク