長いツアーもラスト、ここは返金続出の大難関だったのに、取れてしまった上に3列目で、自分の運に感謝した。

とはいえプーだった私も11月から再就職してしまい、都内から開演までに群馬まで行くのは至難の業で、入社してから1月もたたないのに嘘ついて半日早退しました。来年はもっと堂々と休めるだろうけど、この最終日のライブは重大なんだもん。

高崎に降り立つのは初めて、仙台駅の縮小版みたいに駅からデッキが出ている。そこからちょっと歩いた先、城址ってことは元はお城の跡地なんだね。

会場内、3列目だから実質で2列目かと思っていたが、少し斜めになっていて最前が2列目だったので実質最前列、ヒデの少し斜め右で、ユータもよく見える。舞台まで約1メートルの距離、最終日ということもあり開演まで座っていてもかなり緊張した。

 

楽しい時は過ぎていくのが早い、全部最後だと思うとどの曲も聴き逃がせないと思ったし、歌うあっちゃんも日でもユータもアニイも全部見ていたくて、実際見ているのに全部は覚えていられなくて歯がゆい。全部過ぎ去っていく夢みたいだ。

ユータは結構客席を見ている、指でクイクイってやって反応した子をチェックしてたり、何度か目があったような気がしたのは最後にもう一つ大ラッキーがあったせい。

間近で見るあっちゃんは細いながらやっぱり男の人だなぁと思う。近くで見た化粧顔の印象は「シベリアンハスキーみたい」だった。だって目元が黒くて隈取みたいだし眉つり上がってるし。近くへ来ると手を降ったりはしたけど、いざ近くまで来られると引いてしまうというか、視線を合わせられない怖さもある。

 

「じゃユータから渋いやつ」と言って「誘惑」、武道館で「ヘビィな歌」と言っていたがヒデのキーボードが本当に上達していて、指がちゃんとバラバラに動いてた。

「VICTIMS~」ではあっちゃんのサックスもちゃんと指が動いていたし、武道館の時は結構単音を出してただけだったのが、時々声を出して叫びながらラストまでずっと吹いてて、他のメンバーの音と混じり合っていい感じになってた。長く音を伸ばしてて、ボーカルの肺活量がここでも生かされてるの?とか思ってた。

「明日からまた退屈な日々に戻ってしまう」メンバー紹介のあとだったと思うけど、あっちゃんがそんな事を言っていた。ツアーが終わって悲しいのは私達だけじゃなくてステージの上にいる彼らも悲しいのかなと思った。

「すべてが夢のようさ…」と「キラメキ~」のイントロであっちゃんが何度もつぶやくように歌う。ここにいる瞬間さえ、自分の見てきたライブの日々がすべて夢だったかのような錯覚に襲われる。そして最後1回「すべてが嘘のようさ」と締めてドラムが入って歌い出す頃には、ライトの下でケロイドの男を演じている彼を食い入るように見ているしかできなかった。

「今年の最後にdieを出せてよかった、ありがとう」と、そして「昨日も夜遅くまでスタッフと飲んだ。メンバー5人、今ここにいられるのはみんなのおかげです」とスタッフへの感謝を述べる。半年にも渡る長いツアー、裏方の皆さんも大変だったろうな。でも今日ここで終わる。それこそラストのdieのように。半分歌ったところで「さよなら、全てのものよ!」と叫ぶように吹っ切るように言い放つあっちゃん。dieの歌詞が好きなのは、別れなんだけど夜の眠りと次の朝を、暖かく柔らかい寝具に包まれて眠る限りなく優しい夜を連想させてくれるから。

 

時間が長いような短いような変な感覚のまま本編が終了して、長いアンコールのあとは「EMPTY GIRL」と「PHYSICAL NEUROSE」で盛り上がる。

 

2度目はメンバーがドラム盤を持ってきて投げたりして大盤振る舞いで、そのあとあっちゃんが両脇に男二人の肩を抱いて出てくる。スタッフ代表でと舞台監督とマネージャー下川氏、二人を紹介し、他のスタッフにも感謝の言葉をかけたあと、ご苦労様でしたといってあっちゃんは二人としっかり抱き合っていたのだけれど、そうやって並ぶとあっちゃんは背の高さは同じでも普通の男の人より華奢な感じに見えて、普段舞台にいると現実に生きているのかどうかもわからない感じなのが、生身が抱き合ってるんだなーって、ちゃんと肉体あるんだなーって、作った顔じゃない地が出てたので見ていて嬉しくなってた。二人が退場するときにもう一度舞台監督にポンポンと肩を叩かれて抱き合ってた。「他にも19ん時から一緒にやってる浅見っていうのもいるけど」と手招くと浅見氏は舞台袖まで出てきて、ペコンと頭を下げてそそくさと下がっていった。

そのアンコールは「HURRY UP MODE」と「スピード」。煽るわ歌わせるわ、客席と一体になってて、発売前に大阪で客を凍らせてたのとは別のバンドだわと、最後煽られるままに目一杯歌ってました。

ユータがアンコール終わるたびに箱からなにか取り出してバーッといっぺんに投げていて、それがピックの大盤振る舞い、豆まきみたいだった。1度目は中央あたりで、いいなーと羨ましく見ていたら、2度目は私達の前あたりで投げてくれて1枚ゲットできました、ありがとう、ユータ。

 

そして総立ちのまま呼ぶ3回目、今日はやるだろうと誰もが思っていた2曲、「じゃ今日は来てないけど、この曲を僕のママにも聴いてもらおう」と「JUPITER」そして「太陽ニ殺サレタ」、間奏のところで「みんな座ってくれ」とあっちゃんが呟くように言う。強制するような声ではないが、みんなあっちゃんが言うならって素直に席についていく。去年のツアーの郡山でやはりこうして座らせたという話を知っているからかもしれないけど、振り返ったら壮観だった。座って聴くのはまた曲の印象が違う。床やスピーカーから音が上がってきて、ドラムのビートと一緒に心臓が跳ねる。低く通ったあっちゃんの声が胸に痛くて、本当に最後なんだなぁと思った。終わらないでと思い続けた時間、「やがて幕は落ちる憂鬱の中で」という気分がよく分かると思った。曲が終わるとまたみんな立ち上がって、メンバーにサヨナラと手を振った。

最後に何度もありがとう、またと言いながらあっちゃんはユータと肩を組んで袖に引っ込んでいった。

 

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個人的に今日は普段しない黒づくめで、このツアーを葬るような気分でいました。

19本も見てやっぱり愛着のあるメニュー、好きな曲ばかりでもあるし、CDよりライブの音と歌が格段に良いのもあって、本当はこのままツアーやっててくれて、月に1.2回でも見に行けたら幸せなのになーって思い続けていた。でも始まれば終わるのだし、終わりはその次の始まりでもあるから、悲しまずにまた再会を待つしかないんだろうなーって思った。

入れないファンが外にたくさんいて、音漏れを聴きながら一緒に歌っていたと後で聞きました。それだけ思われているバンドなんだよなーって思った。本当にお疲れさまでした、とりあえずゆっくり休んで下さい。

高崎から帰って、一晩寝て起きて昨日のことは全部夢みたいだなーって思ったけど、もらってきたユータのピックが、それが夢じゃないだよと教えてくれてるみたいで取り出して眺めながらこの文を書いています。