ライブに行くたびに雨の心配をしている気がするんだが、今回も曇りで空模様はかなり怪しげながら、なんとか降らずにすみました。
 5時半近くに会場に着いて、開場と同時くらいに中に入ってまずはパンフを買う。あとは2階席の入口の奥の方に座って、のんびりお茶飲んだりしてました。超ゴスみたいなレースとフリルの黒いドレスとか、透けるような素材のロングスカート、白レースとリボンのフリフリのミニにヘッドドレス付きのゴスロリとか、お化粧ばっちりな縦ロールのお姉さまとか…見ているだけでも異空間な感じ。黒っぽい服装を夏仕様で楽しんでいる感じで面白かった。
 席は上手の一番後ろ側のどん詰まりに近いところで、見えるかなーと心配していたんだけれど、ギリギリでユータがちゃんと見えるくらい、ヒデの向こう側の椅子とかは見えなかった。今井さん側は舞台袖まで見えましたが、やっぱり今回のセットは真正面から見たかったかな。

SE~ENTER CLOWN
 いつものように開演ブザーがブーッと鳴って開演、舞台の幕はグレーの少しシャラシャラしたような生地だったみたい。
 イントロから始まり、パッとスポットライトが真ん中につくと、小さめの傘が現れました。「えっ?」と思うと、それがくるくる回り出す。やがて幕の真ん中から大柄な太っちょのピエロがぬっと登場、どうやら外人さんみたい、客席はシャンシャンと手拍子で迎えてました。
 髪は白いもじゃもじゃで鼻が赤いピエロメイク、くるくると傘を回しながら現れ、もう片手には小さなトランクみたいなカバンを提げ、曲にあわせて舞台を右に左にドタドタした足取りで歩き回る。トランクからハート形の風船を取り出して心臓のあたりに当てて、それを前列の客に差し出したり、細長い風船を出してふくらませて風船細工の犬を作り、前列の子に「欲しい人ー」って感じで手を上げさせていたのだが、渡そうと思った瞬間に破裂して「あー」って感じで嘆いていたりして、仕草がとってもユーモラス。最初からこんなに盛り上がっちゃって、これでシリアスな本編に入れるのだろうかと心配になるほどでした。

降臨
 幕は左右に開きました。席が右端だったので、セットがだいぶ斜めよりでちょっと残念…。
曲が始まった途端にブワッと風が来ました。多分スピーカーから来る音圧の風なんでしょうが、そんなのを感じたのは初めてでした。
曲の切れ目でトンと杖を突き、威嚇するように歌い上げるあっちゃん、やっぱり格好良い。ゆっくりと階段を降りてきて、曲のラストでもまだ降りきってないくらいだったかも。

あっちゃんはラメのブラウスにコートのバージョン、帽子と杖もあり。今井さんは赤チェック、メイクとかはよく見えませんでした。ヒデさんは普通のスーツの方で中のシャツがなぜか銀ギラだった。ユータが黒、アニィも黒で衿に縁取りのある上着だったと思う。

Cabalet
やっぱり長椅子に座って、帽子を目深に被り、片足を椅子の上に上げていたかも。
ミラーボールが光り、男パートでは足を開いて姿勢を低くして歌うあっちゃん。最後は足を組んで歌っていたと思う。

異人の夜
低音だと音圧で風が来るようだ、この曲もそう。ベースとドラムの低音が聞いていて心地よい。真ん中にどっしりと立って手を開いて歌うあっちゃんの、安定感が凄いなと思う。「花びらまき散らしゆく」と両手を開いて花のように、手をひらりと動かしただけで世界が出来る。スポットの中、マイクスタンドの前にすっくと立つ姿が浮かんでます。

MY FUNNY VALENTINE
この曲、昔よく聞いたので、ちょっと昔にタイムスリップ。間近くはどうしても「極東~」の時の煽りを思い出してしまうのだが、今回はシリアスなまま。だけど何となくツアーでずっとやっている曲に比べると慣れないせいかインパクトが弱いかなぁと思ってしまったのだが。途中膝から崩れ落ちたら帽子が取れて下に落ちて、終わってから帽子を取り上げて置き直してました。

ALIVE
暑いのか演出なのか肩までコートをはだけてポーズを取っていた気が…。脱いじゃえばいいのにーなんて思ってた。
ヒデさんが階段上でギターを弾いていたのは覚えている。


SE~CROWN LOVES Senorita
あっちゃんは長椅子のところに座って、「ようこそ」と呼びかける。ピエロが出てくると「ハイ、トム遅かったじゃないか」、「さあ、皆さんに夢をお見せするんだ」と支配者のように低い声で命令するように言う。ピエロが紐の先に夜光塗料を付けたみたいに光るものを付けたのをくるくる振り回す。
ひとしきりやってあっちゃんの方を見ると、「もっと、もっとだ」と言うあっちゃん。ピエロは同じものを二つ取り出して、それを懸命に回してみせる。そしてまたあっちゃんの方を向くと「もっとだ、もっと皆さんに夢をお見せするんだ」…と、かなり高飛車な調子で言い、次に振り向いたピエロの手にはあっちゃんに渡されたらしいナイフが…。
「もっと夢を、お前の血を…」と、ピエロはナイフと自分の左手首を交互に見て戸惑ったようにしている。そして腕のあたりを何度も切りつけるようにする。「みんな血が大好きなんだ」「そうだろう、ハハハハ…」とあっちゃんの高笑い。
もうこの場面では、あっちゃんはすごい高慢な支配者って感じに見えていました。台詞がわざとらしくなくハマっていて、凄い寸劇だなぁって見入ってしまいました。
そしてそんな中を舞台を右から左にステップ踏んで横切っていった今井さんも別の意味で凄い、ただしちょっと場面ぶちこわしな感もあるのだが…。

Goblin
ここでコートを裏返して腰に巻く。「腰が揺れていた~」と腰をゆらゆら。「オーイェイ」の今井さんコーラスも健在。
前の舞台際ギリギリまで今井さんやあっちゃん、ヒデさんは出てきてました。
間奏でユータが下まで降りてきて、ベースを弾きまくっていました。結構今井さん前まで行ってて、両ギターが挟むような感じで3人が前で弾いていて、あっちゃんは階段の上へ。

Tight Rope
階段の中程に座って、ほわっとした感じで歌い出しました。言葉を噛みしめるような感じで歌ってた気がします。前半座ったままで、後半は舞台に中央に立って上の綱の方へ手をかざして綱渡りのように体をゆらゆら。

謝肉祭~カーニバル
あっちゃんはスカーフを頭から被ってマチコ巻き、仮面を持って歌い出しました。顔にのせたり、仮面と見つめ合ったり、紫っぽいライトだったと思う。ファルセットの高音はこんなもんなのかなと思うくらいで、苦しそうではなかった。
「愛し合って…」と、仮面と顔をつきあわせて、キスをするような感じで後ろ斜めに顔を傾けてました。

キラメキの中で…
そのままスカーフは顔中ぐるぐる巻きで、足元のライトをつけて始まりました。ライトに体半分照らされて、ちょっと不気味な感じ。今井さんのイントロは「白鳥の湖」、展開部まで弾いていた気がする。後半もそのまま白鳥の湖…それがなんで曲に合うんだろう。
ラストはやっぱり後ろに「夢だったのさー」とつけ加えて歌ってました。そして腰をかがめて足元のライトを消していました。

道化師A
帽子をかぶり、ステッキを持って、腰にコートを巻いたまま歌ってます。杖をついて片足で立ったり「髭の女装歌手」と鼻の下からくるんと巻いた髭を撫でるような仕草。
途中でのけぞって帽子が取れたのをステッキで上手く拾い上げて皿回しのように回して、マイクスタンドに乗せていたのはここだったかな?あっちゃんの芸当ーって感じでした。
「鏡よ鏡…」と、後ろの鏡を取り上げて顔を映していましたが、ちょっとだけだったので、何となく中途半端なパフォーマンスに見えたかも。

SE~LullabyⅡ
あっちゃんは長椅子に腰掛けている。多分ピエロ?が、キリスト教の修道士が着る灰色のローブのようなものを来て、頭までフードを被って登場、棒の先に火が着いているもので、燭台の蝋燭に火をつけている。おっ、あっちゃん、追加公演では自分で蝋燭の準備しなくていいんだねと先日の札幌の「蝋燭つかない事件」を思い出してしまった。そのあとピエロは2本の棒を持ち、そこに火を移して口の中に火を入れて消すような芸当を始める。ここでも拍手喝采。
後半バレリーナがつま先立ちで踊り出てきて、あっちゃんが手を伸ばしてたりして真ん中で二人が絡む。立ったままバレリーナはのけぞるようにして、そこに上から覆い被されるようになるあっちゃん。腰のあたりを抱いて、少し撫で回してましたが、あんまりエロって感じはしなかった。バレエの人みたいにちゃんとサポートが決まってなかったのはやっぱりご愛敬ですか。バレリーナが逃げるように袖に戻り、暗転。

Passion
後ろの半円形の蝋燭が2列になっていました。おーパワーアップ。それと真ん中の階段のところの蝋燭と、シャンデリアの蝋燭と、明かりがゆらゆら揺れている。
あっちゃんは燭台に手を出さず、火のついたままの蝋燭は後ろのテーブルに置かれたまま。イントロのところでマイクスタンドを肩に担いで張り付けに。間奏あたりでやっぱり気になったのか、それとも演出なのか、小さいテーブルを前に持っていって燭台をそこに乗せ、後半は蝋燭のところで顔を近づけるようにして歌う様子がすごい綺麗だった。

DOLL
あっちゃんは人形を持って階段にのぼってました。いつものパターンという奴なのか、曲のイントロでジャーンと高い高いをするように人形を掲げて始まります。だんだんと抱き方が赤ちゃんっぽく見えなくなってて、撫で回すようにしてたかも。
人形を抱いているその同じ手でマイクを持って、もう片手を横に開いて、「回る回る…」と歌いながらくるくる回ってましたが、今日はスカートバージョンだったのでやっぱりシルエットが綺麗。このシーンも今日か明日撮影されてDVDに入るのでしょうね。
最後は階段の途中あたりで人形の髪を掴んでぶら下げて、激しい感じで歌って、最後にぎゅっと抱きしめてたかも。最後はちゃんといつものように長椅子に戻していました。

月蝕
やっぱり燭台を持って舞台の左右へゆらゆらと。腕をまくって蝋燭を自分の腕に垂らしたり、前列の人に垂らしたり。顔の前にかざしたり上へかざしたりと、燭台の扱いも手慣れた感じ。やっぱりあっちゃんの回りを土人のステップで回る今井さん、ちゃんとドンドコ太鼓のメロのところだけ回ってるんですね。何回見てもいろいろと細かい発見が多いです。

Seraphim
長椅子のカラーを手に持って歌い始めました。「さよならだー」って、最初はそんなに長く歌を伸ばしてないのが、後半に行くに従って、どんどん声を伸ばして長くなってるんだなーと今日初めて思いました。そのたびに手をさよならーと手を振っているあっちゃん。ここだけかなりほのぼのとした感じでした。
「ぱぱぱ ぱぱぱ ぱっ」ジャンで両手横に出して、おどけるようにポーズを決めて終わりました。

タナトス
ココでこれが入るのかぁーと、ちょっと驚いた。どっかで歌詞を間違えたなーと思ったのを覚えているんだけど、どこだったか。
なんか…あんまり覚えてないな。

夢魔 -The Nightmare
オレンジ色の光の洪水に、音の奔流、怒濤のように続く歌、今までになった迫力ですね。だけど別のコーラスの声が重なっていて、どこがあっちゃんの生声でどこがテープなのか時々区別の出来ないことがあります。いずれにしてもアレまだおわんないのーというくらいずーっと歌が続いていて、しかもコーラス被っているので間違えるわけにもいかず、結構大変な1曲なのではないかと。一緒に声出さずに歌っていると、絶対息切れします…。
最後はゆっくりと階段の上まで上がっていって、ほんとうにゆっくりと椅子に座り、足を組み、座りきったあたりで幕が下りてきました。

アンコール1

ノクターン
最初何の曲だかわからないままイントロが始まって幕が開く。雨を受けるように手を掲げて、前に年末武道館を放映したものとは質の違う曲になっていました。「まるで影の移動~」とスーッと手を伸ばすとまるで何かが移動したように感じたり、「惑星は裏返る」と手をくるっとひっくり返して、そんな静かに演劇的な動作が似合う。声の感じも歌がまた全然ちがって聞こえるような印象で、こんなに違うのかと感心したような気が…。パララ…が囁くような声で、儚げで素敵。
この曲の進化は是非DVDに入れて欲しいものです。

die
個人的に思い入れが強いせいなのかもしれませんが、93年のツアーを思い出してつい比べてしまうのです。
ここでdieが聞けるとは思わなかった。そして一番ラストのところ「さよなら全てのものよ」と歌うところを、手を広げて羽ばたきながら「死ぬまで羽ばたいてゆく」と歌うあっちゃん。もしかして間違い?という気も頭をよぎりましたが、そのあともラストまで手を大きく羽ばたかせて堂々とステージに立っている姿はもうただ綺麗。
何だかもう勝手な思い入れで、死ぬまでこうしてやってくつもりなんだな、みたいなそんな決意のようなものを今更に感じたりして、涙出ました。

NATIONAL MWDIA BOYS
あっちゃんが手拍子をパンパンと叩いて、それに客席が同調して、そのままイントロから始まりました。手を叩いたり手を振ったりして、やっぱりいつものようについつい踊らされてしまう。「片足バレリーナ」といつも片足になるあっちゃん、この辺演奏がパッ、パッときれいに止まって、声だけが綺麗に映えてました。

アンコール2

ROMANCE
出てきたあっちゃんは両手をスーッと下げるようにして、それで照明が薄暗くなっていき、囁くような声で「ローマーンス」と行って始まりました。イントロでは指揮者のような手振りが結構派手に…。大きいお人形が出るかと思ったら出てこなくて、ラストの方で椅子に座っているあっちゃんの前をバレリーナさんがつま先立ちでちょこちょこと出てきて、手をさしのべて誘惑するかのように踊っていました。結局触れることもないまま幕の袖にバレリーナが逃げ帰り、曲の終わり。


階段の途中に立って、「メンバーを紹介します」って感じで、「ドラムス」とかパートの時は普通の声なのに、メンバーを紹介する声がすごく低くておどろおどろしかった。アニィがドラムソロを叩き、そのあとも紹介のたびに一節ずつドラムを叩く。アニィ、ユータ、ヒデと紹介があって、最後は「ボーカルは櫻井敦司」と囁くような声で自分を紹介していて、客席からは大拍手。
そのあとピエロとバレリーナ・ベッキーが紹介されて、舞台の上にはメンバーと二人のエキストラが揃っていて、なかなか壮観。ピエロだのバレリーナと並んでいて違和感のないメンバーも何だかすごいかも。ピエロが持っていた火なんかを小さい薔薇に変えてバレリーナに渡すと、バレリーナはそれをあっちゃんに捧げるように渡してました。

DIABOLO
そんなことをしている間に今井さんがイントロのキターを爪弾きだし、「フィナーレです、また会いましょう」と言って、コートをスカートにしたまま帽子を被り、ステッキを持ってあっちゃんは歌い出しました。出演者総出のまま、バレリーナが後ろで踊っていて、ピエロがそのマネをしてバレエのように手を組んで踊るマネをしたり。今井さんが負けじと足上げステップを踏んでいたような。
なんか本当にカーテンコールって感じで、この舞台にはとても似つかわしい光景でした。ついバレリーナとピエロに目がいってしまう…。

最後にあっちゃんは中央で左手にピエロ、右手にバレリーナと手を繋ぎ、3人で深々と礼。それから「どうもありがとう」などといいつつ、手を上げて、ピックやスティック投げたりしながらメンバー退場。

SE~WHO'S CLOWN
 ステージにはバレリーナが長椅子にだらりと崩れ落ちるようにしている、絵になる光景。そしてヒデ側からさっき蝋燭をつけていた時みたいな灰色の修道私服を着て、赤いもじゃもじゃ髪のピエロ登場。バレリーナを伺い、それから階段を上り、玉座に近づいていく。邪悪な感じがしてました。ピエロはそのまま階段上の椅子に座ってふんぞり返り、そのまま幕。
 何だかまだ続きのできそうな、不穏な感じのエンディングでした。

 終演後聞いたところでは、名古屋は2日ともまたエンディングとかの感じが全然違ったそうですね。ピエロが斧を持ってバレリーナを追いかけていたとかっていうのも聞きました。残りの日程ではどうなっているんだろうな。

 

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 名古屋でエキストラ登場というネタバレを見て、これってどうなんだろうと心配半分、期待半分。
 ステージにメンバー以外がいるって、ゲストが1曲出るくらいしかないことなのでどうなるんだろうと思っていた。ただ今回のこのステージには、かなりハマるんじゃないかとは思っていたんだが、初っぱなからピエロの登場、そして寸劇、儚げなバレリーナと歌や演奏を邪魔するわけでなく余計にステージの「見せ物小屋感」を増幅させて、気分を盛り上げていました。凄いなぁ、こんな事考えていたんだねーって今更のように感心して、美しいステージの終わりを本当に楽しんだのでした。終わってしまうのが勿体ないくらいの、楽しくて儚い世界でした。
 もっともっと見たかったな、とても楽しませてもらった、これまでにない充足感のあるライブでした。いや、ライブでなくやっぱり「ショウ」だね。こんな事が出来るようになっちゃったのか…バクチクって凄いよー。