このゲスト参加が決まった時に何だかとても驚いたし複雑な思いにもなった。マンソン側が希望して彼らを呼んでくれたのか、それとも何かの戦略的なやりとりがあって出演が決まったのか。ゲストなどと名は丁重ながらも、結局は「前座」という言葉で置き換えられてしまうものには違いない。破格な待遇で迎えられたとしても、メインアクトの為に座を暖めるだけの役割でしかない。デビュー16年、日本ではこのNKホールを単独公演で埋められるほどのバンドでありながら、それでも「外タレ」(言葉悪いです、すいません)の前座に出るのか…その程度のものなのかとか?とか、少しは疑問と共に憤りもあったりした。

私はB-Tを上手いとか下手とか相対的に評価する耳を持っていない。ましてや世界レベルで彼らがどの程度かなどと、間違っても語る口はない。ただやっぱり何となく嫌ではあるので、その外人さんたちは私の大好きなバンドを前座に据えて公演するほど、高尚なレベルなのだろうかとかいろいろな事を思った。予習を兼ねてCDを聞いてみたり資料を検索してみたり…。こんな機会でもなければ、別のバンドのライブなんてものになかなか出歩けないので、同じステージに続けて立っているのを見たら何か少しでもヒントが転がっているだろうかと考える。
この前に行われた大阪公演での話は少し聞いていたけれど、今日はどんなふうになるのだろうか。初めて見るマンソンと、前座なB-Tにちょっと不安な気分になったりもする。開場がやたらと早いし、午前中は子供の運動会から直行ペース、忙し過ぎる。

 

幕張へ行く京葉線の道すがら、妙に黒いなぁと思う。この人たちはB-Tかしらマンソンかしらと色々思いめぐらしたりして。ゴス系のお姉さんとか、パンクっぽいお兄さんとか、いろいろな人がディズニーランドの光景と妙にミスマッチに歩いている。いや、夢の国にも悪人はいるものだから、これもまたありというのか…。
会場へ行くと更にすごいことに…。マンソンTシャツのお兄さんとかお姉さんがいっぱいいる。背中のロゴは一緒だけど、前はいろいろと柄があるらしく、何種類くらいあるんだろうと思ってしまった。マンソンのパンフだけは買おうと思って、物販に行ったら、Tシャツ見本が山のように飾ってありました。

NKに来たのは3回目で、2階に上がったのは初めてでしたがきれいなホールです。下にはスタンディングの人たちが、ぎゅうっと詰まっていてAブロックの後ろの方で、金髪のお姉さんらしき人がジーンズをおろして喝采を浴びたりして何だか違う雰囲気、外人さんも結構いました。化粧したアップのマンソンT…夢に出そうな怖さだなぁ。

5時少し過ぎたくらいだったか、いきなりの「Continue」、これはB-Tの公演じゃないのかと錯覚しそうになるほどだ。やがてスモークの中をメンバーの登場、場が沸く。中央にはモナリザツアーの銀色のマイクスタンド、ベースもドラムも台の上ではなく同じ高さに置いてある。
衣装、あっちゃんと今井さんしか見てません。あっちゃんが黒っぽいスーツ、上着の丈が長めで胸に赤いチーフ、何か足が細い。髪の毛短めで、サイドを少し流している感じだったか、今井さんは白っぽいアルファベットのロゴの入ったシャツで、左腕に赤いバンダナをつけていました。髪は金だったか?赤いチーフとバンダナでお揃いだーと思った私は、ちょっと腐ってるかも。ヒデがライダースみたいな上着だったっけ?もう覚えてません。

登場したメンバーから発せられた音の奔流…。すごく一生懸命な感じがした。気負っている感じもした。音も声も、最高レベルでがんばっている感じがする。音も攻めに入ったようなガンガンと響く音。少し堅いなと思ったのははじめの数曲、ああ緊張しているんだろうなぁってすごく伝わる感じだ。マンソンのセットが後ろにあって舞台が少し狭そうで、けっこう動きも少なく、モナリザツアーのマイクスタンドにしがみつくようにして歌っている。
3曲くらいだったか、「こんばんは、バクチクです」とか「ここに立てて嬉しいです」とかそんな感じのことをあっちゃんがMC、やっぱりゲストだからね、こういうのは普通のライブでは聴けないよなーと思った。
音がシャキッとした感じで、耳に心地よくスパッと届いてくる。ちゃんと照明も揃ってるんだなーなんて、当たり前のことで安心したりして…。
そしてこんな「Long Distance Call」は聞いた事がないと思うくらい、いい声のきれいな音の…。会場が静まりかえって、アクアの照明がステージの真上から降る中、ああバクチクだーって、意味もなく心地よくなってくる。会場にいるファン以外のどれくらいの心にその歌が届くかはわからないけれど、祈りにも似た歌だった。
惜しむらくは全体にストロボ照明を多用しすぎていて、目にきついというのか、うざいなぁって思えてしまったこと。特に最後の「Mona Lisa」では、全編目つぶし状態で凄く勿体ない。これはポケモンか…とか、訳のわからないことを思ってしまった。

マンソンは凄かったです。ビート間のある曲で飛ばす飛ばす…って感じで、いろいろ手を変え品を変え楽しませてくれました。凄いパワーもあり、やっぱりその人は世界的なスターで、それだけの場数と実績を踏んでるんだろうなって思いました。
着替えたり小道具を使ったり、ダンサーのお姉ちゃんが出てきたり、ミッキーマウスの耳の被り物をつけて「Small World」なんか歌ったり、とてもエンターティメントという感じがしました。自然と体が動く感じで、結構気持ちよく踊りながら見てました。手を叩かせたり、次の曲は「……だ」と言いながら、一節歌ったりしていていた。
意外だったのは照明がとっても落ち着いた感じで、アクアと緑と紫と黄色かな、動く時もライトが緩やかで、この曲調にしては大人しい照明なんだなと思った。勿論リズムに合わせて、チカチカとストロボ照明が使われていて、それがよいアクセントになっているのだけれど、その前のB-Tの目潰し照明ががトラウマになってたからかもしれない。
大阪でもまるっきり同じだったよと言うのを聞いて、そこでお姉ちゃんに触るのもちょっかいを出すのも、全部予定調和なのかーなんて思って、それはショウなんだろうなって思いました。ただそれなら何度も見る必要もないし、見たいと思わないだろうな。だから私はB-Tにマンソンのようなエンターティメントになれとは思わないです。ただあの曲調なら、もう少しガーッと凶暴な感じとかをさらけ出して滅茶苦茶になってもいいんじゃないかなーみたいな、まだまだ羞恥心あるんだなー、もっと捨てようよ、あっちゃん…ていう感じはしました。

頑張ってるなーっていうかんじで、今回は意外と冷静に見てしまいました。うちの子の発表会状態で…。同じステージの上で、続けて見ると、まぁいろいろなことが見えてくるような気がします。

 

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セットリスト

Continue
ナカユビ
LIMBO
原罪
MONSTER
BUSTER
Long Distance Call
Baby,I want you
My Fucki’n Valentine
Mona Lisa