月曜日にガイダンスが行われた電力会社系のセールスの面接は水曜日が本番。前回の記事の最後にも少し書いたが、今回の面接に関しては、ある時突然思いついた秘策があったので、それを試してみたいと思ったのだ。
ガイダンスから2日後の面接当日。実際に面接に来たのは30人弱ぐらいだった。僕が以前勤めていたセールス会社の面接の時の様に、応募者たちはコの字型に並ぶ。
前回のガイダンスの終わりに、ジャックが「今回は僕がたくさん喋ったから、次回は君たちがたくさん喋る番だ」と言ったが、その際にジャックは応募者たちに今回の面接での課題を伝えていた。それは「自分をアピールする事」。自分をアピールするのにどんなスタイルを用いても、何分かけても、それは応募者の自由。とにかく「自分はこういう人間です」というのが伝わるように、というのが最大の焦点のようだ。
僕はこの「自分自身のアピール」を2つのパートに分けて考え、それぞれに1つずつ秘策を忍ばせる事にした。
まずは秘策その壱。僕は自分で2つに分けた自身のアピール時間の内、前半部分を自分の名前、出身、これまでのキャリア等、自分の基本情報を伝える時間として位置づけた。この部分で一工夫入れたのは、これまでのキャリアに関しての部分。もっと具体的に言うのであれば、なぜ前の会社を離れる事になったのかに関する言及についてだ。
以前にも書いた通り、僕は前の週の木曜と金曜にもそれぞれ1件ずつセールス系の会社の面接を受けているが、どちらも落ちている。その面接の際、何故前の会社を離れたのかを聞かれた時に、バカ正直に「ノルマを達成できずにクビになりました」と言ってしまっていたのだ。金曜日に受けた2件目の会社の面接では、「既に別の会社を成績不振で解雇された人をウチの会社が雇う理由は?」等とけっこうキツイ事を言われたし、ここをなんとか上手くかわす方法はないだろうかと考えた結果、ある事を思いついた。そういう質問をされないように誘導すればいいのだ。
コの字型に並んだ応募者たちの自己紹介プレゼンが次々に終わり、僕の順番が回ってきた。名前と出身、この仕事に応募する前は、チャリティ系のセールスをやっていましたと、前職について軽く説明する。大事なのはこの直後だ。面接官であるジャックに「何で前の会社を辞めたの?」と聞かれるより先に、一呼吸置かずに一気に話を続けるのだ。
僕:「以前は○○という会社で発展途上国支援のチャリティーセールスチームに所属していました。やりがいのある仕事だったし、給料もよかったし、同僚もボスもみんな良い人たちだったし。そういった事に関しては不満はなかったです。ただ、この仕事、終わるのが遅くて、いつも帰りが夜遅いんですよねぇ…。」
そして僕はここでようやく一呼吸置いた。
ジャック:「そうなんだ。終業時刻は何時になってるの?」
僕:「原則は夜8時です。」
ジャック:「8時!遅くまでやってるんだねぇ。」
僕:「でもそれはあくまで原則なので、もっと遅い事もよくあるんですよ。8時過ぎても、日中に『また後でもう1回来ますね』と予約とっておいた何軒かの家にセールストークをしに行かなきゃいけない事もあるので、実際には終わるのは8時20分とかそれより遅い事もあるんです。」
ジャック:「うわ~大変なんだねぇ。でもウチは6時までだから安心して♪仕事はこれぐらいの時間には終わらなきゃね(^0^)」
よし!上手くいったぞ。辞めた理由を聞かれる前に前職の不満を少し漏らす事で、ジャックの注意をそちらに逸らす事に成功した。あくまで僕はその会社で働いていた時に実際に持っていた不満を口にしただけで、嘘はついていないのだが、これでジャックは僕があまり夜遅くまで勤務せずに帰宅し、ワークライフバランスを保ちたいから職場を離れたのだろうと思ったに違いない。
ちなみに、ここオーストラリアでは、面接において前職の不満を少しぐらい漏らしてもそれほど問題視されない。勤務時間が長い、給料がよくない、上司の態度が酷かった等々、色々考えられるが、それが自業自得のものでもない限りは、ちょっと不満を言った程度ではマイナス評価にはならない、というのが僕がセールス会社で面接をしてみて持った印象だ。実際、僕以外の応募者でも前の仕事のここが良くなかったと言ってても合格する人は何人もいた。さて、前半部分の秘策は上手く行ったことだし、ここから後半部分の秘策その弐につなげねば。僕はこう切り出した。
僕:「あの、先ほどもお話したように、僕は以前チャリティのセールスに所属していたので、そこで使っていたセールストークがどんなものか、もしよろしければ披露したいのですが、いいでしょうか?」
ジャック:「おぉ、いいねぇ!是非やってみせてよ!」
僕:「じゃあ、ここにドアがあるつもりで、ドアをノックする所から始めますね^^」
ジャック:「いいね!じゃあ僕、住人の役をやるよ!」
ジャックはすっかりノリノリである。
コンコンコン(とドアを叩くジェスチャー)。
ジャック:「なんだ~い?」
僕:「Good day mate, how are you doing?僕はチャリティ組織○○のショーンって言うんだ!僕たちの組織の名前、聞いたことある?」
ジャック:「あ~そういえばあるよ~~。」
僕:「ホントに?どこでどこで?」
ジャック:「テレビのCMか何かだったと思うなぁ。」
僕:「そっかぁ!それは嬉しいね!僕たちが普段どんな事やってるかは知ってる?」
ジャック:「うーん、そこまで詳しい事はしらないな~。」
僕:「ハッハッハ!近所のみんなもそんなに知らないから大丈夫だよ!僕たちは主に発展途上国の子供たちを支援しているんだ。アジアにアフリカ、それに中南米。これらの地域のどこかには今まで行ったことはある?」
ジャック:「ないよ~そんなの。」
僕:「ハッハッハ。いつか宝くじでも当たったら行けるんじゃないかな?もしそうなったら素敵だね。」
ジャック:「そうだね~。」
僕:「僕たちはただ発展途上国に行って、水や食料を配るだけじゃない。こういう援助って短期的な効果しかなくて、一度供給が止まるとそのうち効果がなくなっちゃうからね。僕たちが行っているのはもっと長期的な効果を考えた援助なんだ。現地に10~15年ぐらいは滞在して、その間に現地の人たちを教育したり、インフラを整えたりして、自分たちの足で立てるように手助けする。そして僕たちの滞在期間が終わる頃には、もう現地の人たちは先進国の資金援助などのサポートがなくても極貧生活をしなくてもよくなるってわけ。素晴らしいでしょ?で、どうやってそれを実現させるかなんだけど、チャイルドスポンサーをしてるチャリティ組織の△△△って知ってる?」
ジャック:「あぁ、名前は聞いた事あるよ。」
僕:「基本的にはあれと一緒だよ。だけど、僕たちがユニークなのは、△△△のように1人の子供やその家族だけをスポンサーするんじゃないって事。僕たちの組織でなら、子供1人をスポンサーする事でその子が所属するコミュニティ全体にサポートが行き渡るようになってるんだ。場合によるけど、コミュニティ内の人の数は500~10,000人。これだけの人を救えるってすごいよね?そのためにかかる費用は1日たった1ドル60セント。オーストラリアではこんな金額ではほとんど何もできないけど、発展途上国ではこれがものすごいインパクトになるんだ。僕たちが今やっているのは、こういった活動をもっと活発にしていくためにみんなの基本情報から始めている所なんだ。ところで、君のファーストネームは?」
このセールストークは前の会社での午前研修で何回も練習していたからかなりスラスラ言えるようになっていたし、気をつける事といえばジェスチャーを忘れないようにするぐらいだった。だがそれも前日に練習しておいた甲斐もあり、この本番でも上手くトークとジェスチャーを合わせる事ができた。僕のセールストークが終わると、ジャックをはじめとした面接官たち、他の応募者たちからは拍手喝采を浴びた。なにせ、このようにセールストークを披露させてください等と申し出たのは、30人弱いた応募者の中で僕一人だけだったのだから。
応募者全員が一通り自己紹介プレゼンを終えると、次はグループワークの課題に移った。それぞれのグループにランダムに物が配られ、それを売り込むためのトークを各グループで考えなさい、というものだった。この課題では特に各グループ間で大きな差は見られなかったように思えたので、恐らく大きなウエイトを占めたのは前半の自己紹介プレゼンだろう。
面接の全行程が終了すると、ジャックが話し始めた。
「いやぁみんなどれも素晴らしいプレゼンだったよ!さぁこの後合否の通知があるわけなんだけど、残念ながら募集人数の都合上、ここにいる全員を雇う事はできない。今回の面接を通った応募者は、今日の午後6時半までに僕から電話が入るはずだから、そのつもりでいてくれ。もし今回は採用されなかったとしても、心配はいらない。また数週間後にもう一度何人か募集する予定だから、もし今回落ちてもまだウチの会社で働きたいという意欲のある人は、その時に再挑戦してくれ。じゃあ、オフィスを後にする前に自分の名前と電話番号を書いたメモを受付に渡してから帰るように気をつけて!そうしないとせっかく合格だったとしても僕からの電話を受け取れないからね!」
今回はトムの時と違ってけっこう手応えがあった気がする。家に戻って合格通知の電話はまだかまだかと待ってみるが、僕の携帯はうんともすんとも言わない。あの拍手喝采はなんだったんだろう。僕が実は無能なのにハッタリかましてただけだった事がバレたのか?だとしたらもの凄い洞察力の面接官だな。そんなことを考えながら待っていると、もうすぐ6時半だ。やっぱり今回もだめなのかな、やっぱりセールス系は諦めて別の就活をしようかな、と考え始めたその矢先、6時半直前に僕の携帯が鳴った。ジャックからだった。
ジャック:「こんばんは、ショーン!君のセールストークは素晴らしかったよ!君の活躍は大いに期待している!早速明日から研修を受けてもらいたいんだけど、木曜日と金曜日の予定は大丈夫かな?」
僕:「はい、もちろん大丈夫です!」
キターーー(((゚∀゚)))!!これで無職生活から脱出だ。ジャック良い人そうだし、2週間でクビになるなんて事考えずに、やれる事やれるだけ頑張ってみよう!
ガイダンスから2日後の面接当日。実際に面接に来たのは30人弱ぐらいだった。僕が以前勤めていたセールス会社の面接の時の様に、応募者たちはコの字型に並ぶ。
前回のガイダンスの終わりに、ジャックが「今回は僕がたくさん喋ったから、次回は君たちがたくさん喋る番だ」と言ったが、その際にジャックは応募者たちに今回の面接での課題を伝えていた。それは「自分をアピールする事」。自分をアピールするのにどんなスタイルを用いても、何分かけても、それは応募者の自由。とにかく「自分はこういう人間です」というのが伝わるように、というのが最大の焦点のようだ。
僕はこの「自分自身のアピール」を2つのパートに分けて考え、それぞれに1つずつ秘策を忍ばせる事にした。
まずは秘策その壱。僕は自分で2つに分けた自身のアピール時間の内、前半部分を自分の名前、出身、これまでのキャリア等、自分の基本情報を伝える時間として位置づけた。この部分で一工夫入れたのは、これまでのキャリアに関しての部分。もっと具体的に言うのであれば、なぜ前の会社を離れる事になったのかに関する言及についてだ。
以前にも書いた通り、僕は前の週の木曜と金曜にもそれぞれ1件ずつセールス系の会社の面接を受けているが、どちらも落ちている。その面接の際、何故前の会社を離れたのかを聞かれた時に、バカ正直に「ノルマを達成できずにクビになりました」と言ってしまっていたのだ。金曜日に受けた2件目の会社の面接では、「既に別の会社を成績不振で解雇された人をウチの会社が雇う理由は?」等とけっこうキツイ事を言われたし、ここをなんとか上手くかわす方法はないだろうかと考えた結果、ある事を思いついた。そういう質問をされないように誘導すればいいのだ。
コの字型に並んだ応募者たちの自己紹介プレゼンが次々に終わり、僕の順番が回ってきた。名前と出身、この仕事に応募する前は、チャリティ系のセールスをやっていましたと、前職について軽く説明する。大事なのはこの直後だ。面接官であるジャックに「何で前の会社を辞めたの?」と聞かれるより先に、一呼吸置かずに一気に話を続けるのだ。
僕:「以前は○○という会社で発展途上国支援のチャリティーセールスチームに所属していました。やりがいのある仕事だったし、給料もよかったし、同僚もボスもみんな良い人たちだったし。そういった事に関しては不満はなかったです。ただ、この仕事、終わるのが遅くて、いつも帰りが夜遅いんですよねぇ…。」
そして僕はここでようやく一呼吸置いた。
ジャック:「そうなんだ。終業時刻は何時になってるの?」
僕:「原則は夜8時です。」
ジャック:「8時!遅くまでやってるんだねぇ。」
僕:「でもそれはあくまで原則なので、もっと遅い事もよくあるんですよ。8時過ぎても、日中に『また後でもう1回来ますね』と予約とっておいた何軒かの家にセールストークをしに行かなきゃいけない事もあるので、実際には終わるのは8時20分とかそれより遅い事もあるんです。」
ジャック:「うわ~大変なんだねぇ。でもウチは6時までだから安心して♪仕事はこれぐらいの時間には終わらなきゃね(^0^)」
よし!上手くいったぞ。辞めた理由を聞かれる前に前職の不満を少し漏らす事で、ジャックの注意をそちらに逸らす事に成功した。あくまで僕はその会社で働いていた時に実際に持っていた不満を口にしただけで、嘘はついていないのだが、これでジャックは僕があまり夜遅くまで勤務せずに帰宅し、ワークライフバランスを保ちたいから職場を離れたのだろうと思ったに違いない。
ちなみに、ここオーストラリアでは、面接において前職の不満を少しぐらい漏らしてもそれほど問題視されない。勤務時間が長い、給料がよくない、上司の態度が酷かった等々、色々考えられるが、それが自業自得のものでもない限りは、ちょっと不満を言った程度ではマイナス評価にはならない、というのが僕がセールス会社で面接をしてみて持った印象だ。実際、僕以外の応募者でも前の仕事のここが良くなかったと言ってても合格する人は何人もいた。さて、前半部分の秘策は上手く行ったことだし、ここから後半部分の秘策その弐につなげねば。僕はこう切り出した。
僕:「あの、先ほどもお話したように、僕は以前チャリティのセールスに所属していたので、そこで使っていたセールストークがどんなものか、もしよろしければ披露したいのですが、いいでしょうか?」
ジャック:「おぉ、いいねぇ!是非やってみせてよ!」
僕:「じゃあ、ここにドアがあるつもりで、ドアをノックする所から始めますね^^」
ジャック:「いいね!じゃあ僕、住人の役をやるよ!」
ジャックはすっかりノリノリである。
コンコンコン(とドアを叩くジェスチャー)。
ジャック:「なんだ~い?」
僕:「Good day mate, how are you doing?僕はチャリティ組織○○のショーンって言うんだ!僕たちの組織の名前、聞いたことある?」
ジャック:「あ~そういえばあるよ~~。」
僕:「ホントに?どこでどこで?」
ジャック:「テレビのCMか何かだったと思うなぁ。」
僕:「そっかぁ!それは嬉しいね!僕たちが普段どんな事やってるかは知ってる?」
ジャック:「うーん、そこまで詳しい事はしらないな~。」
僕:「ハッハッハ!近所のみんなもそんなに知らないから大丈夫だよ!僕たちは主に発展途上国の子供たちを支援しているんだ。アジアにアフリカ、それに中南米。これらの地域のどこかには今まで行ったことはある?」
ジャック:「ないよ~そんなの。」
僕:「ハッハッハ。いつか宝くじでも当たったら行けるんじゃないかな?もしそうなったら素敵だね。」
ジャック:「そうだね~。」
僕:「僕たちはただ発展途上国に行って、水や食料を配るだけじゃない。こういう援助って短期的な効果しかなくて、一度供給が止まるとそのうち効果がなくなっちゃうからね。僕たちが行っているのはもっと長期的な効果を考えた援助なんだ。現地に10~15年ぐらいは滞在して、その間に現地の人たちを教育したり、インフラを整えたりして、自分たちの足で立てるように手助けする。そして僕たちの滞在期間が終わる頃には、もう現地の人たちは先進国の資金援助などのサポートがなくても極貧生活をしなくてもよくなるってわけ。素晴らしいでしょ?で、どうやってそれを実現させるかなんだけど、チャイルドスポンサーをしてるチャリティ組織の△△△って知ってる?」
ジャック:「あぁ、名前は聞いた事あるよ。」
僕:「基本的にはあれと一緒だよ。だけど、僕たちがユニークなのは、△△△のように1人の子供やその家族だけをスポンサーするんじゃないって事。僕たちの組織でなら、子供1人をスポンサーする事でその子が所属するコミュニティ全体にサポートが行き渡るようになってるんだ。場合によるけど、コミュニティ内の人の数は500~10,000人。これだけの人を救えるってすごいよね?そのためにかかる費用は1日たった1ドル60セント。オーストラリアではこんな金額ではほとんど何もできないけど、発展途上国ではこれがものすごいインパクトになるんだ。僕たちが今やっているのは、こういった活動をもっと活発にしていくためにみんなの基本情報から始めている所なんだ。ところで、君のファーストネームは?」
このセールストークは前の会社での午前研修で何回も練習していたからかなりスラスラ言えるようになっていたし、気をつける事といえばジェスチャーを忘れないようにするぐらいだった。だがそれも前日に練習しておいた甲斐もあり、この本番でも上手くトークとジェスチャーを合わせる事ができた。僕のセールストークが終わると、ジャックをはじめとした面接官たち、他の応募者たちからは拍手喝采を浴びた。なにせ、このようにセールストークを披露させてください等と申し出たのは、30人弱いた応募者の中で僕一人だけだったのだから。
応募者全員が一通り自己紹介プレゼンを終えると、次はグループワークの課題に移った。それぞれのグループにランダムに物が配られ、それを売り込むためのトークを各グループで考えなさい、というものだった。この課題では特に各グループ間で大きな差は見られなかったように思えたので、恐らく大きなウエイトを占めたのは前半の自己紹介プレゼンだろう。
面接の全行程が終了すると、ジャックが話し始めた。
「いやぁみんなどれも素晴らしいプレゼンだったよ!さぁこの後合否の通知があるわけなんだけど、残念ながら募集人数の都合上、ここにいる全員を雇う事はできない。今回の面接を通った応募者は、今日の午後6時半までに僕から電話が入るはずだから、そのつもりでいてくれ。もし今回は採用されなかったとしても、心配はいらない。また数週間後にもう一度何人か募集する予定だから、もし今回落ちてもまだウチの会社で働きたいという意欲のある人は、その時に再挑戦してくれ。じゃあ、オフィスを後にする前に自分の名前と電話番号を書いたメモを受付に渡してから帰るように気をつけて!そうしないとせっかく合格だったとしても僕からの電話を受け取れないからね!」
今回はトムの時と違ってけっこう手応えがあった気がする。家に戻って合格通知の電話はまだかまだかと待ってみるが、僕の携帯はうんともすんとも言わない。あの拍手喝采はなんだったんだろう。僕が実は無能なのにハッタリかましてただけだった事がバレたのか?だとしたらもの凄い洞察力の面接官だな。そんなことを考えながら待っていると、もうすぐ6時半だ。やっぱり今回もだめなのかな、やっぱりセールス系は諦めて別の就活をしようかな、と考え始めたその矢先、6時半直前に僕の携帯が鳴った。ジャックからだった。
ジャック:「こんばんは、ショーン!君のセールストークは素晴らしかったよ!君の活躍は大いに期待している!早速明日から研修を受けてもらいたいんだけど、木曜日と金曜日の予定は大丈夫かな?」
僕:「はい、もちろん大丈夫です!」
キターーー(((゚∀゚)))!!これで無職生活から脱出だ。ジャック良い人そうだし、2週間でクビになるなんて事考えずに、やれる事やれるだけ頑張ってみよう!