2023年カンヌ映画祭でパルムドールを受賞したフランス映画。
アメリカでも、ゴールデン・グローブで、脚本賞と非英語作品賞を受賞。
アカデミー賞でも5部門のノミネートです。
脚本は、ジュスティーヌ・トリエ監督と、
パートナーのアルチュール・アラリさんの共同脚本。
雪が積もった山の上にある一軒家で、
ある日、夫が血を流して倒れているのが発見されます。
この転落死は、事故か、殺人か、はたまた自殺か。
法廷では妻に疑いの目が向けられ、
徐々に二人の関係が解き明かされていくサスペンスです。
原題は「Anatomie d’une chute」で
英題が「Anatomy of a fall」なので、
特にひねった邦題というわけではありません。
紛らわしいですが、解剖して事件を解決するわけではないです。
フランス語、ドイツ語、英語が話されます。
字幕を適当にしか読まない私なので、十分な理解ができていないのが残念。
それでも筋は追え、152分間、飽きることがありませんでした。
主演はザンドラ・ヒュラー。
この人の良い演技がないと、台無しになる映画です。
ドイツの女優さんで「ありがとう、トニ・エルドマン」の娘役の人ですね。
なんと、カンヌのグランプリ作で、オスカーでも今回5部門ノミネートの
「関心領域(原題 The Zone of Interest)」にも出演しているので、大活躍です。
鑑賞中は、法廷や家庭で起こること、
弁護士とのやり取り等で見えてくる情報を、
自分の頭の中で整理して、
個々の性格や関係性、行動の裏にあるかもしれない意図まで思いを巡らせることになります。
裁判では、日頃の些細な言動が、他者によって切り取られ、
もし悪意を持って解釈されれば、誰でも有罪になる可能性があるように思えます。
真実を追求する場と思いきや、その周りをグルグル回るだけのもどかしさがあり、
周りの誰もが、実は本当の事には関心がないのではないかと考えてしまいました。
この夫婦が作家であるという設定などなど、
ドラマ性を引き立てるとともに、話に説得力が増す作りになっています。
「落下の解剖学」の日本公開は2024年2月23日。
面白かったです。