「で、今までにどんなアプローチを?」
「食事に誘ったりとかかな。」
「へぇ~、誘いにのるの?」
京子のガードの固さを知る貴島は意外な顔をする。
「まぁね、仕事がなければ来るかな…。」
「何回くらい行った?」
「月に1~2回くらいかな。」
せいぜい全部で4~5回だと思っていた貴島は蓮の言い方に更に意外に思う。ということは、かなり前から定期的にプライベートで会っているのだろう。
「二人っきり?」
「だいたいは。」
「よくスクープされないな。よっぽどしっかりした店なんだろうね。参考までにその店教えてよ。」
蓮は苦虫を噛み潰した顔で小さくつぶやいた。
「店じゃないよ。家。」
貴島は今度は目に見えて驚いた。
「家!?家って敦賀君の家?二人っきりで?」
「あぁ、たまにデリバリーとかもあるけど、大概は作ってくれる。」
「で!?メシ食べて、あとは?」
「彼女が食器を洗って俺が拭いて片付ける。食事のお礼に俺がお茶を淹れて少しおしゃべりして車で送るけど。」
「それだけ?」
貴島の言いたいことがなんとなくわかったので蓮はそっぽを向いた。社にはさんざんヘタレだと言われている。
「家で二人っきりでだよ?!普通、いい雰囲気になるだろう?っていうかその前に、家に来て手料理って時点でデキテナイなんておかしすぎるだろ!?」
それは蓮にだってわかっている。そういう流れが習慣になってしまったのだから仕方ない。
「はは~ん、なんか理由があるだろう?」
「別に…。」
そっぽを向き続ける蓮に貴島は立ち上がって回り込むと無理やり視線を合わせた。
「コッチは死活問題なんだから真剣に考えてもらわないと困るんだよね。」
「死活問題とは大げさだよ。貴島君はちゃんとモテてるじゃないか。」
「いんや、俺の狙った女の子は君のことを狙っている子が多いんだよ。だから十分、死活問題だ。」
貴島は姿勢を正し一伸びすると視線をセットへと向けた。
「撮影始まりそうだな。この話は長くなりそうだから、今度時間をとってきっちり作戦を練ろう。」
蓮は大きなお世話だと言いたげにチロリと貴島を見上げる。
「ダメダメ、そんな目をしても無駄。この件がまとまるまで終わらないよ。なにせ俺の死活問題だからね。」
貴島は蓮を置いて先にセットに向かった。
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今回はちょっと短め…。
やっぱり我が家の蓮さんはヘタレなのです