やっぱり今朝も先に目を覚ましたのは社だった。先に目が覚めるのは体力の差なのか単に年なのか。小夜子を腕に抱きながら柔らかな髪を弄ぶ。穏やかな寝顔はいつもの仕事の顔より幼く見える。


何の前触れもなく、唐突に小夜子が目を開けた。社と目が合うと柔らかく微笑む。その微笑みにつられるように微笑み返して、おはようのかわりにとても自然に言葉が口をついた。


「結婚しよう。」


言われたことをすぐにのみこめず、小夜子はキョトンとする。小夜子の顔を見て社は自分の言ったことに自分で驚いた。何しろ、意識せず、ホントに自然に出てきた言葉なのだ。


「あっ、いや、すぐ...とかじゃなくて。いずれ、その、小夜子がいいと思った時に。まだ、若いし、仕事もはじめたばっかりだし、その、あの。」



小夜子は徐々に理解して喜びに瞳が輝いて、すぐにまたすました顔に戻した。


「したいの、したくないの、どっち?」

「はい、結婚したいです。」

「そう、そんなに言うなら結婚してあげてもよろしくってよ?」


ニヤリと笑う小夜子に一矢報いようと体を反転させ組み敷いた。


「生意気な口だ、調子にのるなよ。」

「ねぇ、愛してる?」

「そうだね、愛してる。」

「じゃ、仕方ないわね。惚れたもの負けよ、我慢なさい。」

「小夜子は?」

「愛してるわ。」

「そうか、じゃあ、仕方ない。惚れたもの負けだ、我慢しろ。」

「何を?」

クスクスと笑う小夜子に口づけながら言った。

「俺に愛されるのを...。」

「いいわ、一生我慢してあげる...」


小夜子の言葉の最後の方は聞こえなかったかもしれない。





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小夜子はたんに朝が弱いんです。

名前通り、夜型です。