その日も蓮は魔女に頼まれた物を調達に陸にあがっていました。


荷をつんだ馬車を待っている間、蓮はいつもパブで黙って人々の話に耳をかたむけます。人間たちの話は珍しく人魚たちに聞かせると喜ぶからです。そこでおかしな噂を聞きました。


「なぁ、今度いらっしゃる伯爵様の話聞いたか?」

「いや、知らないね。伯爵様ってぇのは海辺のお屋敷に越してらっしゃる方のことか?」

「あぁ、そうだ。その伯爵様だ。なんでも海に囲いを作って大きな池のようにしてらっしゃるんだと。」

「囲い?そりゃなんでまた...。魚でも飼うのかい?」

「そんなわけないだろう?囲いなんて作らなくてもいくらでも海に魚はいるさね。」


そこまで話して噂を始めた男は訳知り顔で相手に顔を近づけ小声で続けます。


「なんでも人魚を飼うんだそうだ...」

「人魚?!」

聞かされた男は思わず、素っ頓狂な声をあげました。噂話を始めた男は慌てて顔をしかめます。

「おい、声が大きい!」

「だって、これが笑わずにいられるかい?人魚なんてさぁ、いるわけないだろう。お前、酔ってるのか。」

「酔ってなんかないよ。俺の知り合いがその囲いを作るのを手伝ったんだ。その時に人魚を飼うって聞いたんだそうだ。」

「はは。人魚なんて飼ってどうするんだ?太らせて食うのかい?」


相手の男は酔った上でのヨタ話だと決め、ふざけて調子をあわせます。


「それはどうかなぁ。とりあえず、お貴族様の見世物になるらしいぞ。ちょうどお屋敷のテラスからその囲いがよく見えるそうだ。人魚を眺めながら一杯やろうってことらしい。」

「ふ~ん。やつらの考えることはよくわかんないね。本当に人魚とやらがいるんなら食っちまったほうがよくないか?そうすれば不老不死になれんだろ?」

「何言ってんだよ。死ぬまで働かなきゃならない俺らにとって死ぬことまでできないんじゃ生き地獄じゃないか。」

「お前こそばかだな。不老不死なら働かなくてもいいんだよ。なんせおまんま食わなくても死なないんだからな。」

「あっ、なるほど。でもそしたら、何をすればいいんだ?」

「それもそうだなぁ...。」


蓮は驚いて硬直してしまいました。人魚が人間に『飼われる』などということがあるのでしょうか。何より自由を愛する種族なのです。もし本当ならば何か逃げられない訳があるはずです。それよりも人魚でない可能性の方が高いと思いました。今までもこの手の話は聞いたことがありますが、作りものか人魚に似た動物だったのです。今回もそうだと思いたいのですが念のため蓮は確かめてみようと思いました。


男たちが話していた海辺の屋敷はすぐに見つかりました。浜よりは少し高台にある屋敷でなるほどテラスが海に張り出しています。テラスの下には大きな岩で囲まれた一角がありますが全てが囲まれているわけではなく一部はそのまま海に繋がっています。大きな池といえなくもありませんがこれではいくらでも逃げ出すことは可能です。仮に周囲が全て岩で囲われていても人魚であれば逃げることは造作もない作りでした。それを見て蓮は胸を撫でおろします。やはり、たんなる噂話だったのだと、人魚を飼うなどできるわけがないと思いました。


そろそろ荷馬車がついていても良いころです。確認を終えてもと来た道を戻ろうとした蓮は視線を感じました。振り返ると少女が自分を見上げています。少しオレンジがかった栗色の髪をしたハシバミ色の大きな瞳をした7~8歳くらいの少女です。無言で見つめられ蓮はどうしたものかと思いました。何もできずに見つめあっていると少女が口を開きました。

「あなた王子様?」

突然そう声をかけられて蓮は何を言われたのかわかりませんでした。

「ね、王子様なんでしょ?」

「王子様?」

「だって、絵本に出てくる王子様にそっくり。お迎えにきてくれたの?」

「お迎え?」

「なんだ、違うのね...。」

寂しそうに笑う少女に訳を尋ねようとしたところへ女性が慌てて走ってきました。

「1人で外へ出てはいけないと言いましたでしょう。さぁ、お屋敷へ帰りますよ。」

「はい。ごめんなさい。」

物言いは丁寧ですが、どこか威圧的な女性は蓮をひと睨みすると少女をひきずるようにして行ってしまいました。





゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚


とんでもないことが起こりました。

魔人様の企画に手をあげたらアクセス数は増えるんだろうなぁと思っていましたが、増えすぎです!!

本当にこんなんでいいんですかぁ???

正直、ビビッてます (°д°;)

グレー帯なんて初めてです。

恐るべし魔人効果!!

あんまり期待しないでくださいね。本当に駄文なんですから...


でも、これをきっかけに過去作品まで読んでくださった方もいらしたようでそれはくすぐったくも嬉しく思っています。

ひとつひとつ丁寧にいいねしてくださった某様ありがとうございました (-^□^-)