蓮はローリィに仕事が終わったら何時でも構わないから来いと呼び出され、来てみればそこには頭を抱えた社がいた。社は何やら雑誌をみていたが、それよりも社がいるということは明日帰ってくるはずのキョーコがロケから帰っているということで社長の用件が終わったら早速電話をしようと蓮は心を浮き立たせていた。
「なんだかお前の考えていることが手に取るようにわかるアホ面だが、そんなことより社の様子が変だと思わないか?」
ローリィに言われ社を見ると確かに様子がおかしい。
「社さん、どこか体調でも?」
俯いて雑誌を見ていた社が蓮の声にようやく顔をあげた。社は無言で雑誌を差し出した。
『魔性の女京子、本命はどっち?ハリウッドスターのファミリーになっても過去の男は惜しかった?!』
記事は実は婚約前に敦賀蓮とつきあっていたが、クーの息子の嫁という立場欲しさに敦賀蓮を捨てた。しかし、捨てるには惜しいので久遠の目を盗んで蓮と密会していたとされている。掲載されている写真は蓮のマンションに入っていくキョーコのものとマンションの駐車場から蓮の車の助手席にキョーコが乗っているものの2枚だった。記事の内容はねつ造もいいところだが、写真は本物だ。
「あれ?写真が他にもあったんですね。この写真だと望遠ですね、もう一つカメラがあったんだ。」
「なんだ、他にもって?」
蓮はカメラマンから写真を買ったことを告げた。
「で、写真は買ったが他の写真があることは知らなかったと。まして掲載を止める手立ては講じなかったし、俺や社に報告もなしか...。」
「あ~。すみません。すっかり安心してました。」
「安心?」
眼光鋭くローリィが蓮を睨みつける。
「いえ、写真があんまり綺麗に撮れていたものですから...。」
「は~。どうせ、よその男には見せたくないとかなんとかいう理由なんだろう...。一体なんの写真なんだか。」
「そんな、社長が考えているようなものではありませんよ。たんに別れの挨拶をしていただけです。」
「挨拶ねぇ。とにかく、これは明日発売される。お前のところも最上君のところももう記者がはりついてるぞ。もちろん、久遠がいることになっているここにもな。」
「ん~。明日どうせ記者会見の予定でしたよね。それなら問題ないのでは?だからこそ社長がこんなにのんびりしているんでしょう?そしてすでに各方面に手をまわしている...。」
蓮は悪びれもせずのほほんと答える。
「そりゃ、そーだが。侘びの一つもないのか?」
「そうでした。この度は大変ご迷惑をおかけしてすみませんでした。社さんにもご迷惑をおかけしてすみませんでした。」
深々と頭を下げる蓮にニヤリとローリィは笑う。
「言葉だけか?」
ローリィの言葉に蓮は眉をピクリとあげた。
「ナニヲキタイシテイルンデス?」
「いやぁ、ハネムーンから帰ったら日本で披露宴をするそうじゃないか...。詳細はまだだとか...。」
確かに詳細は決まっていない。式はアメリカで極々内輪の者で挙げる予定だから日本でお世話になった人たちのほとんどは呼ぶことができない。そのため報告とお礼かたがたパーティーをしたいとキョーコが言っていたのだ。最近、思いついたことなので社とラブミー部員くらいしか知らないことだ。蓮は社を見た。社は視線を泳がせている。きっと白状させられたのだろう。社長に敵う者などいるはずがない。
「わかりました。社長にお任せします。ただし、あまり派手にしないでくださいよ。」
ニパ~と悪だくみを思いついた子どもの顔をしてローリィは答えた。
「おう、任せとけ!忘れられない披露宴にしてやるからな。」
蓮と社は頭をかかえるしかなかった。