―やっぱり久遠は私に触れようとしない―


キョーコは自室でベッドに寝転び薬指に光る指輪を見ながら、ここ最近の久遠の様子を考えていてこの結論にいたった。


うっすらと頭の片隅にあった不安が膨らんでくる。


記者たちから見えなくなった途端に離された手...。思い返せば久遠は人前でだけキョーコに触れる。それでも以前とは違い、本当に少しだけだ。そっと手を背にあてるとか腕を軽く支えるとかその程度だ。


―私には触れたくない?-


結婚式の話や結婚後の話は本当に嬉しそうに話している...と思う。とても結婚が嫌になったようにはみえない。


―結婚はいいけれど私に触れるのはイヤ?-


そんなことあるだろうか。自分で言うのもこっぱずかしいが、クーの家でのキスにはスキがあふれていたと思う。触れるのが嫌な相手にあんなキスはしないでしょう?


―!!!-


突然、婚約前の久遠の言葉を思い出した。


『キョーコちゃんの許可がなければ絶対に触れない』


もしかして、あの約束のせいで久遠は私に触れないの?キョーコの中では婚約した時点であの約束はすでにないのと同じだ。手をつなぐのも抱きしめられるのもキスも嫌いじゃない。むしろ、スキだ。こんな破廉恥な思いを自分が抱くようになるとは思わなかった。でもそれは全て久遠だから...。久遠だからこそ触れてほしいと思う。


.。


..。


...。



そんなこと言えるわけないじゃない!!!

『あの約束はもういいの。触れてほしいの。』なんて奥床式ヤマトナデシコが口が裂けても言えるわけない。でもこのままなんてイヤ。ちゃんとした夫婦になりたい。ミューズが言っていたじゃない、したいときはしたいって言っていいんだって。それでこそ対等な関係なんだって。口には出せないけど、言葉じゃないことばだってあるもの。何もしないでこのままなんて絶対にイヤ。みすみす幸せを取り逃がすつもりはないし、とことんつきつめてみようってこの指輪をもらったときに思ったんだっけ...。どんなことをしても一緒にいてみせるんだから!!!




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みじかっ!

今回はキョーコの決意表明でした。