えっと、『はじまり』の続編です。


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キョーコはレストランに戻るとわき目も振らずにレストルームを目指した。自分でもわかっている。全身が真っ赤に違いない。とにかく、この熱を冷ます必要がある。なぜあんなことをしてしまったのか。自分からキスするなんて、破廉恥すぎる。きっと、未緒でジェフにキスすることに慣れてしまったんだわと自分に言い聞かせる。だって、もっと濃厚なキスをしていたんだもの。あれぐらいなんでもない...はず。


幸いなことにレストルームには誰もいなかった。キョーコは鏡に映る自分の姿を見て、人がこれほど赤くなれることを初めて知った。高熱を出してもここまでは赤くならないだろう。少し、ドキドキがおさまってきてそんなどうでもいいことを考えている自分がおかしかった。赤みがひいてきて、そろそろ会場に戻ろうとしてふと自分の手に目がいった。左手の薬指にプリンセスローザが光っている。


これって、婚約指輪...よね?


嘘でも演技でもなかった。あれが演技なら、どんな賞も総なめにできる。久遠さんは真剣だった。


私プロポーズに「YES」って言ったのかしら?言ったも同然よね。彼の手をとったんだから。


私の言葉がまるでプロポーズだって言ってたけど、そんなつもりはさらさら無かったのに。だって、おこがましいかもしれないけど一緒に切磋琢磨してもっと役者として高みを目指したいって言っただけなのよ?


なのに、なのに!


私の前に跪いて『君の全てになりたい』なんてあの顔であの瞳で言ったら反則でしょう?!あの時、久遠さんの瞳をみていたら、つい手をとってしまった。そう、あれは彼お得意の遠隔操作よ!あんな顔であんな瞳で言われたら誰だって手をとるわよ!!!



...。



ううん。分かってる。自分の気持ちに自分で嘘はつけない。私は久遠さんが好き。『愛』という感情は今もよくわからないけれど、これがそうなんだろう。どうせなら、とことんつきつめてみよう。ダメになってしまった時のことを考えても仕方ない。その時はその時だ。でも、みすみすダメになんかさせない。キョーコは鏡の自分にニッコリと微笑んでレストルームを出た。


廊下には社が待っていた。心配そうな顔をしている。そんなに長くこもっていたつもりはなかったが、庭にでた時から考えればかなり時間がたっていたのかもしれない。


「すみません。ご心配かけましたか?」

「いや。でもちょっと長いから。どこか体の具合でも?」

「いえ。少し飲み過ぎたかもしれません。でも大丈夫です。すみませんでした。」

ペコリと綺麗なお辞儀をかえすキョーコを見て、いつも通りだと思ってほっとする。

「大丈夫ならいいんだけどね。なんだか、久遠もヘンでさ。心ここにあらずって感じで。だから何かあったのかと思って...。」

社の視線が何かの拍子に下に下がるとキョーコの手でとまった。数秒間、キョーコの手を穴が開くほど見つめていたかと思うと瞳を乙瞳にして一気にまくしたてた。

「キョーコちゃん!!!それって、婚約指輪だよね?!そうだよね?!はめてるってことはOKってことだよね?!そうかぁ。やっとかぁ。それにしても、いきなり婚約って待ちきれかったんだろうなぁ。でも、それも仕方ないよね。だって5年だよ?!5年も片思いだったんだから。はぁ~。これで俺もあの殺視線を向けられないで済む。よかった、本当によかった。これでお兄ちゃんは一安心だよ。」


今にも泣き出しそうなくらい興奮している社を見てキョーコは嬉しくなる。自分たちのことをこんなに祝福してくれる人がいるなんて...。


「ありがとうございます。」

キョーコがはにかんで答えると社は急に仕事モードに顔をかえた。

「でも、悪いんだけど今日はその指輪は外してくれる?」

「えっ?!でも...。」

久遠に外すなと言われたのだ。キョーコ自身も仕事以外では外したくない。もう少しこの幸せの余韻に浸っていたい。キョーコの気持ちもわかる社はすまなそうに言った。

「日本での仕事で婚約を妨げるものがないのは把握してる。でもアメリカでの仕事の細かい契約内容を把握してないんだ。だから、それが確認とれるまでは少しの間辛抱してほしいんだ。ごめんね、俺が把握していれば良かったんだけど...。」

日本でのドラマは今のところ入っていない。次のドラマは決まっているが契約はまだしていないのでどうにかなるだろう。CMもいくつかあるが、それはどれもキョーコの家庭的な面をおすもので逆に婚約は歓迎されそうなものばかりだ。バラエティも何本か出ているが、プライベートな件での縛りは犯罪を犯さないということぐらいだった。事務所がNOというはずもない。どちらかというと社長の暴走を止めるほうが大変そうなくらいだ。


「ごめんね。」

本当に社がすまなそうな声でいうので、キョーコは指輪を外した。外したはいいが、キョーコの今日の服には飾りポケットしかついていない。どうしようかと考えあぐねていると社が気付いて、とりあえず社の胸ポケットにおさまることになった。

「ねぇ?これってもしかしてプリンセスローザかな?」

「そうみたいです。」

「ってことは、恐ろしく高価だよね。」

「...はい。多分。」


社は急に胸ポケットが重くなった気がした。もし、万が一失くしてしまったら一体何年ただ働きをすればいいのか。いや、お金の問題ですむならいい。命の問題だ。どんな安物だったとしても久遠がキョーコにあげたものを俺が失くしたら...。そのあと、社は胸ポケットから手を離せなくなった。




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お久しぶりです。

いろいろあってゴタゴタしていたので、とても書く気にはなれず、アクセス数も2ケタになったのでこのままバックレてしまおうかと思い始めた今日この頃...。 突然、アクセスが500件!きっと、数人なんでしょうけど、続けて読んでくださったんですね。もしかしたら「おさらい」?なんて思ってもみたりして...。これは続きを書くといった以上、約束を守らなければ...。と思いなおしてカタカタしています。とはいえ、ゴタゴタが片付いたわけではないので、のんびり更新になるとは思いますがそこは大目に見てくださいませ。あっ、でも逆に現実逃避でマメに更新したりして...。あまのじゃくなブログですがよろしくお願いします (^∇^)


sei様

方向性がちょっと変わったかもしれません。でも、きっと許して下さると信じております( ´艸`)