「ねぇ、キョーコちゃん?聞きたいことがあるんだけどいい?」
「はい。なんですか?」
「あのさ、ラブミー部卒業の仮免許ってなんで?」
社は社長室に呼ばれてから、ずっと気になっていた。
「! ...そ、それは私にもわかりません。椹さんがマネージャーさんをつけるようにずっと社長にお願いしてくださってたのは知っていますが...。」
視線を空に泳がすキョーコを見て、社は直感的に嘘だと思った。
「ふ~ん。マネージャーの俺にも言えないこと?」
「そ、そんな...。」
「なんだ、てっきり好きな人でもできたのかと思ったんだけど?」
「...。それは...。」
「俺の知ってる人?」
(お願いだから蓮だと言ってくれ!)
社は懇願するような瞳でキョーコを見た。
「だから...。えっと...。」
「まさか、アメリカで知り合った奴?」
「!」
当てずっぽうの自分の言葉がキョーコの驚いた顔を見て確信に変わる。
(マジ?れ~ん~!どうするんだよ。4か月も行方くらまして。っていうか出会って4年も悠長に構えてるからこういうことになるんだよ!俺は知らないぞ!!!)
「もう、付き合ってるの?」
社の言葉にキョーコは思わず、声を大きくする。
「まさか!お付き合いなんてしてません!」
「やっぱりできたんだ好きな奴...。」
自分の態度が肯定していることを悟って仕方なくポツポツと話した。
「でも、お付き合いはできないんです。まだ、私が未熟だから...。」
「そんな!そんなことないよ。キョーコちゃんはちゃんと自立してるじゃないか。演技だって上手くなったし、トークも上手くなった。気配りも人一倍できるし、思いやりもある。それのどこが未熟なの?」
社からの思わぬ褒め言葉に面映ゆくなりながらもキョーコは答えた。
「あっ、ありがとうございます。でも、ダメなんです。あの人にはまだ、追いつけないんです。演技も懐の深さも...。隣に立つ自信がないんです...。」
(それって、アメリカの俳優ってこと?ドラマの共演者か何か?)
「じゃあ、諦めちゃうの?」
「いいえ。いつか追いついてみます!」
キョーコの力強い瞳に社は思わず瞳を細めた。
それが蓮でなかったとしてもラブミー部員のキョーコの恋を応援してあげたいと思う。
「そうか...。応援するよ。」
(蓮、ごめんな...。)