「おかえり。あっちはどうだった?」

どピンクつなぎを着た奏江が聞いた。

「楽しかったよ。撮影も順調だったし。」

キョーコは久しぶりに会った奏江にアメリカでのことを片っ端から思いついたままに話す。

撮影のこと、ジュリのこと、レディのこと...。


「レディって馬?なんで?」

「れ...。敦賀さんが牧場に連れて行ってくれたの。もう、早足ならできるんだよ。かわいくってね。」

「敦賀さん?一緒だったの?」

「そうなの。映画の撮影できててね。同じスタジオだったんだよ。

敦賀さんはまだむこうだけどね。」

「ふ~ん?」

奏江の含みのある反応には気づきもせず夢中で話し続ける。

一通り話し終わると「楽しかったけど奏江に会えないのが寂しかった」などと瞳を潤ませて言うので奏江はドギマギしてしまい、慌てて違う話題を振る。


「なんだか随分、敦賀さんと一緒だったみたいだけど?」

「社さんにお食事のこと頼まれてたし、日曜日は二人ともお休みだったから...。

敦賀さん日本じゃなかなか出かけられないでしょ?

せっかくだから普通に出かけたいって。お食事のお世話もあったし、週に2~3回かな?」

(『普通に出かけたい』ってこの子、そんな言い訳信じてるのかしら?

何もでかけるのにこの子がいる必要ないじゃない。

ショッピングにドライブに乗馬...。

毎週出かけるなんて、それってもう付き合ってない?

世間じゃそういうのデートっていうのよ!本当にじれったいわね!!!)

内心のイライラを表に出さないように奏江は努めてなにげなく言った。

「まぁ撮影も上手くいったみたいだし良かったんじゃない?

デートも楽しかったみたいだし?」

「やっだな~。モー子さんたら!敦賀さんとデートなんてあるわけないじゃない。

日本語が恋しいっていうからお供してただけよ~。まぁ、確かに私も楽しんじゃったけど...。」

最後の方は小声になる。

(このこじゃなきゃいけない理由は『ことば』ですか。

ホントに変なとこだけ根回しがいいわね。)

全く気付かないキョーコを見ながら蓮に同情する奏江だった。