食事はシーフードの美味しい店で

二人で数皿を頼んでシェアして食べた。


「ふふふ」

「何?また思い出し笑い?ス...。」

「スケベじゃありません!」

「じゃあ、なんで笑ったの?」

「だって、先生はあんなに食べるのに、久遠さんは普通なんだなって思ったらおかしくって。」

「父さんはヘンだよ。見てるだけで腹いっぱいになる。

それに...ね?母さんの料理食べただろう?

母さんは俺も父さん並みに食べるはずだって半ば強制的にアレを食べさせたからね。

食には興味が持てなくて...。

今なら愛情だってわかるけど...。

だからかな?俺は、どっちかっていうと小食だよ。

キョーコちゃんと一緒だから美味しくて今日はいつもより食べてる。」

「ん?そういわれれば、久遠さんの体格からすれば少ないかな?」

改めて、テーブルの皿をみると女の子同士でもあと数皿くらいいけるかなという量だった。


(そっか。久遠さんも小食なんだ...。)



食事をしながら楽しくおしゃべりをして家まで送ってもらった。

家につくと車を停めて玄関までついてくる。


「明日も20時?」

「うん。そうだけど...。まだ、バスもある時間だし大丈夫なのよ?

久遠さんだって仕事があるでしょ?そういえばお仕事って?」

「今は開店休業中。少しずつオーディションを受けてるところ。」

「オーディション?俳優なの?ダンサーとか?」

「芝居をね。俳優だよ。」

「先生と同じ道を選んだのね。」


「そう...だね...。」


寂しそうな笑顔にキョーコは京都での会話を思い出す。


(父さんの手は大きすぎて飛べないって、先生のことだったのね。)


「そうだ!ちょっといい?」

キョーコは玄関の鍵を開け、久遠の腕を引っ張りリビングに連れて行った。

「えっ?いいの?お邪魔して。誰もいないんじゃ...?」

「そうなんだけど...。ちょっとだけだから。」

久遠をリビングに残し、奥に引っ込んだかと思うと

すぐに戻ってきたキョーコは手を差し出した。

その手には青く光る「コーン」が乗っていた。


「久遠さんに会ってから返そうと思ってたの。

前は肌身離さず持ってたんだけど...。

撮影の時に控室に貴重品はおいとくといけないって言われたから

今は部屋においてあって。

今日、返せてよかったわ。

今まですごくお世話になったの...。

このこは、たくさん悲しい気持ちを吸い取ってくれて!

このこといると心がスーっと軽くなって!

だけど、これをくれたコー...久遠さんは大丈夫だったのかなって、ずっと思ってた。

私はもう大丈夫だから、このこは久遠さんに返すわ。

ありがとう...。」


暫くキョーコの手をじっと見ていたが、

その視線をキョーコの顔に戻す。
「もう、その石は必要ない?」

「そうじゃなくて...。私はすごく助けてもらったから

今度は、久遠さんを助けてもらおうかと思って...。

それに、私もうひとつお守り持ってるから。

だから、心配しないで?」

「もうひとつ?」

久遠は眉をあげる。

「えぇ。パワーがもらえるの。だから...ねっ?」

キョーコはそういって、コーンを久遠に握らせた。