自分の安否に安堵して泣くキョーコを見て、いてもたってもいられなくなったコーンは
背中をさすっていた手をうなじにまわし、もう片方の手で腕を掴むと唇を触れ合わせた。
それはすぐに離されたが、キョーコの瞳が見開かれているのを見て
今度はついばむようなキスを繰り返した。
やっとキスを止めたコーンが満面の笑みでキョーコに声をかける。
「泣きやんだね?」
「えっ、えっとぉ...。今のは...?」
「だって、キスしてるときは泣けないっていうから。
あんまり信じてなかったんだけど本当だったんだね。」
ニコニコと悪びれずに言う。
「////そっ、そんなことを実証するために?
妖精界ではどうか知らないけど、人間界ではスキなヒトにしか唇にはキスしちゃいけないのっ!!」
「???」
その言葉にコーンは瞳を丸くして動きを止めた。
「...ヨウセイ?モシカシテ、オレノコトデスカ?」
キョーコは何をいまさらそんなことを聞くのかと訝しげにコーンを見降ろす。
「プップップッツ...。モウダメ、ガマンデキナイ!!」
キョーコを支えていた手を離し、文字通り腹をかかえて笑いだした。
何がそんなにおかしいのか分からないキョーコはそんなコーンを見てとまどうばかり...。
暫くして、やっと笑いがおさまったコーンがキョーコに言う。
「ごめんね。俺、妖精じゃないんだ...。」
「???」
「普通にヒトなんだけど?ヒトに見えない?」
「だって、小さい頃飛んで見せてくれたじゃない...。今だって、お月さまの光の中から出てきたし?」
「飛んだのはバク宙しただけだし、
今は泳いでいて、たまたま浮かんできた場所が月の影だっただけだよ。」
「???じゃあ、ヒトだとしたら何で先生のお宅にいるの?セキュリティが厳しいのに、どこから?」
「あぁ、ここ俺の家でもあるから...。」
「???」
「本当の名前はね、久遠...。久遠・ヒズリっていうんだ。英語風の発音だとコーン。」
「それって先生の亡くなった息子さん...。妖精じゃなくて幽霊?」
「クスッ、なんでそうなるのかな?」
「だって、15歳の姿のままで止まってるって先生が前に言っていたから...」
「訳あって離れて暮らしてたからね。
死んでなんかないよ。ちゃんと生きてる。疑うなら、もう1回キスしてみる?」
「えええ、遠慮しますっ!」
「そう?遠慮なんかしなくてもいいのに...。」
「何してるんだ?こんな時間に...」
振り返るとクーがいた。
「父さん...。ちょっと寝付けなかったので、泳いでたら水音でキョーコちゃんを起こしちゃったみたいなんだ。」
「帰ってきてたのか、久遠。キョーコには明日、紹介しようと思っていたんだが...。
まぁいい。今日は遅いから、もう寝たらどうだ?」
「あぁ、そうするよ。お休み、父さん。キョーコちゃん。また明日ね。」