クローン携帯 | ニコ生観測所&その他の画像庫

クローン携帯の可能性 (1/2)

マスコミをたびたび騒がせる、クローン携帯。名前ばかり先行して、実態がいまひとつつかめない印象だが、存在の可能性はあるのだろうか? 結論から先にいうと――「ありえる話だ」。
2004年02月02日 17時02分 更新

 「クローン携帯」――。その名前は、昨年あたりからしばしばマスコミを騒がせている(関連記事その1その2 )。

 名前ばかりが先行してしまい、実態がいまひとつつかめない印象だが、果たしてそれが存在する可能性はあるのだろうか?

 まず断っておくと、携帯電話もしょせんは、無線機にそれを動かすコンピュータが付いたものに過ぎない。多少の技術をかじった人であれば、OSの部分をいじってパッチしてやれば、他人の電話番号で着信/発信ができるようになるくらいはあり得る話だと、考えてしまうだろう。――結論からいえば、私もそう思う。

クローン携帯の歴史は古い

 その昔、携帯電話がまだ「自動車電話」といわれていた頃から、いわゆる“クローン電話”は存在した。

 当時の自動車電話は、「μPD403D」というヒューズROM(ヒューズを電気的に焼き切ることで、プログラムを書き込む素子)に固有の電話番号を書き込み、それをID-ROMと呼んでいた。そして、私の知る限りこれをハッキングし、勝手に番号を変える行為は存在した。

 もっとも、その後携帯電話の小型化+高集積化は進み、素人がうかつに手を出すことができないものとなった。ID-ROMそのもの姿を消したため、ID-ROMをソケットから抜いて、ROMライタでデータを書き込む……といった手法も使えなくなった。

 しかし、まだ手は残されている。例えば通常、携帯ショップに行って新端末を購入し、従来使用していた端末の電話番号を書き込んでもらう場合を考えてみたい。

 この場合、ショップの人間は電話会社の専用端末に接続して、番号の書き直しを行う。この書き直しをする機械が特別かといえば、そうでもない。通常のPC(NTTドコモに限っていえば、FMVだったりする)のCOMポートから、専用のレベルコンパレータを接続して書き込むという方法だ。唯一違うのは、そのPCはネットワークを通じて管理されているというくらいだ。

 ここで、PCの扱いに長けた人なら、当然思いつくのが「CD-ROMによるバックアップ」。例えば、ショップの人間がアプリケーションを丸々コピーし、個人宅に持ち込めば、十分に作動する可能性はある。あとは、ネットワーク接続の部分をパッチしてやれば、“パーソナルキャリア”の出来上がりというわけだ。汎用のマシンを使っている以上、不可能とはいえないだろう。

 現在、携帯電話の機種変更をするには、2000円、3000円の費用がかかる。しかし、たかだが数Kバイトのデータを移すだけで、こんな金額を取られているのは高いのではないだろうか? ……こう考えた人間が、上述の悪事を働くことがないともいえないだろう。そして、内部の人間が持ち出したアプリケーションが、流出する事態もないとは言い切れないのだ。



クローン電話は違法

 クローン携帯を利用する行為は、当然ながら多くの問題をはらむ。おそらく、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(不正アクセス禁止法)に抵触する可能性が高いだろう。

 同法では、他人のIDやパスワードといった「識別符号」を悪用してネットワークにアクセスすることを、「不正アクセス行為」と定義している。ほかのユーザーの番号を端末に書き込むという行為は、これに当たると解釈され得る。

 また、携帯電話といえども「無線機」であることに変わりはないから、“改造無線機を利用する”ことは電波法違反となるだろう。「ちょっと技術上の検証をしたかった」などという言い訳は、通用しない。




クローン携帯はちゃんと動くか?

 ここで気になるのは、何らかの方法で製造されたクローン携帯が、ちゃんと動くのかという点。動かない理由として、よく指摘されるのは、「クローン携帯の存在はネットワーク上で把握できる」ということだ。

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[細田時弘,ITmedia]

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クローン携帯の可能性 (2/2)

2004年02月02日 17時02分 更新
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 携帯電話は、自分の位置を基地局に登録しておかないと、発信はともかく着信ができない。ユーザーの移動に応じて、間欠的に電波を一瞬出して、細かく位置登録を行っている(これを“間欠受信”と呼ぶ→NTTドコモのホームページ 参照)。そのため、移動が多ければ電池が早くなくなるし、1日中移動しなければ、電池のもちも良いとされる(1月29日の記事参照 )。

 ここで、仮にクローン携帯があったとしたらどうなるか。同じID(電話番号)を持つ携帯電話が、2台同時に物理的に異なる場所に存在するという、異常事態が存在するわけだ。こんな基本的なところを、キャリアが見逃すわけはない。クローン携帯は、確実に発見されるだろう。

 しかし、上記のシステムをすり抜ける方法がないわけでもない。例えばもし、本物とクローンが、同一の基地局のセルの中にあったらどうだろうか?

 本物とクローンを同一基地局内にそろえれば、クローン電話が位置登録のために電波を出したとしても、基地局側は「一瞬圏外に入った」「バッテリーが抜かれた」ための電波発信と区別がつかない可能性がある。そして、“同一IDの端末が複数ある”という事実は、見逃されるだろう。

 また、クローン携帯を「パケット通信モードに固定する」という手も考えられる。

 一般に、PDCの携帯電話では、通話に利用する回線交換モードのほかに、“パケット通信モード”がある。友人に電話をかけた際に、「相手先の電話が、パケット通信中です」との案内を受けた経験のあるユーザーもいるだろう。

 パケット通信モードでも、もちろん間欠受信は行う。ただし、インターネットを利用する以上、日本全国どこにいても“サービスエリア内”にいれば通信は可能なため、通話の時ほど厳密には位置情報を管理できない。

 そのため、クローン携帯を製造した上で、パケット通信モード専用端末として利用すれば、前述のネットワーク検知のシステムが、有効に機能しない恐れがあるのだ。相手もプロなので、システムのどこにスキがあるかは熟知している。

クローン携帯は恐ろしい存在か?

 世間では、クローン携帯の恐怖が取りざたされている。確かに、自分の携帯名義で迷惑メールの大量送信に悪用される可能性もあれば、“足がつかない携帯電話”として、麻薬など非合法な商品の闇取引に利用される可能性もある。

 これまでに書いてきたことを読めば、実現可能な恐怖として、強い不安を感じるユーザーも少なくないだろう。

 ただ、これまでに実際にクローン携帯が世間にあふれ、多数のユーザーに被害を及ぼしている……かというと、この点は立ち止まって考える必要がある。次回は、クローン携帯の真相について、より深く考えてみたい。

 細田時弘氏は、電子技術が絡む複雑な事件・事故を、一般人にも理解できるように独自の視点から解説する「自称:ハイテク解説者」。「ネットって何?」「携帯電話って?」などの講演多数

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