ビコール狂詩曲 ギョウちゃんが いく -20ページ目

ビコール狂詩曲 ギョウちゃんが いく

ビコールの魚屋のブログです。行きがかり上フィリピンに住むことになった時の所持金は、僅か7000ペソ。
その後、山あり谷ありを経て18年後の今もなんとか生きてます。

                                                               YURI  and  ISSEY
 

今日は僕の住む町のフィエスタだった。今しがた、遊びに来てくれたマークさんファミリーをタバコまで送り届けて、家に戻って来たところだ。
フィエスタだからと言って、会うたびにいつも美味しいものを食べて、楽しい話をしている僕達にとって、普段と変わるものは何もない。
でも何も変わらないんじゃつまらないということで、カラオケ好きのマークさんのために、カラオケマシーンを用意した。
しかし、洋楽は聴くが、歌うのは日本の歌だけと決めているマークさんは、それには目もくれず、代わりにダディーが一日中マイクを掴んで離さなかった。

僕たちは、とにか良く食べて、良く話した。
刺身は最高に旨かったし、自家製キムチもイケた。
マークさんは妻の作ったハーブ入りのパスタが気に入って2回もおかわりをし、妻を喜ばせた。
そして、喋る。喋る。また食べる。
いくら食べても、いくら喋っても足りない。そんな錯覚に陥りそうだった。

やがて日本から急の仕事が入ったマークさんは、おもむろにPCを開くと仕事に没頭し始めた。僕も彼の邪魔にならないようにPCを開くとブログに入ったコメントに返事を書き始めた。とその時突然家の前が騒がしくなった。
7人の酔った男達が、うちのゲートの前で殴る蹴るの喧嘩を始め出したのだ。
それを見たとき僕は、心の中で「やっぱり祭りにはケンカだ!」と叫び
イベント性にかける今回のフィエスタに花を添えてくれたその男達に感謝の気持ちでいっぱいになった。
かと言って一応ホストの立場上、お膝元で起きている喧嘩を放って置くわけにはいかない。近づいていって
「日本人の客が来ているので、よそでやってくれ」と言うと
「よそ者のおまえが何を言ってるんだ」とレッドホースの空き瓶を持って、ただ突っ立てるだけの歯抜け男がぬかしたので、感謝の気持ちも忘れ、拳銃を持ってきてその歯の隙間に一発見舞ってやろうかと思ったが
「マークさん、マークさん、マークさん・・・・」と心の中で5回唱えてから「じゃあ、ご勝手に」と言って僕は踵をかえした。
テラスに戻ると、マークさんは世間の喧騒とは裏腹に、ただひたすらPCに向かってキーボードを叩いていた。
「マークさん、マークさん、危ないから中にはいりましょう」と僕が言うと、一旦は僕を見るのだが、何も答えずまたすぐにPCに戻るということを数回繰り返して、とうとう僕はマークさんを避難させることをあきらめた。
その後も喧嘩は益々激しさを増していったのだが、最後までマークさんは我関せずを貫き通した。

平和なビレッジにしか住んだことのないマークさんにとって、この喧嘩が刺激的な思い出として記憶に残ることを期待していた僕は、全く動じない彼を見て少しがっかりしたが、このことが逆に僕の記憶に深く刻み込まれたことに対して、マークさんに感謝すべきなのかもしれない。
いや~できる人は違う。なんとも不思議な光景だった。