しばらく更新が滞ってしまいました。
あれほど気をつけていた風邪にまたしてもなめられました。1週間ほど妻と交代で仕事を休んで、息子の風邪の看病していたから、まあ仕方ないのかもしれませんが、悔しいですね・・・。
さてではそれでも読んだ本はたくさんたまってきたので、再び順次更新していきます。
まずはいまの介護現場の危機的状況を伝えるこの1冊です。
- 「愛」なき国 介護の人材が逃げていく/NHKスペシャル取材班
- ¥1,575
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この本、以前NHKスペシャルで放映されたものを追加取材、再編集したものだそうです。
私はその番組を見ていないので、この内容に触れるのは初めてです。
私も福祉現場で働く人間ですので、帯や目次をみるだけで大体の内容は想像できましたが、状況は思っていた以上に深刻のようです。
以下は目次です。
プロローグ 介護保険制度は砂上の楼閣か
第1章 "介護する人”が、誰もいなくなる!
第2章 「恍惚の人」の時代に戻ってもよいのか?
第3章 なぜ、制度がうまく回らないのか?
第4章 規格どおりの介護がよい介護とは限らない
あとがき
2000年に介護保険制度が導入された当時、福祉サービスへの民間サービスの導入が始まり、多くの企業やNPO法人などが「福祉・介護」分野に参入してきたことは皆さんもご存じだと思います。
社会の高齢化がどんどん進むことがわかっていましたから、確実にしかも急速に成長する分野であろうと思われたわけですね。
それから8年がたち、その状況は大きく変わりました。いや、サービス開始当初からある程度その状況はありましたが、度重なる介護報酬の引き下げにより徐々に状況は悪化し、さらにそれが例のコムスン事件をもって世に出たというわけです。
この本の主題は、介護人材難です。私も障害者の介護に日々携わっていますからよくわかりますが、介護という仕事は非常に奥が深いものです。「人が好き」とかそういうものだけで出来るものではない。ましてや「福祉」の持つ人と人との純粋なイメージにひかれて、自分への救いを求めてくるような方には簡単にできるものではありません。私自身、文献や研修などにより勉強していますし、経験から学ぶことによってできることもたくさんあります。努力と経験の要する専門的な仕事です。
しかしその専門的な仕事である「介護」の仕事への報酬があまりに低すぎるため、介護職の離職率がきわめて高くなっている現状があるとこの本では伝えています。介護職の離職率が高くなればどうなるか。経験者や有能な人材がいなくなり、結果的にサービス水準の低下を招きます。介護保険現場での給料は介護報酬というお上からの金にほぼ100パーセント依存していますから、給料をあげたくても上げられないわけです。それにそんな状況だから研修だって十分にできるわけがない。そのうえ、労働時間なんてあったもんじゃないくらい働き続けるわけです。
以前介護保険制度が導入される前も福祉はよく3Kの職場と称されました。クサイ・キタナイ・カッコワルイです。それが介護保険制度が導入されることにより、福祉が非常に一般的で当り前のものになってきました。そして人とのふれあいを感じるとても良い仕事として、またさもそれが働く者の心の汚さを浄化させてくれるようなものとして喧伝されてきたように思います。だからこそ多くの企業がこの分野に参入し、たくさんの人がここで働こうとしてきたのでしょう。
そんなイメージがあったからこそ、余計この現実の厳しさは身にこたえます。さんざん働いても年収は300万に満たないのであれば、一生の仕事としては頼りないです。この本にもありましたが、介護業界ではあまりの収入の低さから、男性の寿退社があるそうです。この収入では妻と子を養えないからです。
この本はそんな現実の一部を映し出してくれました。高齢化社会はこれからが本番です。この問題についてどう考え、どのように取り組んでいくか。真剣に考えなくてはいけないと思います。