シャフトカットにまつわるお話しと問題・ピニオンナットとドラムカップリング編 | フラーのエレキメンテナンス note

シャフトカットにまつわるお話しと問題・ピニオンナットとドラムカップリング編

GWは天皇即位の祝賀ムードもありHappyな連休だったので

負の話は...と思い自粛してましたけど気持ちも新たに再開しますね~

 

さて、リベットに続いて今回はピニオンナット及びドラムコントロールカップリング

についてです。

聞きなれない部品名ですよね。

シャフトを止める部品で進行方向(ステアリング)を司ります。

左がFW用、中央がTR後期型用、右がTE・TR用。

 

ピニオンナットとは

モーターガイドのFWシリーズのシャフト系構成部品の1つです。

シャフトにピニオンナットをねじ込み、緩まないようにイモネジで固定します。

 

そしてドラムコントロールカップリング(以下ドラムカップリング)

こちらはTE・TRシリーズのシャフト系構成部品です。

前回と重複しますが

リベット式とネジ式2種類あります。

リベット式は両サイドに空いている穴にリベットを差し込み専用工具のリベッターを使用しカシメます。

TR後期型はFWと同じくねじ込み式で緩み防止の為イモネジでロックします。

 

 

この部分のベアリングを含む基本的な部品構成は

前期~後期(前半)はこの部品構成。

後期の部品構成。

FWはドラムカップリングがピニオンナットに換わるだけで他は共通です。

ベアリングはオープン型から半シールドタイプに仕様変更されました。

 

このベアリングの性質の違いをご説明すると、長くなるので要約しますが

ドラムカップリング及びベアリングカップの接点が「点」から「線」にかわりました。

その事によりFWはピニオンを単品で発注すると

ピニオンナット・ベアリングカップ・ベアリングの3点セットになります。

それはとても重要な事で

変更後は「それぞれ専用」になる為、旧タイプとは合わない事を示します。

 

ご覧頂くと一見同じような形なので共通で使えそうですが

ベアリング形式が変更になったため

機能上の性質も、形状も変わりました。

歯車の部分を見ていただくと右の前期タイプに対して

左側の後期タイプは根元が盛り上がっています。

これは加工工程と強度を考慮した結果このような形になっていますが

この変更にともない

ドラムコントロールの形状も変更されました。

この事を理解せずに前期タイプに組まれているドラムコントロールを後期タイプに組んでしまうと

盛り上がっている部分がぶつかりこのように隙間が出来てしまいます。

 

見た目は同じような構成なので機械の事が得意でないと

「似てるから大丈夫」と勘違いしてしまうんでしょうね。

また在り合わせで組み上げられると、さらなる問題も発生します。

 

TR後期型のドラムカップリングとベアリングカップはベアリング自体のインナー・アウターレースで

荷重受け止めている為、ボールの接点磨耗は考慮されてないと考えます。

ゆえに前期後期の部品を混ぜて組んでしまうと

このような問題が発生してしまいます。

左が正常、右はベアリングボールが当って削れています。

変更後のベアリングはインナー・アウターレース内にある小さなボールが

インナーレースとアウターレースを回すので

ボールの摩擦は直接ドラムカップリングに当らない為、通常であれば削れる事はありません。

 

 

在り合わせを組み上げてどのように販売するかは個人の自由ですが

もう少し、

エレキを楽しみに購入するユーザーさんの事を考え

配慮していただければよろしいかと思います。