ある意味でエレキ本来のフルオーバーホールとチューニング | フラーのエレキメンテナンス note

ある意味でエレキ本来のフルオーバーホールとチューニング

こちらの記事は少し考えましたが

「起こっている事実」も含め記しておきます。

 

今回、初めてご来店いただいたお客様。

久しぶりにTR82Vのフルオーバーホール。

基本的には高額修理になってしまうので

あまりお勧めしていません。

金額、今後の部品デリバリーのリスクもご説明させて頂きました。
それでもご提案を含め、信頼してご依頼いただいた以上、

正常に機能するエレキに戻します。

電源系ハーネスは全て交換。

太さはバランスよく変更します。

 

モーターガイドから正規として公認されていない業者、または個人によって手の加えられた大半のエレキは

修理のご依頼を頂くとこのようになっているケースが多々あります。

配線の取り回しが乱雑。

純正配線ではあるが接続端子が社外品で配線が短く切られている。

8sqの1本化を行っている為コントロールハーネスの外皮が剥がされている。

 

修理後はこのような状態に戻します。

配線は純正と同じとり回しです。

コントロールハーネスも純正の物(外皮を剥かさない)に戻したので
断線リスクを回避しました。

 

インジケーターランプを外す加工を行っている場合、

大半が黄色及び茶色の配線が切断されたままで絶縁処理がされていません。

ランプは取り付けしませんが配線の長さ調整後、

黄色・茶色の配線を復活させました。

このエレキも太い配線を通すことによってレンズにぶつかるため加工?されていました。

詳しいレンズ加工についてはこちらをご参照ください。

しかし...クラックが入ってます。
リテーナー(銀色のツメ)がギリギリ引っかかっているだけなので
欠けてしまうとレンズ(白い部品)ごとインジケーターが外れてしまいます。

今回は経過を見ることにして修理は行いませんでした。

 

モーター部はアーマチュア、ブラシを交換。

一目瞭然ですが上が新品です。

ブラシはレンタルボートで普通に使用していても

使用年数にもよりますがほとんどの確立で焼けてしまいます。

(極力荷物を積まず無理をしないで使用する方は焼けていない事もあります。)
それほどレンタルボートで使用すると言うだけでエレキにとっては負担が大きいのです。

ゆえに余計な加工を施すと痛みを加速させ、アーマチュアまでも焼いてしまいます。

しかしながら余計な加工を元に戻させていただき注意点を守っていただけると

アーマチュアはほぼ痛みません。

弊社でアーマチュアを交換する場合、

今回のような初めてご来店頂いたお客さんのケースと、

水没、プロペラシャフト曲がりぐらいしかないので

通常のメンテナンスをご依頼いただいてる方々は

アーマチュアをほとんど交換した事がありません。

普通は焼けませんから。

 

配線、ステアリングケーブルも交換する為ケーブルジャケットもぺったんこ仕様。

ねじれたらすぐに分かります。

ペダル裏側はこんな感じでシンプルになります。

 

すべての作業を終了し販売時の正常に機能するエレキに無事戻りました。

これからはかなりトラブルが軽減(普通に使用)できると思います。

 

 

今回のお客さんに限らず改造されたエレキは

販売、または作業受け付け時に「速くなる」などメリットだけを並べられリスクは

あまり説明されないようです。

普通に釣りをする上では必要の無い余計な施工が施され

トラブルになりうる要因を増やしてしまい、

ゆえに短いスパンで不具合が発生しても

「チューンしているのでしかたありません」

などど意味の分からない説明を受けているようです。

それはチューニングと言われるレベルにはほど遠い。

チューニングとは本来、使用目的に合う仕様にするための「調整」であり

寿命を縮めて壊す事ではありません。

機械をあまり得意とされないユーザーさんは

「チューニング(またはレーシング)とは壊れるのが前提」のように説明されると

誤解されてしまうと思いますが

普通、壊れませんよ。

壊れたらレース(競争)になりませんから。

もともとエレキは競争する道具(機械)ではありませんしね。

 

耳さわりの良い「チューニング・レーシング」などと言う言葉に惑わされないでください。

本物の競技用車両は計算されてます。

速さを求める場合、耐久性、性能、組み込むカスタムパーツの部品性能などなど

全てのデータをとりテストし、使用する環境下で最高のパフォーマンスを発揮できるように

計算したうえ優れた技術で作業を行い、最善の状態にする。

チューン(調整)する上できちんとしたデータがあれば出来る事、出来ない事、

行うには何が必要か?など部品加工、カスタムパーツ、組込み技術などを含め

必要なものがおのずとわかります。

エレキでトラブルが多いのは、

特定のフィールドで一個人が使い「問題無いから大丈夫」というレベルなんです。

あまりにも安直なデータ。

なので使用環境が違う(データの無い)人が使用すると問題が発生し壊れてしまう事も。

 

弊社がチューニングしません(ノウハウもありません)と言うのはエレキを使う環境を考えた上で無用な改造は必要無いと考えている為です。

もともと機械である以上、壊れる物であり、そして競争する物ではないので

釣りをする上で極力トラブルの無いようにするのが弊社の考え方です。

ゆえに「チューンします、速くします」と言われる方々とはエレキに対する考え方が違う、と、ずっと見てきました。

主観ですが

「余計な事をして壊れる必要はない。」

初めに戻りますが

「チューニングモデルだから壊れる」との言葉の意味は

ほんの数年ですがオートバイレースを経験した私には良く分かりません。

チューニングを施すのなら、まともに動くのが前提で

壊れないようにセットアップするのが常識だからです。

 

エレキは使用環境が様々なので個人個人、個々のフィ-ルドに合わせてチューニングは出来ないと思います。

ただでさえ負荷のかかる環境下での使用なので

正常に機能してくれるように整備するのが精一杯。

それは16年たった今も変わりません。

基本的な整備が出来なければチューニングなんてもってのほかと考えます。

 

お金をかけ、壊れ、

元に戻す為にまたお金がかかる。

釣りをする上で意味があることなのでしょうか。

 

エレキは純正のままで、(10年前後の経年劣化を除く)
正常にメンテナンスを行なっていれば

そんなに簡単には壊れないですよ。

 

それを実証し、教えてくれるお客さんが沢山いらっしゃいます。

その事はデータとして頂けているのでメカニックにとっては貴重な財産なんです。