ヴィネットの背景

広く知られているのは、映画タイトルにもある「バルジ（出っ張り）大作戦」であり、これは連合軍側による呼称。
一方、ドイツ軍の作戦名は「ラインの守り」となる。


舞台はベルギー、アルデンヌ地方であり、戦闘期間は1944．12．16から1945．1．25、まさに大戦末期である。

既に制空権は連合軍に移っており、ヤーボによる空爆を回避する意味でも、作戦時期はアルデンヌの森に濃霧が立ち込める冬とされた。


ドイツ軍はその後の戦局を大きく左右するであろう、この作戦に精鋭20個師団を投入、ハイパー戦闘団にはタイガーⅡ約20輌をも投入したが、各部隊の内情は、東部戦線における疲弊もあり、決して十分なものではなかった。


この作戦成功の鍵は、
①奇襲攻撃
②悪天候
③迅速な進撃
の3要素が不可欠とされた。


よって、12月16日の進撃開始時はまさにドイツ軍にとって有利な条件だったと言えよう。



今回、題材にしたショットは12月18日もしくは19日とされるので、快進撃？の真っ只中のものと推測できる。

ちなみに、道標にあるマルメディは、ドイツ軍による米兵捕虜虐殺事件があったとされる地域であるが、その真偽は定かでない。

然しながら、ドイツ軍の進撃は長くは続かず、12月23日以降、天候回復により、陸上部隊はヤーボの餌食となり、形勢は逆転、バストーニュ攻略にも失敗し、公式には1月27日に戦闘の終結を迎えた。


このアルデンヌ戦で見逃せないのが「グライフ作戦」である。



オットースコルツェニー親衛隊中佐率いる第150装甲旅団による偽装作戦（連合軍に成り済まし、様々な混乱を招いた）である。

スコルツェニーに関しては「ヨーロッパで最も危険な男」というタイトルで、落合 信彦の著書に詳細が描かれていた事を記憶している。