以前のブログにも書いたが、菌ちゃん農法は無肥料・無農薬で元気な野菜がすくすく育つのだが、その鍵は高い畝の中に育っている筈の糸状菌だ。

 

菌ちゃんファームの通信講座を終えたので、私の理解したポイントを書いてみる。

1.糸状菌は窒素固定細菌という微生物と共生し、窒素固定細菌が空中の窒素を取り込んで糸状菌に渡し、糸状菌はそれを野菜に渡す。一方野菜はお返しとして光合成で作ったエネルギーを糸状菌に渡し、糸状菌は自分が育つエネルギーとして使うだけでなく、窒素固定細菌にも渡して窒素固定細菌も増える。この様にして土の中で野菜と糸状菌と窒素固定細菌が役割分担して共生し繁栄していくという。

 

2.人が手を加える事のない森の中では、太古の時代からこの様な共生関係が続いている訳で、菌ちゃん農法はそれと似た環境を畑に再現する事で、人の手を加えなくても元気な野菜が勝手に育つ、という様なイメージで捉えると判り易い。

 

3.実際の処、そういう概念の理想的な自然農法は以前からある様だ。無肥料・無農薬で野菜を作ると最初は野菜が良く育たず虫の被害も多いが、7年~10年くらい辛抱強く野菜作りを続けていると、微生物が一杯の豊かな土壌になって無肥料無農薬の野菜が育つようになり、害虫も寄り付き難くなるらしい。但し難点は長い年月を要する処で、それを待てないせっかちな人向けに「なんちゃんて自然農法」的なものとして開発されたのが菌ちゃん農法だ。最初に50㎝の高い畝を作り、枯葉・枯れ枝・竹等の糸状菌のエサを畝の上に乗せて、土を掛けて一雨当ててからビニールマルチで覆い、3ヵ月待ってから栽培開始する。普通の野菜栽培に比べると3ヵ月待つのは長いのだが、10年に比べれば大したことはない。

 

4.野菜が良く育つ事に加えて重要な要素が、微生物が増えて土壌が有機物を多く蓄える事によるCO2固定化だ。因みに化成肥料依存の慣行農法では微生物の餌が無い為、微生物がどんどん死んでしまい、枯れた植物から出来る腐植という有機物と共に分解されCO2が排出されてしまう。

 

そんな菌ちゃん農法を勉強しながら、3月の畝準備から数えると7カ月が経った。その間、ナス・空心菜・エゴマ・パクチー・小松菜と元気な野菜が食卓を彩って呉れている。そろそろ糸状菌が目で見えるかも知れないと思い、畝の端のマルチを剥がして見た処、細くて白い糸の様な物が出来ていた。野菜の根っこかも知れないと思い、一番太いのを指で持ち上げたら浮き上がり、どこにも繋がっていないので、どうやら糸状菌と思って間違いなさそうだ。いよいよ菌ちゃん農法の主役登場で今後が楽しみになる。

(写真左:糸状菌。写真右:チェックした場所だが、後で土を被せたので糸状菌は隠れている)