真木大堂の本尊である阿弥陀如来は西方浄土の主尊であり、極楽へ導いてくれる仏とされています。仏像が作られた平安時代は日本全土に末法思想が広がり、中央の有力貴族たちをはじめ人々は極楽に行けるようにと願い、信仰の対象として各地で阿弥陀如来が作られました。像高216cm。丈六の坐像で檜(ひのき)材の寄木造り。左手を膝に置き右手を肘から曲げた来迎印(らいごういん)をとっています。彩色は前面に布張りの下地を施し、肉身に漆箔、螺髪に群青、衣に朱色がみとめられます。現在も随所に金箔の跡が確認できます。彫りが浅く、流麗な衣文(えもん)には11世紀後半の定朝様式がみとめられますが、肩幅広く厚みある体躯、やや面長できりりと結んだ唇などには定朝以前の古い様式もみられます。仏像を描くに当たり、水色の部分を光らせました。そして、仏像の頭を白く縁取りすることで、後光(仏像の後ろの追盾)とくっついてなく、離れている事を強調させました。

