国宝・十一面観音菩薩立像の像高は259センチ。
ヒノキ材の一木造、内刳りを施し、背板をあて、漆箔仕上げ。量感のある体躯、動感を強調する衣文の表現に比べ、顔の表情は穏やかな感じ。鎌倉時代に著された仏教史書「元亨釈書」によれば、「天暦5年、京都に疫病が流行し死者が相次いだ。空也上人はこれを憐れみ、自ら十一面大悲像を刻み祈り、像が完成したころ疫病の流行は止んだ。洛東において人々は勧進し、一寺を創建した。六波羅蜜寺と称し、この十一面観音菩薩立像を安置した」。この像は銅で作られているので、廻りの建物の色が映り込み、美しいな像に仕上げることが出来た。