プラモ劇場版世界をかける少女 第10話 前編 | しゅご神ブログ

プラモ劇場版世界をかける少女 第10話 前編

敵組織というのは、昼夜問わずお構いなしに騒動を引き起こすものと、それはどの世界でも共通。

 

エクスパンダーも例外ではない。

 

そして、それは今動き出そうとしていた。

 

 

その日は日曜日だった。

翔子「日曜日の朝と言えば…ニチアサだよね。この世界のニチアサって、何がやっているのかな?」

 

「開演!プリンシパル!!」

 

翔子「…はい?な、なにこれ…?特撮、かしら?番組は…無限邂逅メガロマリア?」

 

翔子「へぇ、本格的じゃん。あの動きどうやっているのかな?」

 

『番組の途中ですが、臨時速報です!先ほど富士山の方角から、謎の巨大飛行物体の姿が確認されました!飛行物体はゆっくりと首都を目指している模様!市民の皆さんは、落ち着いて避難をしてください!繰り返します!』

 

翔子「って!いいところで番組が切り替わった!………へ?富士山の方角から巨大飛行物体?なに、これ?」

 

ベル「お嬢様!起きていますか!?」

 

翔子「起きているよ。せっかくこっちの世界のニチアサを堪能していたのに」

 

響子「こっちのニチアサって…それより!」

 

鈴香「翔子さん、あの巨大飛行物体、どこかで見たことありませんか?」

 

翔子「あの姿は…ん-考えただけでも厄介な相手だわ」

 

響子「厄介?」

 

ベル「もしかしてなんですが…モビルアーマーじゃないでしょうか」

 

ルミティア「モビルアーマー?なんですか?それは」

 

ベル「主に、ガン〇ム作品に登場する大型の機体につけられる呼称です。お嬢様、記憶に間違いがないのであれば、あれは」

 

翔子「ええ。ハシュマルだね、あいつは。なんでこの世界にモビルアーマーなんているのよ。いや、今に始まったことではないか」

 

レーナ『翔子さん。応答願います』

 

翔子「来たか。今やってる巨大飛行物体のことよね?」

 

レーナ『話が早くて助かります。ヘキサギアでもなくフレームアームズでもない、巨大飛行物体が今この街に向かってゆっくりと接近しているようです』

 

翔子「レーナ、あれはモビルアーマーよ」

 

レーナ『モビルアーマー?』

 

翔子「あいつの周りに、なんか小型の奴とかいないかしら?」

 

レーナ『報道のヘリやこちらの監視カメラなどでは確認できていません』

 

翔子「もし同じような能力を持っているなら、小型の方もかなり厄介なのよね。到着までどれくらいかかりそうなの?」

 

レーナ『かなりゆっくり進行してきているということなので、現在の進行速度からすると、街に到着するまではおよそ2時間はかかるとのことです』

 

翔子「奴の攻撃範囲のこともあるから、多分1時間も経たずに射程圏内に入るわ。守備隊とかはどうなっているの?」

 

レーナ『政府から各社に要請を出して、動けるアクトレスが先行して現場へ向かってもらっています。それと、ロイヤルナイツにスティレット、バーゼラルド、トールも同行してもらっています』

 

翔子「わかった。あたしらもすぐ行く」

 

レーナ『そう言うと思いまして、トラックをそちらに向かわせています』

 

翔子「え、そうなの?」

 

鈴香「けど、これだけの報道がされていると、道が渋滞になっているんじゃ」

 

レーナ『ご心配には及びません。専用ルートがありますので、そちらを使えば、合流地点まで最速でいけます』

 

翔子「んじゃ、いきますか」

 

ベル「お嬢様、皆さま、お気をつけて」

 

 

スティレット「まったく、朝からとんでもないものが出てきたわね」

 

バーゼラルド「ばーぜ、眠い~」

 

トール「おいおいしっかりしてくれよ」

 

レーヴェ「聞いた話によると、かなりでけぇ奴らしいじゃねぇか。滾ってくるぜ」

 

トール「こっちはこっちでやる気満々なんだがな…」

 

翔子「やる気満々なのは結構だけど、そう簡単に行く相手じゃないわ」

 

トール「お、来たか」

 

翔子「ハシュマルはどの辺にいるの?」

 

ジャンヌ「まだ目視では確認できていませんが、あと数十分でこの辺に到着するんじゃないかってところですわ」

 

翔子「そう。けどまさか、高尾山か。こんな形で来ることになるとはね」

 

響子「ちょっと、顔がニヤついているわよ」

 

翔子「だって、ここだって立派な聖地だよ?いろんなアニメとかで登場しているしさ」

 

鈴香「…言われてみれば、ちょくちょく出てきますよね」

 

ルミティア「あ、この前見たアニメでここ出てましたね!」

 

響子「まったく…もうちょっと緊張感を持ってよ」

 

??「ちょっと、庶民がなんでこんな場所にいるの?」

 

??「あ、あの…ここは危険なので」

 

??「愛花、綾香、勝手に持ち場を離れるのは」

 

??「この命知らずの庶民がここにいては、戦闘の邪魔になるんじゃない?」

 

響子「命知らずって…」

 

翔子「ああいう性格だから、気にしないで」

 

ジャンヌ「彼女たちはファクトリーアドバンスからの応援です」

 

??「お、応援!?見る限りただの一般人じゃない!?」

 

翔子「ま、この状態だと信用ないわよね」

 

楓「皆さん、おはようございます」

 

鈴香「楓さん。それって、アリスギアですか?」

 

楓「はい。わたし専用のものです」

 

??「え、ちょっと、楓さん?」

 

響子「へぇ、フレームアームズ・ガールとは違う装備だけど、かっこいいわね」

 

楓「ありがとうございます。今回はわたし以外のアクトレスも多く参加しています」

 

ルミティア「…ということは、この子たちもアクトレスですか?」

 

楓「はい。こちらの2人は以前の会社からのわたしの後輩です」

 

愛花「相河愛花(あいかわあいか)です」

 

綾香「一条綾香(いちじょうあやか)よ。ま、精々足を引っ張らないことね」

 

翔子「はいはい。で、そっちは」

 

睦海「小芦睦海(こあしむつみ)です。よろしく」

 

??「皆さん!そろそろ作戦開始時間です!」

 

翔子「お、噂のエースね」

 

??「え?」

 

楓「夜露ちゃんのことをご存じなんですか?」

 

翔子「成子坂に入った新人でしょ?(ま、ゲームと同じなら、だけどね)」

 

夜露「比良坂夜露(ひらさかよつゆ)です。もしかして、あなたたちが、楓さんが言っていた、ファクトリーアドバンスに協力している方たちですか?」

 

翔子「ええ。微力ながら、今回の作戦に参加することになったわ」

 

夜露「そうでしたか!よろしくお願いします!」

 

レーナ『各員、間もなく作戦開始時間となります』

 

楓「それでは、また後程」

 

スティレット「翔子、今こっちに来ているヘキサギアでもなくフレームアームズでもない、あの巨大飛行物体はなんなの?」

 

翔子「間違いがないのであれば、あれはモビルアーマーハシュマル。火星で発掘された過去の戦争が生み出した最悪兵器ってところよ」

 

バーゼラルド「ここ地球だよ~?火星じゃないよ」

 

翔子「あたしが知っているハシュマルなら、ね。けど、なんであれが富士山から出てきたのよ」

 

トール「答えなんて1つだろ。エクスパンダーに決まってる」

 

翔子「あれをエクスパンダーが作った、ということか。この世界なら不思議じゃないわね」

 

レーナ『皆さん、配置につきましたか。現在モビルアーマーハシュマルは、進路そのままで街へ接近しています。街まではまだ遠いですが、翔子さんからの情報で、長距離射程の兵装を用いていることから、現在の防衛ラインを突破されると、街全体が射程圏内に入ります。なんとか防衛ラインを死守してください』

 

ジャンヌ「失敗は許されませんわよ」

 

レーナ『なお、ハシュマルの周辺に反応を確認しました。護衛だと思いますが、フレームアームズのマガツキを確認』

 

鈴香「マガツキ!?」

 

レーナ『更に橘花とアヤツキも確認しました』

 

響子「あの2人も…マガツキと一緒に出てきたのね」

 

レーナ『現在マガツキ以外の反応はありませんが、増援も十分考えられます。各自、健闘を祈ります!』

 

翔子「鈴香と響子は、マガツキ姉妹を頼める?」

 

鈴香「任せてください」

 

響子「私達が適任かしらね」

 

ジャンヌ「では、私も同行しますわ。フレームアームズのマガツキを野放しにはできませんわ。それに、あの姉妹も」

 

翔子「あたしはハシュマルの方に当たるわ。ルミア、あんたも来なさい」

 

ルミティア「はい!」

 

ジャンヌ「では、参りますわよ!」

 

 

綾「なあ橘花。あれはなんだ?」

 

橘花「巨大飛行物体としか聞かされてないわ。それに、護衛が私達だけってどういうことなの」

 

綾「…橘花、来たよ」

 

橘花「あ、あなたたち…生きていたの!?」

 

響子「保険がなかったら、今頃ここにはいないだろうけど」

 

綾「保険って…」

 

鈴香「ところで、あのハシュマルがどういうのかご存じなんですか?」

 

橘花「知らされていないわ。エクスパンダーからは、試験機だってことぐらい」

 

ドゥルガー「知らされていないようですわね」

 

響子「あれは…えっと、なんだっけ?」

 

鈴香「人を殺しつくす殺戮マシーン、とでも言っておきましょう」

 

綾「さ、殺戮マシーン!?」

 

ドゥルガー「その護衛をしているとなると、エクスパンダー側として認知されますわ。今まで情報が拡散しないようにしてきたつもりですが、今回はそうはいきませんわ。あれだけの巨大飛行物体です。街の人たちはすでに知れ渡っていますし、今のこの戦場は生中継されています」

 

鈴香「商店街の人たちが見てしまえば、あなたたちへの信用を失ってしまいます」

 

響子「下手をすれば、椿さんにも影響が出るわよ」

 

橘花「…」

 

綾「き、橘花…」

 

橘花「…それでも。それでも、私は」

 

響子「橘花!どうしてそこまで頑なに拒むの!?」

 

ドゥルガー「喋ってしまえば、椿がどうなるか」

 

橘花・綾「!」

 

ドゥルガー「そう脅されているのでしょ?エクスパンダーに」

 

鈴香「…やっぱり、というより、そうとしか考えられませんね」

 

綾「…あ、あのさ!本当は」

 

橘花「綾!だめ!」

 

グサッ

 

一同「!?」

 

綾「なっ…なん、で…!?」

 

橘花「綾!!」

 

ドゥルガー「あのマガツキ、躊躇いもなく!」

 

マガツキ「………推して参る」

 

ドゥルガー「こちらは引き受けましてよ!」

 

鈴香「お願いします!」

 

橘花「綾!しっかりしなさい!綾!!」

 

綾「…橘花」

 

響子「まさか、翔子の言うことが現実になってしまったわね」

 

鈴香「そうですね。そのためのこれ、ですか」

 

橘花「綾に何をするの!?」

 

鈴香「治療です。フレームアームズ・ガールに効果があるのかはわかりませんが、友人が持たせてくれました」

 

 

響子「本当に効果あった」

 

鈴香「応急処置ではありますが、ひとまずは…」

 

ドゥルガー「処置は終わりまして!?できるなら、こっちに助太刀を頼みたいですわ!」

 

鈴香「私がいきます!アバターチェンジ!」

 

 

 

響子「エクスパンダーは、あなたたちを捨て駒としか思っていないようね」

 

橘花「…そんなことわかっていた。わかっていた…だけど」

 

響子「逆らえなかった。お姉さんを人質に取られているから」

 

橘花「…えぇ」

 

響子「わかった。とりあえず、詳しい話はまたあとで聞くから、逃げちゃだめだよ?いい?」

 

橘花「…うん」

 

響子「よろしい」

 

響子「アバターチェンジ!」

 

 

 

ドゥルガー「あちらはよろしいのですか?」

 

響子「もう彼女たちに戦意はないわ。あとは」

 

鈴香「このマガツキを食い止めるだけ、ですね」

 

響子「ええ。(翔子、ルミア、そっちは任せたわよ)」

 

 

 

 

 

ルミティア「あれがハシュマル…。先輩、あれはどうやって倒すんですか?」

 

翔子「原作ならば、リミッターを解除した主人公機がほぼ相打ちって感じで仕留めたんだけどね。結構頑丈だし、この世界の武器がどこまで通用するか」

 

楓『翔子さん、手はず通り、こちらから仕掛けます』

 

翔子「ええ。作戦開…!」

 

 

レーナ『ハシュマルから高エネルギー反応!?』

 

翔子「全員回避行動!!急げ!!」

 

 

バーゼラルド「わああああっ!!」

 

スティレット「ちょっと、ちょっと!」

 

 

楓「間に合わな…!」

 

??「楓!!」

 

??「楓さん!!」

 

楓「!」

 

 

楓「くっ…!リン!玲ちゃん!」

 

翔子「いきなりぶっ放してくるなんて!」

 

レーナ『敵増援を確認!こ、こんな近くに!?』

 

翔子「ステルス迷彩とか付けていたんでしょ!まともに動けるアクトレスはどれだけいるの!?」

 

レーナ『残っているのは…10人だけです。ですが、先ほどの攻撃で、シールドの耐久地が半分以下となっています』

 

夜露『これぐらい、気合いでカバーしてみせます!シタラさん、文嘉さん、まだいけますか!?』

 

文嘉『夜露さん!前に出過ぎないで!』

 

シタラ『シールドが半分以下なんだから、あまり突っ込まない方がいいよ!』

 

愛花『こ、こっちに来ないでー!』

 

綾香『あーもう!これを狙っていたとでも言いたいの!?』

 

睦海『この程度、すぐ逆転してみせる』

 

レーナ『チーム成子坂とバーベナは、連携を取りつつ後退してください。決して無理はしないように!』

 

翔子「スティレット!バーゼラルド!あんたたちは!?」

 

バーゼラルド「ばーぜは、大丈夫!」

 

スティレット「あたしもよ!」

 

レーナ『翔子さんとルミアさん、スティレットとバーゼラルドは、楓さんと合流してハシュマルの攻略を』

 

楓『わかりました。そちらに合流します』

 

レーヴェ「空中部隊は損傷甚大だな。あのデカブツ、やりがいがあるぜ」

 

トール「んなこと言ってる場合か。けど、俺たちでなんとかするしかないな!」

 

Ⅰ「我らは地上の敵を。アクトレスを援護する」

 

Ⅱ「そちらは任せた」

 

レーヴェ「おうよ」

 

ネロ「俺たちで周りを片付ける」

 

トール「頼んだ、ネロ」

 

翔子「ルミア、スティレット、バーゼラルド、楓は空からお願い」

 

ルミティア「わかりました!」

 

楓「他のアクトレスの分もわたしがなんとかします」

 

翔子「他は左右に展開して挟撃。あたしはあの装甲をぶち抜く」

 

レーヴェ「ヒュー、でけぇな」

 

翔子「リボルビングバスターキャノン。レーナから借りてきたけど、最大火力で一撃お見舞いしてあげるわ。そうでもしないと、アレを仕留めることはできないからね。ただちょっと時間かかるから、時間稼ぎよろしく」

 

スティレット「ファクトリーアドバンスからすごい荷物が運ばれていたけど、それだったのね。翔子!失敗したら承知しないんだからね!」

 

バーゼラルド「よーし、頑張るぞー!」

 

トール「いくぞ!!」

 

 

 

 

レーヴェ「こいつ効いてるのか!?」

 

翔子「攻撃を集中させて!少しでもいい、足を止めるのよ!」

 

ルミティア「でも、動きもかなり早い。どうやってこんなのが動くの!?」

 

ルミティア「っ!」

 

 

ルミティア「くっ!!」

 

ルミティア「あぁっ!!」

 

レーヴェ「あぶね!」

 

スティレット「図体だけ無駄にでかいわね!」

 

 

レーナ『レーダーに反応あり!気を付けて!』

 

ダンッ

 

スティレット「うっ!?」

 

バーゼラルド「すてぃれっと!?」

 

レーヴェ「なんだ!?狙撃か!?」

 

スティレット「しまっ…!」

 

スティレット「きゃああああっ!!」

 

楓「スティレット!!」

 

トール「くそっ!レーナ!あれを転送してくれ!」

 

レーナ「えっ!?でも、あれは」

 

トール「今使わなくていつ使うんだよ!!早く!!」

 

レーナ『わ、わかりました!アーマータイプ:ルーク、転送!』

 

 

トール「間に合え!!」

 

 

トール「大丈夫か!?」

 

スティレット「…な、なんとか…」

 

トール「後は任せろ」

 

レーヴェ「随分と図体がでけぇアーマーだな!」

 

トール「サンマグノリア共和国で開発中だった試作アーマーさ!こいつのパワーなら、通用するはずだ!!」

 

トール「おおおおおおおおおっ!!」

 

 

後編へ続く