プラモ劇場版世界をかける少女 第7話 Aパート
フレームアームズマガツキ。
かつての大戦中に犯罪組織側で確認されたフレームアームズ。
まるで日本の戦国武将が身に纏った鎧を連想させるかのような見た目で、防衛戦に特化したFAであり、対抗組織側の戦力相手に1機で無双するほど強力だった。
最終決戦時には、攻撃に特化した改修型も確認され、対抗組織側の最新型FAゼルフィカールと互角に渡り合った記録も残されている。
そんな強力なFAをベースにフレームアームズ・ガールとして生み出されたのが、橘花とアヤツキだった。
だが、彼女たちは口をそろえてある人物の存在を告げる。
2人が、姉と慕う人物。
だが、マガツキをベースにしたフレームアームズ・ガールは、橘花とアヤツキしか確認されていない。
情報が隠蔽されているのか、または別の人間なのか。
その人物が、橘花とアヤツキにとって大切な人物であることは間違いないことであり、2人がエクスパンダーに協力する理由に違いない。
2人が姉と慕うその人物は、はたして何者なのか…?
翔子がヴァルキュリアセイバーの力を手にしてから数日後、こちらの世界では10月に入り、少し肌寒くなってきた。
夏服の状態でこの世界にやってきた翔子たちも、冬服へと衣替え。
翔子はともかく、鈴香と響子の学校の冬服の制服が何故か天空寺家に置いてあったことから、2人もそれに着替えることになった。
響子「いや、なんで東野高校のブレザーがここにあるのよ」
翔子「これも世界を渡った影響か」
響子「その一言で片づけるな」
鈴香「私の方は…カーディガン付きですね。今まで着たことがないから、なんだか新鮮です」
翔子「それは言えてるわね」
ルミティア「私の方も冬服バージョンに変更です」
鈴香「似合っていますよ」
翔子「さて、着替えたことだし、ファクトリーアドバンスに行きますか」
今日は翔子が轟雷たちフレームアームズ・ガールとシュミレーターでバトルすることになった。ファクトリーアドバンスへ行くと、それぞれの学校の冬服を身に纏い、さっそく課外活動としてやってきたまどかたち3人と、あおたちも冬服の若葉女子高校の制服を着て出迎えてくれた。
翔子「みんな一斉に冬服だね」
まどか「さすがにそろそろ肌寒くなってきたもので」
あお「だよねー」
ユウ「で、今日は翔子がバトルするのよね?」
翔子「力を取り戻したら、ちゃんと相手をするって約束だったしね」
ナルミ「それでは、さっそく始めましょう」
翔子「始める前にさ、1つ提案があるんだけど」
リカ「提案?」
翔子「あたしもこっちの世界での自分のスペックを知りたいからさ。あんたたち3人同時にかかってきなさい」
暦「さ、3人同時に!?」
リツカ「いやいや、いくらなんでも」
ユウ「ふ~ん。随分と余裕ね。あとで後悔したって知らないからね!」
リカ「3対1っていうのも、なんか気が引けるけど」
ナルミ「翔子がそう言うなら、全力でいかせてもらいます」
レーナ「では、さっそく準備しましょう」
翔子「で、害虫から何か情報は得られた?」
レーナ「あの小型のヘキサギアから、ウィルスプログラムが搭載されていたことがわかりました」
翔子「何かの拍子に出てきた、アンチステルスカードが発動してよかったわ。アーキテクトフレームにウィルス仕込もうとしていたところだったからね」
トール「あの時は現場を抑えれてよかったぜ」
鈴香「そういえば最近そのカードを量産していましたね」
翔子「とりあえず、これがあれば、ステルス迷彩は見破れる。妨害工策はこれで阻止して、今のうちに、アーキテクトフレームが奪われないようにすれば」
レーナ「これ以上の損害は大きくならなさそうですね」
翔子「けど、なる早でね。そろそろ準備で来たかしら」
轟雷「お待たせしました」
バーゼラルド「あれ?しょーこ、変身しなくていいの?」
翔子「ん?ああ、このままでいいよ」
スティレット「随分と余裕じゃない!もしかして、あたしたちのこと嘗めているの?」
翔子「別に嘗めてなんかいないわよ。それに、ちょっと気になることもあるからね。さあ、始めるわよ!」
5セット目~
FAガールたち「ぜぇ…ぜぇ…」
翔子「ちょっと?まだ1発も当たってないんだけど?」
スティレット「う、嘘でしょ…」
バーゼラルド「しょーこ早すぎるー!」
轟雷「これで5セット目なのに…1発も当たらない」
スティレット「しかも全然息が上がってないし!」
翔子「ほらほら、3人の連携がうまく取れてないわよ?今後、連係が必要な場面とか出てくるでしょ?」
バーゼラルド「今までこんなことしたことなかったのに~」
翔子「あのね、今までは個々の力で対処できていたかもだけど、エクスパンダーには、強力な敵がもっといるかもしれないのよ?そんな時、連携が出来なくてどうするのよ」
轟雷「翔子の言う通りです。スティレット、バーゼラルド」
スティレット「わかってるわよ!」
バーゼラルド「今度こそ当てるぞー!」
そこから更に翔子と轟雷たちFAガールたちのバトルは続くが、結局この日、翔子に1発も当てることはできなかった。
スティレット「あたしを踏み台にしたぁー!?」
あお「うわ~轟雷たちがもてあそばれてる」
まどか「翔子さん強すぎ…」
響子「あいつ絶対楽しんでるわね」
鈴香「ですね」
レーナ「やはり、3人の連携の特訓をお願いしてよかったです」
ルミティア「あれ、レーナさんの指示なんですか?」
レーナ「前から考えてはいましたが、翔子さんからも指摘を受けていましたので。それで、力を手にしたから、それと一緒に稽古をつけてあげるって言ってくれたものだったので」
響子「3人の自信を壊さなければいいけど」
鈴香「あはは…」
バトルシュミレーター後、
リカ「そういえば、この前商店街で聞いたんだけど、マガツキ橘花とアヤツキに似た人がよく買い物に来ていたお店があったよ」
一同「………え!?」
レーナ「本当ですか!?」
ユウ「ていうか、見つけたのなら早く言いなさいよ!」
リカ「ごめーん忘れてた。てへ☆」
ナルミ「それで、そのお店とは?」
リカ「商店街のお店にはよく出入りしてたようだけど、特に剣道の道具を販売している店は以前からお世話になっていたとか」
あお「剣道?」
リカ「どこかの道場に通っているのかもね」
レーナ「なるほど。道場の関係者、ですか」
翔子「あたしたちも探してみるか」
~???の応接室~
??「久しぶりに帰ってきた。けど、まだ椿は見つかっていない…どこに行ってしまったの?椿」
「楓さん!あれ、楓さん…?」
翌日
「あぁ、それは椿ちゃんだな」
鈴香「椿さん?」
「真賀月椿(まがつきつばき)、ここから少し離れた真賀月道場の師範代の娘さんだよ」
響子「へぇ師範代の娘さんなんだ」
「あんたたち、椿ちゃんの知り合いかい?」
翔子「いや、知り合いというほどじゃ…(というか、どこの誰なのかも全然わかってないし)」
「よく商店街には顔を出していたんだよ」
「師範代も顔が広く、その縁で椿ちゃんとも知り合ったしな」
「けどまさか、椿ちゃんに姉妹がいたのは驚いたけどな」
響子「もしかして、橘花と綾のことですか?」
「橘花お姉ちゃんと綾と会ったの?」
「あの2人、元気にしてた?」
鈴香「元気にしていたよ。あなたたちは…」
「この子たちはリリとララ。よく椿ちゃんたちに遊んでもらっていた子たちだ」
リリ「最初橘花お姉ちゃんと綾を紹介された時、瓜二つって言うか、ほんとそっくりで、最初見たときはびっくりした」
ララ「でも、あの2人と一緒にいる椿お姉ちゃんも、楽しそうだった」
翔子「あの2人も、この商店街に出入りしていたのね」
リリ「けど、ほんと最近どうしちゃったんだろうね」
鈴香「いつ頃から見ていないのですか?」
ララ「半年前だったかな。椿お姉ちゃんを見なくなったあと、橘花お姉ちゃんと綾もここに顔を出す頻度が少なくなって、その後はもうさっぱり」
翔子「半年前…」
「あんたたち、もし椿ちゃんたちを見つけたら教えてくれないか」
リリ「商店街のみんな、椿お姉ちゃんたちのことずっと待っているから」
ララ「もし見かけたら、お願いします」
鈴香「はい。その時は必ず」
響子「橘花と綾もちゃんと伝えておくわ」
翔子「半年前から行方不明で、橘花とアヤツキも少しは商店街に顔を出していたけど、そっからはまったく来なくなった、と」
鈴香「その時期って、もしかして」
響子「エクスパンダーと接触があったというところかしら」
翔子「椿がエクスパンダーに人質として捕らえられ、橘花とアヤツキは無理やり協力をさせられているってところかしらね」
鈴香「なら、椿さんを助けることができれば」
響子「あの2人もエクスパンダーに手を貸す理由もなくなるってことか」
翔子「その椿がどこにいるのかがわかればいいんだけど、さすがにそう簡単には見つからないか」
??「あの、今椿と言いましたか?」
翔子「え?」
??「真賀月椿のこと、何かご存じなのですか?」
響子「訳あって私達も探しているんだけど、どこにいるのかまでは」
??「そうですか…」
翔子「見たところ、あなたも剣道やっているようね。真賀月道場に通っていたの?」
吾妻楓「はい。よく手合わせをしていたもので。あ、申し遅れました。わたしは、吾妻楓(あがつまかえで)と言います」
響子「藤林響子よ」
鈴香「水無月鈴香です」
翔子「天空寺翔子。(ん?吾妻楓…どっかで聞いたことがあるような。それにこのスタイルも…)」
楓「皆さんはこの辺では見かけない方のようですが…修学旅行ですか?」
翔子「またそのパターンか」
楓「また?」
翔子「いやこっちの話。この街の住人は、全員制服が違う=修学旅行生という共通認識でもあるのかしら」
楓「椿…一体どこに行ってしまったの」
鈴香「椿さんとはお知り合いのようですが」
楓「はい。私は元々違う道場に通っていたのですが、剣道の試合で椿と対戦することもあって、練習試合などでよく真賀月道場に足を運ぶことがあったんです」
翔子「剣道を通じてか。なんかそんなマンガがあったわね」
響子「ということは、橘花とアヤツ…綾のことも知っているの?」
楓「あの2人とも面識はあります。ただ…」
翔子「ただ?」
楓「試合中、わたしが優勢だったところに、背後から襲い掛かってきたのには、驚かされましたが」
鈴香「試合中背後からって…」
響子「さすがくノ一、というべきかしら」
楓「でもその後、椿にすごく怒られてました」
一同「(なんかその光景が目に浮かぶわ)」
楓「…ですが、ほんと仲がいい姉妹です。血縁はないけど、人とフレームアームズ・ガールが手を取り合って生きている。理想な関係だと」
響子「…あの2人がフレームアームズ・ガールだって言うことを知っているの?」
楓「知っていますよ。皆さんも知っているのですか?あまり知られてはいけないことだと聞いてますけど」
鈴香「…実は」
楓「そうですか。皆さんファクトリーアドバンスに協力しているのですね。どこかの企業のアクトレスですか?」
響子「アクトレス?」
翔子「いや、あたしらはアクトレスじゃないわ。縁あってファクトリーアドバンスに協力しているの。エクスパンダーとその関係者に何度か遭遇しているからね」
楓「その経緯で、橘花と綾と出会ったと」
鈴香「私たちは一度あの2人と戦いました。その時、姉さまと口にしてたので」
響子「なんか焦っていたように見えた。自分たちで何とかしなくちゃっていう感じのね」
橘花「余計なことを言わないで」
一同「!」
楓「橘花。綾」
綾「か、楓…」
橘花「帰ってきていたのね」
響子「帰ってきていた?」
楓「しばらく街、いえ地球から離れていまして、つい先日帰ってきたんです。橘花、綾、あなた達は椿の居場所を知っているんじゃないんですか?」
橘花・綾「…」
翔子「答えるつもりはないって顔ね。ま、それもそうか。椿は人質になっているのでしょ?エクスパンダーのボスに」
橘花「答える気はない」
綾「お前たちには関係のないことだからな!」
楓「わたしにも関係のないと言うの?」
橘花「…そうよ」
鈴香「事情があるのなら、どうか聞かせてくれませんか?」
橘花「答える気はないと言った」
翔子「…あ、そう。わかったわ。なら、こうするしかないのね」
響子「翔子!」
翔子「やりづらいというのなら、あたし1人でやるわ。あいにく、あたしは初対面だし、遠慮なんてしないわよ?」
綾「脅しのつもりか」
橘花「やめなさい、綾。私たちは戦いに来たんじゃないわ」
綾「こっちにはなくても、向こうはやる気だよ?」
翔子「そうよ。ねじ伏せてでも、事情を聴かせてもらうわ」
橘花「…やむを得ませんね」
ピピピ!
鈴香「この音は…緊急通信?」
翔子「…ちょっと待ちなさい」
レーナ『皆さん!聞こえますか!?』
翔子「レーナ?どうしたの?随分と慌てた声出して」
レーナ『今皆さんがいる地点に、強力な反応が向かっています!!データ照合が完了してます。そこに向かっているのは…』
ドォーン!!
レーナ『フレームアームズのマガツキです!!』
一同「!?」
翔子「鈴香!響子!行くわよ!」
鈴香「はい!」
響子「ええ!」
翔子「チェンジヴァルキュリア!」
翔子「先手必勝!」
ガキンッ!
翔子「なっ…!?」
翔子「がはっ!」
鈴香「翔子さん!!」
響子「あの見た目なのに、速い!?」
楓「来ます!!」
鈴香「うっ…!」
響子「つ、強…!」
鈴香・響子「きゃあっ!!」
綾「…な、なぁ、橘花。あれって」
橘花「フレームアームズのマガツキ。なんであれがここに…!」
楓「あれがどこにあったのか知っているの?」
橘花「あれはまだ不完全な状態だったはず。それでも、あんな動きを…」
綾「見間違いなのかもしれないけど、あの動きどっかで…」
楓「(それはわたしも思った。あれはまるで…。いや、今はあの3人を助けないと。でも、わたしの“ギア”はまだ整備に出したばかりだし)」
翔子「がっ…!」
鈴香「うぅっ…」
響子「っ」
翔子「いったた…2人共、大丈夫?」
鈴香「なんとか」
響子「こっちも…なんて力なの」
翔子「あれが、かつての大戦で無類の強さを誇ったヴァリアントフォースのフレームアームズ…」
鈴香「き、来ます…!」
ルミティア「先輩!!」
ガキンッ!
ブンッ!
ルミティア「か、簡単に押し返された…!」
翔子「ルミア!気を付けなさい!こいつ…強いわよ!」
ルミティア「はい!」
Bパートへ続く