売電用太陽光発電の停電について質問をいただく | 某社員?

某社員?

私的な考え

Q.なぜ一般の売電型家庭用ソーラー発電システムは商用電源が停電すると「発電しているのに停電」し、使うためには「自立運転」に切り換える必要があり、それも非常用コンセントのみになるのでしょうか?停電の心配がないと勧められて購入したのですが。。

という質問をいただく。「売った人に聞いてください!」と言って電話を切りたいところですが、勉強したいという前向きな方だったので、丁寧に答える。

A.「家庭用ソーラー」といっても「売電」をするものは「正式な商用発電所」です。商用発電所であるからには「高品質電力の供給義務」が課されます。特に売電中に供給を急停止すると電力会社の商用系統の周波数、電圧に乱れが生じ、近隣家庭などで使っている家電製品などを壊してしまう、最悪は電力会社の系統に設けられている遮断機を動作させ、近隣一帯を停電させてしまうことがあります。これを波及事故といいます。実際に波及事故を発生させた場合、その賠償責任は売電者、つまりユーザーに生じます。
事故防止のため、発電システムの起動、商用系統接続、切り離し、停止の全てには電力需要を観ながらの専門的で特別な手順が必要、本来は有資格者によってなされます。
売電型家庭用ソーラー発電システムではパワーコンディショナーが全自動でそれを行ないます。それを条件に家庭用ソーラーシステムでは、無資格者による「発電所管理」が認められています。よってユーザーが売電型家庭用ソーラー発電システムを商用系統から勝手に切り離す、あるいは再接続することは法律で禁じられています。
また電力会社の商用電源が停電するのは、その系統に何らかの異状が発生したためですから、やはり波及事故防止のため、停電した系統に接続されている発電システムは全て直ちに電力供給を停止しなければなりません。
電力会社の発電所では直ちに発電機出力を調整、送電線に接続されている開閉器を動作させて対応するため、発電所内での停電は生じませんが、当然、これは有資格者により管理されているからできること、家庭用ソーラーシステムでは無資格者による発電所管理を認めるかわりに「全停電」させることになっています。
そしてその後、手動で「自家用分」を発電して復電させることができますが、この自家用分は総発電量より少ない量までしか認められません。それはあくまでも商用発電所である以上、自家用分は本来「売電して余った電気を使う」とされていることからです。「非常用コンセント」になっているのもそのためです。

家庭用ですから大変な手続きなどは簡易化されていますが、商用発電所としての大原則はあくまでも適用されます。

つまり家庭用ソーラーといっても売電するものは自分のためではなく、あくまでも第三者のために電力を作るための発電所であること、その代価として「売電料金」を得ていることをユーザーは正しく理解しておく必要があります。
また高品質の電力を第三者に供給するため常にシステムを正常に保つ義務があることも正しく理解しておく必要があります。よって自家の停電対策用としてはそのままでは有効なものにはなりません。

売電型家庭用ソーラー発電システムが登場した当初、その広告には「皆のため、地球の未来のため。」という文言が輝いていました。いつしかこれが忘れ去られ、「自分のため」が台頭するようになったのは、なんとも嘆かわしいことです。