2018年10月1日まで、横浜高島屋で開催されていた入江明日香さんの大規模個展。
(京都高島屋でも開催中!)
大変盛況なうちに幕を下ろしたそうで、
2万人以上の方が詰め掛けたとのことです。
■入江明日香作品を好きな理由
入江さんの作品に初めて出会ったのは、
2014年に国立新美術館で行われた「Domani」展です。
見た瞬間に一目惚れしたのを覚えています。
その後、私のお客様にもおすすめし、
とても素晴らしい作品を購入されていました。
(現在、その価値は当時の2.5倍以上になっています)
さて、私が入江さんの作品を好きな理由ですが、大きく2つの観点があります。
1つ目は、
「現代版・日欧融合的浮世絵」
という観点です。
日本の浮世絵を現代風にすると、こんな感じだろうな、というのが、
入江さんの作品の素晴らしいところです。
彼女はフランスに留学して、銅版画の技術を身につけていくのですが、
このフランスという国と日本は、19世紀の「ジャポニズムブーム」という一点から、
芸術的に非常に深い関係を築いてきています。
特に、モネやゴッホなどの世界的画家は、この浮世絵の影響を非常に強く受けています。
入江さんは、この「新たなジャポニズムを象徴する作品」を制作している。
そのような印象を受けています。
浮世絵という日本独自の文化の結晶と、西洋の価値観を、高い技術と創造性で融合したアーティスト。
これが私なりの彼女の見方です。
2つ目は、ご自身も言及されていますが、
「男性/女性、大人/子供」の「狭間」
という「境界が曖昧な人物」を描いているという点です。
どうしても最初に私たちが目を奪われがちなのは、
そのファンタジーなモチーフの描き方ですが、
私はそれ以上に、この「境界の曖昧さ」というのが、今後の入江作品のとても大きなキーワードになるかと思っています。
というのも、私たちの世界で起きているのが、
まさにこの「境界が溶け合っていく曖昧な世界のクリエイト」だからです。
LGBTや時間的概念の喪失、遺伝子開発による超長寿社会という未来、
そして、AIの発達による人間とその他との境界が無くなっていく未来。
入江さんの作品は今この曖昧な境界の社会を反映したメッセージとなっているのではと思っています。
私はある個展でご本人にお会いしたことがあったので、
展覧会を鑑賞し終わったあと、入江さんに久しぶりに興奮した感想をお送りしました。
すぐに返信をくださって、喜びを分かち合いました。
入江さんと何かできないか、と思い、企画魂が大きく湧き上がってきています。
皆様もぜひ入江明日香さんを応援していただけると嬉しいです。
■京都高島屋で開催中。会期短めですのでご注意を!
https://www.takashimaya.co.jp/store/special/event/irie.html