5月21日火曜
午前9時。
レジェンド先生の携帯から電話。

実はその前の8時過ぎに
着信履歴が無いのに留守電が一件
入っており、その留守電も
レジェンド先生から携帯からでしたが
先生の声はせずに、奥様の声が遠くで
まだ朝早いから、あとに
しなさいよ、
と聞こえておりました。

なもので、直ぐにかけなおしたものの
お出にはならず、その9時の
電話には先生が今日は何時に
来てくれるんだっけ、との確認だと
疑わなかったので
押忍、おはようございます😃
と出たのでした。

すると意外にも奥様の声。


今朝、先生亡くなったよ、


という言葉に一瞬固まってしまいましたが
気を取り直して、話をさせてもらいました。
実は奥様も心臓病を患っているので
心配でしたが、
お身内の皆さん
キックボクシングのお弟子さんや関係者、
他にも沢山の方が手を貸してくれるから
心配ないので今日は来なくても
大丈夫だからとのこと。


はい。と返事をし電話を切るも
さっきの謎の留守電が気になり
先生、僕を待っているんじゃないか
マッサージしながらの会話を楽しみに
してるんじゃないだろうか
そんな気持ちがあるのに
本当は膝をさすりながら
声をかけたいと心は言っているのに

ご家族が大変なところにまた後で
連絡をしますと言われたのに
のこのこ、顔を出したら大迷惑だ

と常識的な考えとの葛藤で
あっという間に先生と昨日約束した
時間まであと一時間となりました。

結論から言うと
『足のマッサージをしに行く』
を選択したものの
どの面を下げて行ったらいいのか
そこだけが、心の引っ掛かりでした。

すると、うちの奥さんが
レジェンド先生、待ってるよ。
と迷っている自分に声をかけて
出かけて行きました。

扉がガチャンと閉まった音と同時に
昨日、約束したじゃねーか!
とスイッチが入りその勢いで
先生宅を凸したのです笑

娘さんが誰?みたいな顔を
していましたが事情を話し
まだ、奥様とヘルパーさんしか
二階にいないのでどうぞと
通され、奥様にも
自分勝手で申し訳ないですが
先生との最後の約束を果たすのに
1分だけ下さいと伝えて
先生のまだ温かい足のマッサージを
して、
先生、やりました!
もう、足も柔らかくなりましたし
むくみもないですし
癌も克服したので自由自在です
もう、心配かけまいと
奥様やみんなの前で元気なふりして
立とうとしなくても大丈夫です

良かったっす
お疲れ様でした


こんな言葉を口にしたり
心で思ったり。



先生は朝6時くらいに亡くなっていた
らしいので、あの留守番電話は
先生ではなく、奥様も9時の電話の
前にはかけておらずで謎のままで
あります。

電波障害なんでしょうけどね
タイミングが良く
僕の背中の後押しの一つにも
なりました。

ちなみに、保存したはずの
留守電は夜中に聞き直そうと
したらなぜか消えていまして

真実はもはや分からなくなりましたが
そんなことより
最後の約束を守れたことが
大きなギフトでした。
一般的などうのこうのよりも
先生待ってるだろ!を優先できたことは
僕の経験値を上げてくれました。

悲しみはこれっぽっちもなく
涙は出ましたが、喜びと感謝の
気持ちしかなく
えらく清々しい気持ちでいっぱいです。


レジェンド先生が大人しく病院で
医者と大喧嘩をせずに入院していたら
もう数ヶ月は長く生きたのかも
知れませんが、自分の命の使い方は
自分が決めることを選択して
最後は酸素がうまく肺に取り込めず
動くことも大変で、どこかぼぉっとして
いたにも関わらず
はっきりとした意識で会話をし
動くことまで見せようとしました。

一人の人間として
存在の全うの仕方を
僕や奥様に伝えようとする姿から
『究極の生の美』を学びました。

人の言葉も行動も感情も命から
生まれる花のようなものなのだとしたら
最後の瞬間が訪れるその日まで
丁寧に咲かせてあげたいと
この二ヶ月の週に三、四回で
過ごしたレジェンド先生との時間から
学ばせてもらいました。


たーくさん、たくさん
素敵な話は山盛りにあるのですが
それは、また機会があれば
のんびりと^_^

レジェンド先生
今頃はキックボクサーのお弟子さん達に
何か伝えようと必死なんじゃないかな。
集まるらしいのでね。


キックレジェンド外伝。完。


レジェンド先生、

けっこう書いてますが

この先も書く予定っす😆

許してね笑