叔母(芸名:富士松魯遊)が
他界したのが2020年。

奇しくもコロナが世界を震撼させた年。
あれからもうすぐ三年に。

古典芸能である新内の家元だった叔母
に気に入られ、会の打ち合わせ、
劇場、TV局、病棟の送迎なんかを
しながら叔母の活動のサポートの
お仕事として任されていましたが
祖母のような、母のような、師匠の
ような存在でした。

叔母が杖をついて歩くようになり
歩行が難しくなり出した頃
“俺が杖みたいなもんだ、
魯遊の杖だね^ ^”
と言うと嬉しそうな顔を
したのを思い出します。


叔母が亡くなった日
葬儀屋さんが来てバタバタ
している中、極力普通でいようと
努めていたのですが
棺の中にこれを入れて下さい
あの世への旅路の為の杖です
と白木の形式上の杖を出され
僕がその役目になった時には
叔母ちゃん、最後まで出来過ぎだろ
と泣けてきて、トイレに駆け込む
しかありませんでした。

魯遊の杖だった僕の最後の勤めは
魯遊旅立ちの杖を棺に納める事
だったなんて最後まで粋だった。

叔母にありがとうと言われた気が
したのを今でもふと思い出します。


江戸の時代より続いてきた富士松魯遊
の名は叔母で一旦ピリオドとなりましたが
違う形で伝えていけたらと思っています。

祖母である五世と叔母である六世
二人の富士松魯遊と時間を過ごせた事は
自分にとって掛け替えの無い財産です。




魯遊の杖 終