稽古も終わり
先生と二人、駐車場に向かって
歩いている。
seiくん。
今の時代、
伝統派空手の先生と護真舎の僕
そんな垣根すら既に無かった。
なかなか強いね
と言って
先生は子供みたいな笑顔を見せてくれた。
なかなか強い
という言葉は便利でやっかいな言葉だ。
ピンからキリまで意味があるから。
この場合の強いねは
ちょっとは頑張ったな
といったところだろう笑
だから肯定も否定せずに
先生の空手が知れて嬉しかったです。
と返事をした。
seiくん。
今の時代、
突き蹴りや技術がどうと言うけれど
結局は相手を倒せる技がいい技だよ。
相手の弱い部分を狙えば、
結局は相手を倒せる技がいい技だよ。
相手の弱い部分を狙えば、
力だって本来は要らないんだよ。
少し驚いた。
僕自身も常にそう教えらてきたからだ。
馴染み深い言葉だったし
改めて考えさせられる言葉だった。
大事な事を書き忘れていた。
実は先生は癌を患い、いくつかの臓器を
摘出している。
それでも空手は今まで通り続けてきた。
体力は落ちたね、と言いながら
あれだけの動きをする。
ああ、最後の最後まで
本物の空手家の方だった。
『はい』とだけ僕は答えた。
気持ちよい風が吹いていた。
完。
追記
気持ちよい風が吹いていた。
完。
追記
其の壱 の冒頭に書いたように先生の体調の
事が気になり、なんだかソワソワ
し出してしまいました。
この話は10年前の出来事です。
その後、一年に一度は
電話で挨拶をしていたのですが
携帯の故障でいくつかのデータが
消えてしまった際に先生のものも
含まれていて、、四年前の一月を最後に
連絡が取れていませんでした。
K音パパさんとの会話の翌日
ネットで検索してみると
先生のお弟子さんにあたる方の
ブログのタイトルが目に入りました。
訃報というタイトルに
嫌な予感をさせつつその記事を
読んでみると、僕が最後に電話をした
2ヶ月後に癌で他界したとのことでした。
一瞬、固まってしまいました。
その電話でお体大事になさって
下さいね、と言った時
大丈夫だよ と言っていましたが
既に体の異変はあったとしても
黙っていたのかもしれません。
三月一日が命日だそうです。
最後にもう一つ
先生の言葉で忘れられない言葉を書いて
終わりにします。
先生はかつて貿易関係の会社を経営されて
いたそうで、海外に行く度に現地の道場に
顔を出してはその国々の方々と組手を
したいたらしいです。
言葉は?と尋ねたときの返事です。
武道は、世界共通語だよ♫
(右、若き頃の先生)
10代から指導する立場にあり
大切にしてきた先生の空手を
感じさせて頂きありがとうございました。



