もう何年も前に他界した
歳上の従姉。
旦那さんも従姉より先に癌で
亡くなり、その数年後
彼女にも癌が見つかりました。
従姉の長女が大学生
次女はまだ高校生の時のこと。
度々記事に書く叔母の一人娘が
その従姉でして、僕にとって
歳の離れたお姉さんみたいな
そんな付き合いのある
親戚だったのです。
病名を隠していたものの
入院するため娘たちに
知らせなくてはならなくなりました。
従姉が患ったのは
生存率の極めて低い膵臓癌だった
のです。
入院先の病院まで
車で従姉を送るその車中、
雑談から始まり
当面の家族の心配など
話が進むうちに
何だか得体の知れない霧の中を
進んでいるような不安な気持ちに
なったのを憶えています。
会話がひと段落してから
しばらくは、カチカチとなる
ウインカーの音やラジオの音が
間を繋いでくれていました。
どの位の
時間が経ってからでしょうか
あなたは人生
あの時が一番良かったとかある?
外の景色を眺めたまま
従姉がポツリと口にしました。
無いな。
いろいろあっても今がいいや。
そう答えると
わたしも。。
従姉はまるで
自分に言い聞かせるように
呟くと、僕の方を見て
語気を強めながら
あの時は良かった
この時は良かった
とか言う人いるじゃない!
私、
あの感覚がよく分からなくて。
と言った後、
また窓の方を向き直したのでした。
従姉が唇をキュッと噛み締めた気
がしたのは気のせいだったのかな。
それから三ヶ月後
従姉は他界したのですが
ふと思ったりするんです。
あの時のあの言葉は
そのまま受け止めて良かったのか
自分の人生を振り返って
言い聞かせていたのか
もしかすると
強がってみせたのか。
真相は分かりませんが
もっと深い部分を感じる
ことができやしなかったかとか。
あれから、だいぶ経ちました。
今、また同じ質問をされても
同じ言葉を僕は返します。
あ、
一つだけ違う事が。
あの時より長く生きている
僕が感じて答えています。
死ぬ前に同じ言葉を
言える自分でいたいものです。