大切。細胞を使い切りたい。透き通った物静かな声だった。過去は大きく切らないと。大切にするために深く大きく切り取るんだよ。『切る』の動作が空手の手刀打ちになっている。根っからの武道家なのだろう。確かに過去には誰も触れられないのだから良い悪いに関わらず過去に囚われていては今を精一杯生きている実感はなかなか得難い、そう教えてくれたと理解した。不治の病と戦うその人にはどんな世界が見えているのだろう。全部の細胞を使い切る勢いで毎日を生きたいと思う。