月無き夜

第二幕


どれくらい走ったであろう。

男と女性は草の上に腰を下ろして息を整えていた。


油断はできなかった。

ある程度逃げれたお陰で妖獣たちの数は減ったが

まだ、姿を現すからだ。

『わたしのせいで。。。』

女性が悲しげな顔で男を見た。

男は首をふり微笑んでみせた。


そんな束の間のやりとりも、すぐに現れる妖獣によって

かきけされてしまう。

男はただひたすら切り続けるということしか

もはや考えられないでいた。疲労もピークに達して

剣を持つにも握力すら消えかけている。



どれくらい戦いが続いたのであろうか。



男にはこの状況が無限に続くのかもしれないという

恐怖心が今ではもう無くなっていたに違いない。


とにかく、切るのだ。

男は剣と化していた。





あの剣士は無事なのか。

それすら分からない今は、ただ切り続けるしかないのだ。

出血も男の体力を奪う。



そうこうしているうちに東の空が明るくなってきた。

もうすぐ朝陽が昇る。それまで・・・



切る。




妖獣たちは陽の光に弱いかもしれない。



切る。



太陽!







しかし、妖獣たちは消えるどころかまだまだ逃がさぬ

と言わんばかりに湧いて出るのだ。


ふいに


『太陽から力を得ることはできますか?』


男が女性に尋ねると


『やってみます』


と真剣な眼差しで頷き太陽に手をかざすと

太陽から取り込んだ力を男に注いだ。


男の冷え切った体にぬくもりと力がもどり

再び力強く剣を握りしめると

蘇ったように鋭い一刀で目の前の妖獣をなぎ倒していく。




終わりが近づいたかと思われた瞬間、男の視界に黒い塊の山が飛び込んだ!



『むう・・・』



それは

数十匹という化け物の群れであった。


この数では、守りきれない。。。






『追いついたぞ。』

背後から声がした。

剣士であった。

相変わらずの静かな表情の剣士。



男は一瞬安堵の表情を浮かべると

女性を剣士に託し、『後は任せた、守りぬけ』

と言い残すと両手でしっかりと剣を握り直し

化け物の群れへと一人進んでいった。


その姿は、自分の戦いをこれから楽しむかのような

喜々としたものにも見えた。


剣士は頷くと女性とともに逆方向へと走り去って行った。



『来いよ。』

男は笑みとともに黒い影の中へと突進していった。






月無き夜    完






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これね~、今朝の夢♪

男はね~ なんと僕でしたぁ~

し、しびれる。。。

まるで映画の主人公のようではないかぁ♪


こんなかっこいい役の夢なら毎晩でも

化けものちゃんたちと仲良くチャンバラごっこしちゃうよ~(笑)






夢のお話でした(笑)