退職後、思い描いていた(いる)生活の一つは、妻と一緒に畑で野菜をつくること。

 私の家は、田舎の農家。退職するまでは、休日を利用して農作業を行った。

 退職したら、ゆっくり少しずつしたいと思っていた。そこで、親戚からセミクローラタイプのトラクターを譲ってもらった。

 がんがわかる前日は、そのトラクターで田んぼをすいていた。平日のよい天気の日に、のんびり作業できるのは、気持ちがよかった。退職してよかったなと思った。でも、その新しいトラクターを使ったのも1日だけだった。

 しばらくして、胸がすごく痛み始めた。退院してからも胸が痛くて、まだ農作業ができるような状態には、回復しなかった。

 これをきっかけに、米作りは、もうやめることにした。納屋や倉庫に保管している田植え機、コンバイン、乾燥機など・・・すべて売却した。驚くほど安い値段だった。 (孫たちにトラクターやコンバインにのっているじいじをみせることができなかったえーん。)

 田や畑も管理することが難しくなって、すぐに草が繁ってきた。休耕田の草刈りを依頼すると何人も来られてすごい費用になってしまった。

 そこで、今は、その田んぼ(祖父や父から受け継いできた)まで手放すことを考えているショボーン

 

 でも、まだ、野菜づくりをあきらめたわけではない。また、きっと軽トラックを運転して畑仕事ができるように回復できることを信じて治療を続ける。