『No Place to Call Home』を

読みながら、私の中の

ひねくれ心は常に

囁き続けておりました。

 

 

 

 

「ジプシー/トラヴェラーズ側の

気持ちはわかる、生きるために

新天地を求め続けなければ

ならなかった状況には同情する、

でもこれは『新天地』に

選ばれた側、ジプシー/

トラヴェラーズを

受け入れなくては

ならなくなった側にも

同情の余地はあるよなあ」

 

ある日家の隣の敷地に

隊列を組んだキャンピングカーが

ぞろぞろやって来て

生活を開始したら

それは驚き当惑するのが当然。

 

本ではデール・ファームの

事例に続き、やはりイングランドの

『メリデン』という場所での

ジプシー/トラヴェラーズによる

不法居住の問題を取り上げています。

 

デール・ファームに

不法居住したのは

アイルランド系の

『アイリッシュ・

トラヴェラーズ』。

 

メリデンに住み着いたのは

スコットランド・イングランド系の

ジプシーとトラヴェラーズ。

 

色々あってそれまで

キャラバンを置き

生活していた場所を失った

ジプシー/トラヴェラーズが

「路肩でキャンピングカー

生活をするよりは」と

メリデンに新天地を求めます。

 

この時メリデンの旧住民・

行政側は「問題はジプシーが

どうこうの話ではなく、

居住の形態が合法であるか

不法であるかなのです。

彼らは住居の建築許可を

得ておりません」という理論で

問題に対処しようとし、

そして勝利します。

 

この対処法・戦法は

その後他の地域でも

使われるようになります。

 

ジプシー差別じゃないですよ!

遵法精神、法の前の

平等の話なんです!

というわけです。

 

2000年に

北アイルランドで

行われた調査では

回答者の40パーセントが

「非定住系の生活様式は

正しくない」としました。

 

なるほど、それはそれで

時代の流れというものです。

 

では非定住系の生活を送る人々に

それまでの生活様式を諦め

定住してもらうことにしましょう!

 

しかし同じ調査で

回答者の57パーセントが

「トラヴェラーズは近所に

住んで欲しくない」と言っている。

 

つまり「移動を止めろ、定住しろ、

でもうちの近所には住み着くな」。

 

英語でこういう状況を

『NIMBY(ニンビー)』と呼びます。

 

『Not In My Back Yard

(私の裏庭じゃないとこで)』の

頭文字で、公共のために必要な

施設であることは認めるけれども

それを自分の家の近所に

設置されるのは拒否する態度のこと。

 

メリデンに住んでいた人々が

次の居住地もないまま

立ち退かされたことを受け

元副首相のジョン・

プレスコット氏(労働党)は

「これは最悪の形での

ニンビー主義への迎合だ。

人々が持ちうる

最悪の形の偏見だ」と

述べています。

 

でもじゃあプレスコット氏が

自分の選挙区にジプシー用の

居住地を作ると宣言したら

どうなったか、という・・・

 

『No Place to Call Home』は

ここからさらに

ジプシー/トラヴェラーズ社会の

早婚問題や教育問題

(10代前半での結婚で

教育が犠牲になる)、

健康問題(住居に適さない場所に

暮らすため健康を害する

危険性が高い、メンタル

ヘルスの問題も多い)、

いまだに根強い社会的差別、

そこから生じる行政への

不信感、集団内に存在する

自治警察的な組織の問題点、

イングランド系ジプシーと

アイルランド系

ジプシーの間にある

対立というか

反目などについて述べ、

それでも最終章で近年の

ジプシー文化の復興など

明るい話題に触れて終わります。

 

 

私がこのたび英国の

ジプシー/トラヴェラーズ

問題について知識を得たい、と

本を読み始めた時、

私が知りたかったのは

「彼らは今どこにいるのか。

何故定住しないのか。

非定住の生活には

どんな魅力があるのか」でした。

 

まだまだ数えるほどしか

本を読んでいない

状況ではありますが、

現時点での私の理解としては

「彼らは行政の指定する

専用の居留地(サイト)や

人目につかない・

車を停めても咎められない

場所(ゴミの集積地など)で

キャンピングカーで生活している。

路上を放浪している場合もある。

同時に非定住の生活を捨て

定住化した人も多くいる」

 

「定住化を望むジプシー/

トラヴェラーズは多い。

特に子供を持つ女性は

医療・保険の面から

強くそれを望んでいる。

ただ定住できる場所を

見つけるのは難しい」

 

・・・上にあげた

私の疑問の最後の一つ、

「非定住の生活には

どんな魅力があるのか」、

これは難しいです。

 

ニューエイジ・

トラヴェラーズのように

望んで放浪生活を開始し

今も続けている人は

確かに存在すると思います。

 

ただ一般的なジプシー/

トラヴェラーズとしては

「夏の間は仕事をしながら

各地を移動してもいい、

でも冬場はどこかに定住したい」が

素直なところなのではないかと・・・

 

どうでしょうか。

 

先日ラジオを聞いていたら

「英国の都市部で

家賃を払えなくなり

車で生活する人が増えている」

というニュースが流れてきました。

 

たとえば仕事場や親の住所を

『連絡先』に借りられるなら

それも可能かと思うんですが、

もしもそういう住所を持たない場合、

我々は手紙を受け取ったり

日常生活の手続きを行ったりが

非常に難しくなる。

 

住所でかかりつけ医が決まる

英国の医療システムでは

こうした人々はどうなるのか。

 

英仏海峡を小型ボートで渡り

命がけで英国に不法に入って来る

移民の数は2022年の1年間で

4万5千人以上にのぼりました。

 

彼らをどこに

住まわせるべきか?

 

住宅が足りないのです。

 

なんとかして住宅をあつらえた後、

今度は教育や医療が必要となるのです。

 

そんなものは

こっちの問題じゃない、

勝手に野宿でもさせていろ、

という人はその場合に生じる

たとえば治安問題を無視している。

 

移民問題と住宅問題、

この現代社会の二大問題との

関係を考慮しつつ

今後もジプシー/

トラヴェラーズに関する

文献を読んでいきたいと

考えています。

 

 

まだまだ勉強中の身の上、

書きたいことは実はなお

色々あるのですが

それはもう少し

本などを読んでから

また改めてブログ上で

学習発表会を

開かせていただきたいと思います

 

このたびの投稿は可能なら

ひとかたまりで

読んでいただきたいので

明日はもしかしたら

目次のようなものを

記事として

あげるかもしれないです

 

どうかよろしくお願いします

 

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