前庭にやって来る

野鳥を眺めて

わが夫(英国人)が

「可愛いです」

 

 

「うん、そうだな」

 

「日本語で『Bird』は

なんていうんですか」

 

「『トリ』」

 

リ(『ト』を高く

『リ』を低く発音)

(『カモ』とか『レゴ』と

同じイントネーション)」

 

「ト(『ト』を低く

『リ』を高く発音)

(『かご』や『芋』と

同じイントネーション)」

 

「トー?(『氷』と

煮たイントネーション)」

 

「・・・わかった、もう

トーリー(犬の

『コーギー』と同じ

イントネーション)』で

覚えればいい、

英国保守党の愛称だ、

な、これなら簡単だろう」

 

私の言い草に傷ついたのか

夫はしばらく小さい声で

正しいイントネーションの

『トリ』の練習を繰り返し

「トリ・・・トリ・・・

トリ・・・あっ、これ、

トリって『ニワトリ』の

ことじゃないですか、

『トリニク』、そうでしょ?」

 

「まあそうだな、

漢字は微妙に違うが

ニワトリも

あれは鳥だしな」

 

「・・・庭にやって来る

小さな可愛い鳥を日本語では

なんと言うんですか」

 

「小さな鳥、となると

『小鳥』だな」

 

「コトリ」

 

「コトリ」

 

「コトリーヌ」

 

「・・・言いたいことは

わかるけどな、私はな」

 

我が家では一時期

日本語の形容詞に

『イヌ』をつけて

遊ぶのがはやりまして。

 

『かわいい』に『イヌ』で

『カワイーヌ』とか

『くさい』に『イヌ』で

『クサイーヌ』とか。

 

だからまあ夫の努力は

認めたいところではあるというか。

 

私の反応が

いまひとつだったことに

夫は不満だったのか、

肩を落として

部屋を出て行こうとして

最後の瞬間に閃きを得たらしく

勢いよく振り返ると

「わかりました!

『カワイイコトリデス』!

これが正しい日本語ですね!」

 

「正しい!よくやった!」

 

というわけで『コトリーヌ』、

スコットランドの一部地域で

『可愛い小鳥』を意味する言葉です。

 

 

住民2名にしか通じない

単語ですのでお気をつけて

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