わが夫(英国人)の妹、

すなわちわが義妹の

大活躍の結果

なんとかICU(集中治療室)に

担ぎ込まれた例のおじ様

 

まず簡易検査で

コロナ陽性で

あることを確認。

 

おじ様は血中酸素濃度が

洒落にならないほどに

悪かったらしく

即座に酸素吸入を

受けることとなり、

その一方でわれらが義妹は

おじ様の入院手続きなどを進め

同時に身内に連絡。

 

コロナ対策として

義妹はICU内部には立ち入れず

ずっと受付横で待機する形で、

そこにお医者さんや

看護師さんが出てきて

状況を逐次

説明してくれたらしいのですが、

「コロナの症状が出始めた

時間などを考慮すると

次の48時間がヤマです」

「次の48時間を乗り越えたら

ウイルスが力を失いますから

回復のめどがつきます」

「ただ患者さんは

肺の状態がかなり悪く、

ここまで酸素吸入をしても

血中酸素濃度が上がりません」

「次の48時間で

なんとかして酸素濃度を

上げなくてはなりません」

「これはエクモ(ECMO、

体外式模型人工肺)を

使うしかないと思います」

 

 

可哀そうにわが義妹は

たったひとりで

この説明を聞く立場となり

もうどれだけ

心細かったかと思うのですが、

でもそうか、もうここは

エクモを使うしかないのか、と

義妹が事態を受け入れようと

していたところに

また新たに

看護師さんがやって来て

「今、患者さんにも

エクモ使用の説明を

してきたところなんですが」

 

「ハイ」

 

「患者さん本人が強く希望するので

エクモは使わない方針になりました」

 

「・・・ハイ?」

 

我らがおじ様は医療団から

エクモ使用の進言を受けると

しばらく考えてから

「エクモをつけなかったら

助からない、ということですか?」

 

「助からない可能性が

高くなる、ということです」

 

「ただエクモをつけたら

100パーセント治るって

話でもないんですよね?

エクモをつけたまま

亡くなる方もいますもんね?」

 

「はい、それは残念ながら」

 

「エクモというのは

あれですよね?

装着したら意識が

なくなるんですよね?」

 

「はい、鎮静剤などを

かなり強めに入れますので」

 

「・・・僕はエクモを

使わないことを希望します。

死ぬ瞬間は

意識を保っていたいので」

 

 

おじ様!

 

おじ様あああ!

 

お医者様たちはおじ様の

意思を変えようと色々

試みてはくれたようなのですが

・・・こういう時は

患者希望が最優先なんですって。

 

「いいですか、今

エクモ装着を拒否して、

明日になって苦しいから

やはりエクモを、と言われても

その時点ではもう手遅れで

エクモを使えないかも

しれませんよ」

 

「はい、わかっています」

 

「エクモを使わなかったら

血中酸素濃度は回復しない

可能性が非常に高いですよ」

 

「はい、わかります」

 

「本当にいいんですか」

 

「はい、いいです」

 

・・・というわけで!

 

おたくのおじ様は

エクモは使用せず

NPPV(人工呼吸器の一種)を

使用することになりました!

 

 

続く!

 

 

・・・おじ様には

おじ様なりの考え方が

あるのでしょうし、

これは他人がどうこう言える

決断ではないと思うのですが、

この話を聞いた時

私は本当に一瞬

言葉を失ったというか

どんな相槌を打てばいいのか

思いつかなかったというか

 

まあでもこの時おじ様は

「自分は最期の瞬間に

向かっている」という

認識であった模様です

 

死の瞬間、己の意識を

保っていたいあなたも

失っていたいアナタも

その選択は考えたことが

なかったあなたも

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