そんなわけでわが幸せの

牡蠣旅行でございましたが、

今回の外泊、私の目当ては

純粋に牡蠣のみだったのですが

わが夫(英国人)には

もう一つ・・・いや、二つ

秘密の目的があったのです。

 

「出発日、朝早い時間に

家を出る予定にしませんか」

 

「・・・そんなに早くに

家を出て何をするんだ?

レストランの予約は夜だぞ?」

 

「僕、せっかくだから

山に登りたいんです・・・!」

 

そんなわけで私は夫を

朝の9時半に

某山のふもとで車から降ろし

「じゃあ6時間後にまた

ここに君を

迎えに来ればいいんだな」

 

「ちょっと遅くなっても

大丈夫ですよ。ここ、

ビールの醸造所があって

パブも併設しているので」

 

「あのなあ、今の時点で

かなり天候は悪いだろう?

その中を君は6時間犬と

野山を駆け回るつもりだろう?

6時間後の君は間違いなく

泥まみれの汗まみれだ、

パブには入れてもらえまい」

 

「大丈夫です、今確認したら

パブには屋外席もありました!」

 

ちなみに当日の天候は

本当に洒落抜きでよろしくなく、

醸造所の近くには

ガーデンセンターがあり

私はそこで午前中

時間つぶしをしたのですが

そこでは強風に備えて

売り物の植物の鉢を

あらかじめ横に

寝かせてあったくらいで・・・

 

こういう感じの:

金木犀はスコットランドでは

育たないんですって、寒すぎて

 

風も強いし雨もそれなり。

 

そしてこれは山登りの基本ですが

山のてっぺんとふもとでは

てっぺんのほうが気温は低く

風は強く、その結果

体感温度は下がるものです。

 

まあ私もね、新婚当初だったら

夫を止めたかも

しれないんですけどね、

いいんじゃないですか、

夫ったら行程の8割は

『歩く』のではなく

『走る』つもりらしいですし、

人間走れるのなら

体温は確保できるものでしょうし

・・・なおこの日、私が

山のふもとで出会った人々は

皆それなりの『秋冬ファッション』に

身を固めていらっしゃって、

つまり基本長袖長ズボンというか

人によってはダウンジャケットを

着ていらしたんですけど

わが夫は半袖半ズボン綿靴下、

後姿は犬を連れた裸の大将。

 

 

 

 

・・・良妻としてはやはり

あそこで夫を

止めるべきだったのだろうか・・・

 

しかしまあ当然のごとく

6時間後にわが夫は

無事に山より帰還。

 

迎えに行った私が見た夫は

パブの屋外席の隅っこで

黄金色のビールが入った

グラス(大)を手に

幸せと疲労に

頬を上気させていて

「・・・それにしても

顔色が良すぎるな。

君、そのビール何杯目だ」

 

「・・・優等生的な回答と

真実の告白

どちらがお好みですか?」

 

「・・・さてはもうだいぶ

楽しくなっている有様だろう!」

 

山の上は雨時々霧、

場所によっては

2メートル先が見えず

勿論足元はぬかるみ滑り

「僕のTシャツと短パンは

速乾性があって雨に濡れても

しばらく晴れ間があれば

乾いてくれるんですが

その下の普通の下着

一度濡れるともう乾かなくて

今日は一日中お尻が

冷えているんです、僕」

 

でも楽しかったそうでございます。

 

 

ビールも非常に

美味しかったそうでございます。

 

よかったよかった。

 

 

雨の日の山岳ラン

6時間がお好きなあなたも

私は山は遠くから

眺めるだけで結構です、なあなたも

お帰りの前に1クリックを


ヨーロッパランキング