念のため尿検査を受けることになった

我が家の盲導犬候補生アーシー(仮名)。

 

動物病院の受付のお姉さんが

いつも通りの明るく朗らかな声で

「はい、ではこちらが容器になります」

 

「待ってください、尿検査って

そうか、私が採尿せねばならんのですね」

 

「アハハ、そうなります、でも大丈夫ですよ、

こちらが容器なんですけど、採尿する時は

このキャップの部分にこの器具を取り付けて・・・」

 

その器具というのが何でしょう、

縦長の漏斗のような・・・とにかく

「ワンちゃんがしゃがんだら

これを背後からこう前に持って行って・・・」

 

「はい、もう大丈夫です、わかりました。

わかりましたけど、そうか、そうですよね、

私がその役目を果たさねばならんのですよね」

 

「安心してください、思っているよりは

簡単なはずです。でもまあ

世界で一番やってみたくて仕方ない仕事

・・・ではないですよね!アハハ!」

 

まあそうですよね。

 

しかし愛犬のためならエンヤコラ、

翌朝私は腕まくりをして庭に出て

「さあアーシー、トイレの時間だ!

ビジビジビジビジ(BusyBusyBusyBusy)!」

 

この『ビジビジビジビジ』というのは

盲導犬候補生に用を足させる時の掛け声です。

 

アーシーはいつものように庭の一角の

『犬のトイレ用』に区切られた場所に向かい

腰をかがめ、で、そこで怪訝そうに振り向いて

背後にぴたりと寄り添う私を眺め・・・

「大丈夫だアーシー、私のことは気にするな。

さあいつものように小用を足してご覧」

 

まあアーシーも一晩トイレを我慢していて

限界も近かったのでしょう、

目線を私から正面に戻すと、さあ、排尿だ!

 

(しかし今日のこの記事のノリは何だろう)

 

(『さあ、排尿だ!』とか正気の沙汰ではない

 

地面に広がる水溜り、さてこそ!と

縦長漏斗をくっつけた採尿容器を

横からアーシーの腹部に持って行くも

・・・残念!照準が甘かった!

 

すっきりとした顔で水溜り製作を終えるアーシー、

その横で空の容器を片手にうずくまる私。

 

思えば犬のお小水がどこから出るかとか

私はじっくり見たことがないものなあ・・・

 

いえ、ちゃんと『ここから出る』というのは

知っているんですけど、正面から

そんな姿を間近に眺めたことはなく。

 

想像の中では現実よりもう少し上のほうに

発射口がある気がしていたんですよね。

 

そうか、もう少し下か・・・

 

「わかった、アーシー、では再挑戦だ!

気を取り直してもう一度行ってみよう、

はい、それ、ビジビジビジビジ!」

 

根が素直なアーシーは私の掛け声を聞くと

再び腰をかがめてくれまして、

よし!では今回こそ!と最初の時より

少し低めに縦型漏斗を差し伸べる私

・・・しかし残念、またも失敗!

 

えっ?

 

これよりもっともっと下から出ているんですか?

 

「アーシーごめん、もう1回お願いできる?

ビジビジビジビジ・・・駄目か?」

 

どうやら2回の排尿でじゅうぶん膀胱を

軽くしてしまったらしいアーシーは

私の声を聞いてもしゃがみ込んではくれず。

 

そこにガチョウの世話をしていた

夫(英国人)がやって来て

「どうです、サンプルは

無事に入手できましたか」

 

「いや、駄目だ。私の

位置感覚がおかしいみたいだ。

これはもう今日は諦めて

明日もう一度挑戦してみるかな」

 

そんな会話をしているとアーシーが

またふと屈みこんだので

「よし、もう1度試してみる!」

 

「妻ちゃん、それ、アーシー、

本当に小用ですか?

もしかして大きい方のために

屈みこんでいるのでは・・・」

 

う・・・いや、でも尻尾がこう

後ろ方向に向いている時は

『小用』のはずだ!

 

ここはリスクを取りに行こう!

 

私は勇敢にも縦型漏斗を

アーシーの横からではなく後ろ、

開かれた脚の間から差し出すようにし・・・

これが作戦として大成功!

 

採れた採れた、小水が採れた!

 

(Norizoさんちょっと自棄気味)

 

三度目の正直、という言葉の正しさを

しっかり噛み締めた私です。

 

前もって受付のお姉さんに

「尿が採れたらなるべく早く

病院に持ってきてください、

新鮮な方が検査しやすいんです!」

と言われていた私は

この後すぐに車を出して

病院に行きました。

 

結果についてはまた明日。

 

 

排尿に関しては

男女の間だけでなく

人と犬の間にも

深い誤解の溝がある、みたいな

 

それにしても西根タカさんは

着物で犬のお小水を

採ったというのですから

あの方はたいしたものです

 

 

 

 

犬のお小水採りに自信のあるあなたも

それはもう自分の想像力の限界を

超えたレベルの話です、なあなたも

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